ミドルワードとは、検索数の多い1語の「ビッグワード」と、3語以上の具体的な「スモールワード」の間にある、2語前後の検索語のことです。「エンプラとは」「スーパーエンプラ 種類」のような語がこれにあたります。
この語には、細かい記事を1本ずつぶつけるより、その語に1枚で答え、その先の記事へ案内する「受け皿ページ」を作るほうが合います。
ミドルワードはGoogleの用語?どこからがミドルワード?
ミドルワードは、日本のSEO業界で使われている呼び名です。Googleの公式資料に、この言葉や、検索数で区切る基準が書かれているわけではありません。ビッグワード・ミドルワード・スモールワードの境目も、説明する人によって違います。
私たちは、検索数の多さで線を引くより、「検索する人の目的がどこまで絞れているか」で考えています。
| 種類 |
樹脂の例 |
検索する人の目的 |
| ビッグワード |
樹脂、プラスチック |
ばらばら。学生も主婦も設計者もいる |
| ミドルワード |
エンプラとは、スーパーエンプラ 種類 |
分野の全体像を知りたい |
| スモールワード |
POM ギア 摺動性、PPS 射出成形 バリ |
具体的な困りごとがある |
「樹脂」で検索する人の目的は、材料を探しているのか、工作の話なのか、見当がつきません。中小企業のサイトが上位に入るのは難しく、入れても相談にはつながりにくい語です。
スモールワードは目的がはっきりしていて、答えやすい語です。ただ、1語あたりの検索数は小さくなります。私たちのオウンドメディアづくりでも、記事の大半はこの層を狙います。
ミドルワードは、その中間です。検索する人は「エンプラという分類があるらしい。何があって、どう選ぶのか」と、分野の全体像を知りたがっています。材料を選ぶ段階の設計者や、購買の担当者が多い層です。
なぜミドルワードには「受け皿ページ」が要るのか
樹脂成形メーカーの技術コラムで考えます。PA(ナイロン)、POM、PC、PBTについて、それぞれ特徴と成形の注意点を書いた記事が1本ずつあるとします。どれも丁寧な記事です。
ここに「エンプラとは」と検索した人が来ても、答えになるページがありません。PAの記事の冒頭に「PAはエンプラの一種です」と1行あるだけでは、エンプラ全体を知りたい人の答えにはなりません。個別の記事がいくら良くても、分野の入口で取りこぼしています。
受け皿ページは、この入口を塞ぐページです。「エンプラとは」に1枚で答え、読み終えた人を「どの材料の話を詳しく読むか」へ案内します。個別の記事に入ってくる人も、受け皿ページを経由すれば、ほかの材料の記事にも回遊できます。
Googleは、1つのテーマについて目的を果たすのに十分な情報を得たと感じられるかを、コンテンツの自己評価の問いに入れています(有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成)。ミドルワードで来た人にとっての「十分な情報」は、個別の材料の深い話ではなく、分野の全体像です。
受け皿ページの作り方:「エンプラとは」の例
受け皿ページに入れるものを、上から順に並べます。
1. 冒頭の1文で答える
「エンプラ(エンジニアリングプラスチック)とは、汎用プラスチックより耐熱性や機械的な強度を高め、金属部品の置き換えなど工業用途に使われる樹脂の総称です。」のように、最初の1文で定義します。AI検索や検索結果の抜粋がそのまま引用できる形です。
2. 汎用プラスチックとの違い
PPやPEなどの汎用プラスチックと比べて、何が違い、そのぶん何が不利になるか(材料費、成形の難しさ)を書きます。耐熱温度の数字で線を引く説明もよく見ますが、統一された規格ではないので、使うなら出典を添えます。
3. 主な種類を、見出し付きで並べる
代表的な材料を並べ、それぞれの記事へリンクします。
| 材料 |
よく言われる特徴 |
受け皿から張る先 |
| PA(ナイロン) |
強くて摩耗に強い。吸水で寸法が変わる |
PAの記事 |
| POM |
滑りがよく、寸法が安定しやすい |
POMの記事 |
| PC |
透明で衝撃に強い |
PCの記事 |
| PBT |
電気的な性質がよく、電子部品に使われる |
PBTの記事 |
| 変性PPE |
吸水が少なく、寸法が安定しやすい |
変性PPEの記事 |
表だけで済ませず、材料ごとに短い見出しを立てて2〜3文の説明を書くほうが、読者にも検索エンジンにも伝わります。私たちの暦のメディアでも、表の1セルに押し込めていた情報を見出し付きの節に格上げする直しを、39ページと47ページの2種類のページで行いました(事例は持っているデータの出し方を変えて、300ページに効かせた記録)。
4. 選び方と、隣の分類への案内
「摺動部品ならPOM、透明な部品ならPC」のような選び方の目安と、エンプラでは耐熱や薬品への強さが足りないときの次の選択肢として、スーパーエンプラへの案内を書きます。
5. 相談の入口
受け皿ページを読む人は、材料を選んでいる途中です。「使用温度と荷重、図面を送っていただければ、候補の材料と成形できるかをお返事します」のような入口を置きます。材料選定の相談は、そのまま試作や量産の相談につながります。
「スーパーエンプラとは」も別の受け皿にする
スーパーエンプラ(PPS、PEEK、LCPなど)は、エンプラの受け皿の中に1節として入れることもできます。ただ、「スーパーエンプラとは」「スーパーエンプラ 種類」で検索する人が一定数いるなら、別の受け皿ページにしたほうが、その語で来た人に正面から答えられます。
2枚に分けたら、両方のページから互いにリンクします。エンプラのページには「さらに耐熱や薬品への強さが要る場合は、スーパーエンプラの種類と選び方へ」、スーパーエンプラのページには「汎用のエンプラとの違い」として戻るリンクを張ります。アンカーテキストの付け方は内部リンクとアンカーテキストの付け方で説明しています。
受け皿ページを、階層のどこに置くか
受け皿ページは、ハブとカテゴリの間、またはカテゴリそのものとして置きます。
射出成形(ハブ)
└ 材料(カテゴリ)
├ エンプラとは(受け皿)
│ ├ PAの特徴と成形の注意点
│ ├ POMの特徴と用途
│ └ …
└ スーパーエンプラとは(受け皿)
├ PPSの特徴
└ PEEKの特徴
カテゴリの名前と、よく検索される語が一致するなら、カテゴリページ自体を受け皿として作り込む方法もあります。ハブとカテゴリの作り方はハブページと階層構造の作り方にまとめました。
注意
受け皿ページを、記事へのリンクを並べただけの一覧ページにしないでください。私たちの立ち上げ間もない4サイトでも、一覧ページは記事より検索に出にくい結果でした(立ち上げ間もない4サイトの実測)。受け皿は、それ1枚で答えになる本文を持った「答えのページ」です。
同じ語に答えるページを2枚作るのも避けます。「エンプラとは」の受け皿と、「エンプラの種類まとめ」という記事を別々に作ると、どちらを読めばいいか読者が迷い、内部リンクもどちらへ張るか割れます。1つの語には1枚、と決めておくと、リンクを集める先も迷いません。
ミドルワードの見つけ方
社内で「よく聞かれる言葉」を集める
営業が電話で受けた質問、展示会で聞かれたこと、見積もりの前に毎回説明していること。そこに「そもそも〇〇って何ですか」「〇〇と△△の違いは」という形の質問があれば、それがミドルワードの候補です。
Search Consoleで、表示されているのに伸びていない語を探す
すでに記事があるなら、Search Consoleの検索パフォーマンスで、2語前後の検索語を見ます。表示回数はあるのに平均順位が10位より下にとどまっている語は、受け皿が無い、またはあっても答えになっていない可能性があります。見方の基本はSearch Consoleで最初に見る4つの数字にまとめています。
私たちの暦のメディアでは、検索語とページの組を取り出して、その語がページ本文に書かれているかを機械で照合しました。すると、来ている語がページに無いことが多くありました。暦の読み方は本文にかなで書いてあったのに「読み方」という語が一度も無く、検索される語で書き直したページは312ページになりました。ミドルワードも同じで、受け皿ページの見出しと本文には、検索される言葉そのものを入れます。
検索数はツールで確かめる
候補が出たら、キーワードツールで検索数を確かめます。数字は分野によって大きく違うので、この記事では目安を出しません。同じ分野の候補どうしで比べ、検索数があり、かつ自社が答えられる語から受け皿を作ります。
私たちは、外部ツールの推定だけで判断しないようにしています。ある流入推定ツールでは、私たちのメディアの流入ページが13ページ・流入0と出ましたが、Search Consoleの実測はそれより大きく多いものでした。検索数を知るのにツールは便利ですが、実際に自社のページがどの語で何位にいるかは、Search Consoleで見ます。
受け皿ページは、専門性の土台にもなる
ミドルワードの受け皿がそろうと、サイトの形は「分野の入口→個別の答え」の順に整います。1つの分野を抜けなく書いてサイトの専門性を伝える考え方はトピカルオーソリティとはで、サイト全体の骨組みはサイト設計のカテゴリ(階層・内部リンク・専門性)で説明しています。