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セキュリティ / CATEGORY

サプライチェーンと取引先対応:求められる前に準備しておく5つのこと

公開 2026.11.06文・ナギサコーポレーション

この記事の答え

  • 自社の事故が取引先に及ぶという視点で、対策の優先順位を見直す
  • SCS評価制度の★3・★4は、2027年3月⁠の受付開始に向けて準備が進む
  • 調査票には、できていないことも含めて正直に答え、改善の予定を添える

サプライチェーンと取引先対応の解説記事(8本)

セキュリティ / サプライチェーンと取引先対応サプライチェーン攻撃とは?取引先の入口にされる中小企業の備えと対策サプライチェーン攻撃とは、取引先や委託先など対策の手薄な相手を足がかりに本来の標的を狙う攻撃です。自社が入口にされたとき取引に起きる影響から、中小企業の備えを順に示します。解説を読むセキュリティ / サプライチェーンと取引先対応SCS評価制度とは?星3・星4の違いと中小企業がいま準備することSCS評価制度とは、サプライチェーンを構成する企業の対策を共通の基準で評価し見える化する制度です。★3と★4の違い、費用、取引先から求められる前に中小企業がしておく準備を示します。解説を読むセキュリティ / サプライチェーンと取引先対応ISMSとは?認証の取得が必要な会社と自己点検で足りる会社の違いISMSとは、自社のリスク評価をもとに必要な対策を決めて運用し、改善し続ける情報セキュリティの仕組みです。取引先の要求と業種を基準に、認証まで取るか自己点検で足りるかの判断を示します。解説を読むセキュリティ / サプライチェーンと取引先対応SCS評価制度はいつから始まる?公表された予定と逆算する準備の期間SCS評価制度の★3・★4の登録申請は、2027年3月⁠の受付開始が予定されています。2026年11月時点で公表された予定を確かめ、取引先の期限から逆算して何月に何をするかを示します。解説を読むセキュリティ / サプライチェーンと取引先対応セキュリティチェックシートの答え方は?取引先の調査票に困る総務へ取引先のセキュリティチェックシートは、できていない項目を「未実施」⁠と正直に書き、代わりの対策と完了予定を添えて答えます。確認の順番、区分ごとの書き方、例文、費用の相談先まで総務向けに示します。解説を読むセキュリティ / サプライチェーンと取引先対応Pマークとは?ISMSとの違いと取るべき中小企業を総務向けに解説Pマーク(プライバシーマーク)⁠と⁠は⁠、個人情報を適切に扱う体制のある事業者に使用が認められるマークです。情報全般を対象とするISMSとの違い、費用、取るべき中小企業の判断基準を示します。解説を読むセキュリティ / サプライチェーンと取引先対応SECURITY ACTIONとは?一つ星・二つ星の宣言手順と使える場面SECURITY ACTIONとは、中小企業が情報セキュリティ対策に取り組むことを自ら宣言する制度です。一つ星と二つ星の違い、GビズIDを使う2026年4月からの手順、補助金や取引先への説明で使える場面を示します。解説を読むセキュリティ / サプライチェーンと取引先対応ISO27017とは?クラウドを使う会社に認証が要るかを判断するISO27017とは、クラウドサービス固有の情報セキュリティ管理策を示すガイドライン規格です。提供する側と利用する側で意味がどう違うか、2026年改訂の内容、自社に認証が要るかの判断手順を示します。解説を読む
目次

サプライチェーン攻撃とは、取引先や委託先を経由して本来の標的に届く攻撃です。IPAの情報セキュリティ10大脅威 2026では「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃⁠」⁠が組織編の2位⁠に挙げられており、8年連続の選出です。

何から手を付けるか

順番は、自社の基本を固める、説明できる形にする、委託先を見る、です。

  1. 情報セキュリティ6か条を実施する
  2. SECURITY ACTIONを宣言する
  3. 取引先と自社をつなぐ接続やデータのやり取りを書き出す
  4. SCS評価制度の要求事項で、自社の状態を点検する
  5. 自社が仕事を任せている委託先の状況を確かめる

自社の事故は、自社だけで終わらない

IPAの2024年度の実態調査では、被害を受けた企業(975社)⁠の約7割が、取引先に影響があったと答えました。影響の内容には、サービスの停止や遅延が36.1%⁠、賠償や補償の負担が32.4%⁠、原因調査や復旧の人件費などの負担が23.2%⁠とあります。

不正アクセスを受けた企業(419社)⁠へ⁠の質問では、取引先やグループ会社などを経由した侵入が19.8%でした。受ける側にも、経由される側にもなりうるということです。

部品メーカーの例で考えます。発注元と受発注の仕組みでつながり、図面を受け取っている会社なら、影響は2方向あります。自社が止まれば納品が遅れ、自社のアカウントが悪用されれば発注元に迷惑がかかります。先に確かめるのは、この接続の管理です。

SCS評価制度の概要

SCS評価制度は、サプライチェーンを構成する企業の対策の水準を★で示す制度です。IPAの案内によると、経済産業省と内閣官房国家サイバー統括室の所管のもと、IPAが運営します。

区分 ★3 ★4
位置づけ 全ての企業が最低限実装すべき 標準的に目指すべき
要求事項 26件 43件
評価 専門家確認付き自己評価 第三者評価
有効期間 1年 3年

★3の取得は★4の前提ではなく、★5は検討中です。予定としては、2026年12月⁠に評価機関などが公表され、2027年3月⁠に受付が始まり、2027年4月以降に取得企業が公表されます。IPAは2026年10月28日⁠に評価用のガイドと解説書を公開しました。

中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0⁠版⁠はこの制度の基本的な考え方に沿っています。まずガイドラインで土台を作り、そのあと要求事項で詰めるとつながります。

今すぐ取得が要るとは限らない

制度の受付はこれからで、どの取引先がいつ求めるのかは会社によって違います。発注元に方針を聞くのが確実です。慌てて取得支援の契約を結ぶ前に、要求事項での自己点検から始められます。

調査票が届いたら

取引先の調査票は、答え方で印象が変わります。3つ⁠の決まりで答えます。

  • 事実だけを書く。「予定」⁠と「実施済み」⁠を混ぜない
  • 「いいえ」⁠の項目には、代わりにやっていることと改善の時期を添える
  • 回答の控えを残し、次回の調査で同じ答えを使い回せるようにする

要請は悪いことばかりではありません。IPAの調査では、要請を受けた企業(511社)⁠の42.1%が、要請された対策が取引につながった大きな要因だと答えています。

調査票が増えてきたら、チェックシートの管理ツールで回答を一元化する方法があります。自社の外から見える状況を点数で示すセキュリティレーティングという製品もあります。

要請に応えるときの悩み

同じ調査報告書によると、取引先から要請を受けた経験がある企業は1割強で、内容は「秘密保持のための措置」⁠が79.6%でした。対策を進めるうえでの課題には、費用の用意と負担の検討が51.3%⁠、発注元との契約内容の明確化が47.0%⁠、専門人材の確保が32.9%⁠と挙がっています。

無理な要請をそのまま受ける必要はありません。何をいつまでに求められているのかを確かめ、費用がかかるものは負担の分け方を相談します。自社が協力会社に仕事を出す立場でも同じです。求める内容を具体的に伝えると、相手も答えやすくなります。

ISMSやPマークは要るのか

ISMSは情報セキュリティの管理の仕組みに関する認証で、プライバシーマーク⁠は個人情報の扱いに関する制度です。取引先が認証を条件にしているなら、取得を考えます。IPAの調査報告書では、要請を受けた企業のうちISMS取得済みの企業の73.9%が、対策が取引につながったと答えました(未取得は30.3%)⁠。

ただ、取得には文書の整備や審査の手間がかかります。求められていない段階なら、6か条やSCSの要求事項による点検で足りることもあります。準備を手伝うISMS運用の道具も、要否を決めてから比べます。

弱点の確かめ方は脆弱性診断・セキュリティ診断⁠、事故が起きたときの連絡体制は監視・運用・社内体制⁠、全体の順番はセキュリティ対策の全体像⁠にまとめています。

よくある質問

SCS評価制度は、いつから始まりますか?

IPAの案内では、★3・★4は2027年3月⁠の受付開始に向けて準備が進んでいます。評価機関などの公表は2026年12月⁠、取得企業の公表は2027年4月以降の予定です。最新の予定はIPAの制度のページで確かめてください。

SCS評価制度の★3と★4は、どちらを目指せばいいですか?

取引先に求められている水準によります。★3は全てのサプライチェーン企業が最低限実装すべき水準で、専門家の確認付きの自己評価です。★4は標準的に目指すべき水準で、第三者が評価します。★3の取得は★4の前提ではありません。

取引先の調査票で「いいえ」⁠と答えると、取引に響きますか?

影響の有無は取引先の方針によるので、一概には言えません。事実と違う回答のほうが、後々の問題は大きくなります。できていない項目には代わりの対策と改善の予定を添えて答えます。

いきなり契約する必要はありません。

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