SEOのサイト設計とは、記事を1本ずつ上位に押し上げる作業ではなく、サイト全体で「この会社は何の専門家か」をGoogleに伝える作業です。そのために使う道具は、ほとんど3つに絞れます。テーマごとの親ページを頂点にした階層、1つのテーマを抜けなく書くこと、そして関係のあるページをつなぐ内部リンクです。
Googleはサイトの専門性をどう読み取っているのか
Googleは、サイトの専門性を判断する仕組みの細部を公開していません。ただ、公開している資料からは、見ているものの方向ははっきり分かります。
1つは、ページどうしのつながりです。GoogleはGoogle 検索ランキング システムのご紹介で、ページ間の相互リンクを理解してページの内容を判断する「リンク分析システム」を挙げています。ECサイト向けの資料でも、メニューやページ間のリンクといった「サイトのナビゲーション構造」がサイトの構造に関するGoogleの認識に影響しうること、ページ間のリンクから相対的な重要度を把握していることを書いています(Google が理解しやすい e コマース サイトの構造)。
もう1つは、サイトの主題です。有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成の自己評価の質問には、「サイトには主要な目的またはテーマがありますか。」という1行があります。製品紹介もブログも採用情報も雑多に並ぶサイトより、1つの分野を掘り下げているサイトのほうが、この問いに答えやすいのは明らかです。
SEOの業界では、この「1つの分野を深く書いているサイトが評価されやすい」という考え方を「トピカルオーソリティ」と呼びます。ただしこれは業界の呼び名で、Googleが一般のサイト向けに同じ名前で公式に説明しているわけではありません。どこまでが公式でどこからが通称かは、トピカルオーソリティとは何かで分けて書いています。
階層は「親ページ→分類→記事」の3段で考える
おすすめしている形は、テーマ全体を説明する親ページ(ハブ)、その下の分類ページ(カテゴリ)、さらにその下の個別の記事という3段です。このサイトも同じ考え方で、中小企業・製造業のSEOを親にして、このページのような分類を置き、その下に記事を並べています。
製造業で考えます。樹脂成形の会社が、技術コラムを「技術解説」という1つの一覧にすべて並べているとします。ヒケの話も、材料の選び方も、金型の話も同じ列です。これでは、読者もGoogleも、どの記事がどの話題の一部なのかを判断できません。
これを「射出成形」というハブの下に、材料・成形不良・加工・金型の4つのカテゴリを置き、記事をそれぞれに振り分けると、サイトの形そのものが「射出成形のことを分野別に書いている」と語るようになります。GoogleもSEO スターター ガイドで、類似のトピックをディレクトリにまとめるとクロールの学習に役立つと書いています。具体的な組み方とパンくずリストの設定はハブページと階層構造の作り方で説明しました。
抜けなく書くことが、階層の中身になる
階層は箱にすぎません。箱の中が空いていれば、専門性は伝わりません。成形不良のカテゴリを作ったなら、ヒケ、反り、ショートショット、バリ、ウェルドラインと、設計者が実際に困る不良をひととおり揃えることが、箱を作った意味になります。
内部リンクは「中身が分かる言葉」で張る
内部リンクは、ページどうしの関係をGoogleに伝える一番直接的な手段です。GoogleはGoogle の SEO リンクに関するベスト プラクティスの中で、「こちら」「詳細」のような曖昧なアンカーテキストを悪い例として挙げ、リンク先の内容が分かる具体的な言葉を勧めています。同じページで、関心のあるすべてのページに、同じサイトの少なくとも1つの別ページからリンクがあることも推奨しています。
私たちは、この「張り忘れ」で何度も失敗しました。新しい記事から既存の記事へはリンクを張るのに、既存の記事から新しい記事へは張り忘れる事故を3回起こしています。
私たちの実測(暦のメディア・1,077ページ)
サイト内からのリンクが6本以下しかないページを洗い出し、関係のあるページからリンクを足して、20枚から7枚に減らしました(2026年8月21日から行った改善の1つ)。
出典:自社サイトのページごとのサイト内リンクを数えたもの(2026年8月21日以降の作業)
この作業だけで順位が上がったとは言えません。同じ時期に見出しの書き直しなど複数の改善をしているからです。張り方の手順と、張り忘れを防ぐ仕組みは内部リンクとアンカーテキストの付け方にまとめています。
2語の検索語には、受け皿ページを用意する
「射出成形」のような1語の検索語は、検索する人の目的がばらばらで、中小企業のサイトが上位に入るのは簡単ではありません。逆に「射出成形 ヒケ 原因 リブ」のような長い検索語は、答えやすい反面、1語あたりの検索数は小さくなります。
その間にある「エンプラとは」「スーパーエンプラ 種類」のような2語前後の検索語を、業界ではミドルワードと呼びます。この語に対しては、個別の記事をばらばらに書くより、その語に1枚で答えるページを作り、細かい記事をその下にぶら下げる形が合います。作り方は、このカテゴリのミドルワードの記事で樹脂メーカーを例に説明しました。
どこから手を付ければいいか
すでに記事がある会社は、新しく書く前に今ある記事を並べ直すところから始めます。公開済みの記事を書き出し、それぞれ「どの困りごとの記事か」を1語で分類すると、カテゴリの候補と、抜けている話題が同時に見えてきます。そのあとで、親ページを作り、パンくずと記事どうしのリンクを足していきます。
これから始める会社は、記事を書く前に、テーマの地図を1枚作ります。社内でよく聞かれる質問を集めて分野ごとに分けるだけで、最初の数か月に書く記事の順番が決まります。
注意
構造を整えても、公開したページがすぐ検索に出るわけではありません。私たちのメディアの1つは、1,024ページを作っても、公開2週間の時点で、検索からの流入は0でした。出ない理由の調べ方は作ったページが検索に出ない理由にあります。
製造業ならではの構成、たとえば技術相談サイトで材料・不良・加工をどう並べるかは、製造業のオウンドメディア:技術相談サイトの型でも扱っています。