オウンドメディアの費用は、「どの作業を誰がやるか」と「記事を何本作るか」で決まります。同じ「オウンドメディアを作る」でも、サイトの設計から聞き取り、執筆、計測まで全部を外に頼むのと、記事の手直しだけを頼むのとでは、中身がまったく違います。
このため、この記事では「相場はいくら」という数字は書きません。出どころを示せる相場の資料が見つからなかったことと、総額だけを比べても何が含まれているか分からないからです。代わりに、費用がかかる作業を分解し、どこにお金と時間がかかるのかを整理します。
オウンドメディアの費用がかかる5つの作業
オウンドメディアの仕事を分けると、次の5つになります。見積もりを見るときは、この5つのどれが入っていて、どれが入っていないかを確かめてください。
| 作業 |
中身 |
1回きりか、続くか |
| 1. 設計 |
誰に向けるか、テーマの親子関係、URLの階層 |
最初に1回。見直しはときどき |
| 2. 聞き取り |
社長・技術者から答えを引き出す |
記事ごとに続く |
| 3. 執筆・編集 |
記事にする、図や表を作る |
記事ごとに続く |
| 4. サイト |
記事を置く場所、相談の入口 |
最初に1回。直しはときどき |
| 5. 計測と改善 |
Search Consoleで見て、記事を直す |
毎月続く |
1と4は最初にまとまってかかる費用で、2・3・5は続けるあいだずっとかかる費用です。初期費用と月額に分かれた見積もりが多いのは、このためです。
1. 設計:いちばん安く済ませたくなるが、あとで高くつく
どんな読む人の、どんな検索に答えるのか。どのテーマを親にして、どの記事をその下に置くのか。これを決める作業です。成果物は、記事の一覧表とサイトの階層図くらいで、目に見えるものは多くありません。
目に見えないので削られやすいのですが、ここを飛ばすと、30本書いたあたりで「何のサイトなのか分からない」状態になります。そこからの作り直しは、最初に設計するより手間がかかります。階層の考え方はハブページと階層構造の作り方で扱っています。
2. 聞き取り:削ると、他社と同じ記事になる
記事の中身を、社内の人から引き出す作業です。打ち合わせの時間、質問の準備、話した内容の整理が含まれます。
たとえば「樹脂部品 ヒケ 原因」という記事を書くとします。聞き取りなしでも、ネットにある情報をまとめれば記事の形にはなります。ただ、それは検索上位の記事と同じ内容です。聞き取りをすると「うちでは肉厚が何ミリを超えたら設計変更を提案している」「この材料はとくに出やすい」といった、その会社にしか書けない一文が入ります。
Googleも、経験や専門性のある情報を評価すると説明しています(Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」)。聞き取りは、その経験を記事に入れるための作業です。手順は社長・技術者への聞き取りから記事を作る手順にまとめています。
3. 執筆・編集:本数と、1本あたりの深さで変わる
費用の中で、いちばん「量」に比例する部分です。本数が増えればそのまま増えます。
同じ1本でも、図や表を自分で作るのか、写真を撮りに行くのか、専門的な内容を確かめる手間がどれだけあるかで変わります。本数を増やしたくなりますが、私たちは本数より1本の深さを優先するほうをすすめます。立ち上げ直後のサイトでは、どちらにしても多くの記事がすぐには検索に出ないからです。
私たちが作った暦のメディアは1,000ページ以上ありましたが、公開2週間の時点で検索からの流入は0でした。本数を先に積んでも、それだけで流入は生まれません。
4. サイト:今のホームページに足すなら小さく済む
記事を置く場所と、読んだ人が相談できる入口を作る作業です。新しくサイトを1つ作るのか、今のホームページに記事の階層を足すのかで大きく変わります。
中小企業なら、今のホームページと同じドメインの中に足す形が扱いやすく、費用も抑えやすいです。理由はオウンドメディアとホームページの違いに書きました。ただし、今のホームページがスマートフォンで読めない、httpsになっていないといった状態なら、先にそこを直す費用が要ります。
5. 計測と改善:見落とされやすいが、ここで差がつく
公開した記事が検索に出ているか、どの言葉で何位か、を毎月見て、記事を直す作業です。見積もりに入っていないことがよくあります。
私たちは暦のメディアで、記事を増やさずに、既存のページを直すことに時間を使いました。Search Consoleで実際に来ている検索語が、ページの本文に書かれているかを照合し、抜けている語を書き足していきました。
私たちの実測(暦のメディア・1,077ページ)
| 測った日 |
表示ページ率 |
クリック |
| 2026-08-21 |
29.8%(306/1,028) |
38 |
| 2026-09-05 |
59.6%(642/1,077) |
144 |
| 2026-09-27 |
46.4%(500/1,077) |
95 |
出典:Google Search Console、各日から直近28日間
表示ページ率は9月に入って下がっており、ずっと上がり続けたわけではありません。それでも、何も測っていなければ、どこが効いてどこが効かなかったのかも分かりませんでした。この作業を見積もりから外すと、書いたきりのサイトになります。
外注・内製・月額契約で、何が変わるか
5つの作業を、どこまで社内でやるかで形が分かれます。
すべて外注する
設計から計測まで外に頼む形です。社内の手間は聞き取りに答える時間だけになります。外に払うお金は最も大きくなりますが、社内に書ける人がいない会社でも始められます。
注意したいのは、聞き取りが見積もりに入っているかです。「記事1本いくら」という見積もりの中には、聞き取りをせず、ネットの情報をまとめて書く前提のものもあります。
内製する
社内の人が書く形です。外に払うお金はほとんどかかりません。そのかわり、書く人の時間と、答えを出す社長や技術者の時間がかかります。
中小企業では、答えを出す人が社長本人であることが多く、その時間は会社にとっていちばん高い費用です。内製が「無料」に見えるのはこの費用が帳簿に載らないからで、実際には払っています。
一部だけ頼む
設計と計測だけ外に頼み、記事は社内で書く。あるいは、聞き取りと執筆は外に頼み、確認だけ社内でやる。作業ごとに分けて頼む形です。
社内に技術を説明できる人はいるが、文章にする時間がない、という会社に向いています。何を頼んで何を社内でやるかが決まっていれば、費用も見通しやすくなります。
月額で続ける
聞き取り・執筆・計測を毎月一定量やる契約です。費用が毎月決まるので予算は立てやすくなります。一方、最初の数か月は検索からの流入がほとんどない前提で、何か月続けるかを最初に決めておく必要があります。
その数か月も、費用は毎月かかります。成果の数字がまだ出ない時期も払い続けられるかを、契約の前に確かめてください。
見積もりを比べるときに確かめること
見積もりを受け取ったら、総額より先に次の点を確かめてください。
- 5つの作業のうち、どれが含まれているか
- 聞き取りはあるか。あるなら1本あたり何分か、誰に聞くのか
- 記事の直し(公開後の書き足し)は含まれるか
- Search Consoleの数字を、誰が、どのくらいの頻度で見るのか
- 何本、何か月で、何を見て続けるかやめるかを判断するのか
私たちの費用の考え方
ナギサコーポレーションでは、初期費用3万円からお受けしています。金額は、記事の本数と、5つの作業のどこまでを含めるかによって変わります。見積もりは無料です。
打ち合わせから納品までメールとチャットで進めるので、移動や会議の時間はかかりません。聞き取りもチャットや文章でのやり取りで進められます。自社に向いているかどうかから判断したい場合は、オウンドメディアが向いている会社・向かない会社を先に読んでいただくと、相談の中身が具体的になります。始める順番の全体はオウンドメディアのカテゴリにまとめています。