出典の書き方は、どこの機関の、何という資料を、いつの時点で使い、加工したかどうかを、使った数字や文章の近くに書くことです。国の統計なら、ページのURLと取得した日も添えます。
気をつけるのは、文章を借りる「引用」と、データを使う「出典の記載」を分けて考えることです。文章の引用は著作権法32条の条件を満たす必要があり、国のデータはそのデータの利用規約に従います。
文章を引用するときの条件は?
著作権法32条1項は、公表された著作物は引用して利用できると定めています。その引用は、公正な慣行に合い、報道・批評・研究などの目的の上で正当な範囲内でなければなりません(e-Gov法令検索の条文)。
文化庁の著作権テキスト(令和8年度版)は、条件を4つに分けて説明しています。
| 条件 |
文化庁の説明の要点 |
| 公表された著作物 |
すでに公表されている |
| 公正な慣行に合う |
引用する必然性がある/カギ括弧などで引用部分が明確 |
| 正当な範囲内 |
主従関係が明確/分量が必要最小限/本文のほうが価値が高い |
| 出所の明示 |
必要(複製以外は、その慣行があるとき) |
Webの記事に当てはめると、引用する文はカギ括弧か引用の枠で囲み、自分の文章と見分けられるようにします。引用は、自分の説明を補うための一部だけにします。他社の解説を数段落そのまま載せて、前後に1行ずつ感想を足す形は、主従が逆です。
同じテキストは、出所の明示について、よくある誤解も書いています。出所を書けば了解が要らないのではなく、了解が要らない場合でも出所の明示が義務として課される、という説明です。引用の条件を満たさない使い方なら、出典を書いても権利者の了解が要ります。
32条2項は新聞・雑誌への転載の話
32条2項は、国などが周知のために出した資料を、新聞や雑誌などの刊行物に転載できる規定です。Webサイトに国の資料を丸ごと載せてよいという規定として読まないでください。国のデータは、次の節の利用規約で判断します。
数字やデータに、出典は要る?
同じテキストは、著作物の説明で、「東京タワーの高さ:333メートル」のような単なる事実やデータは著作物から除かれる、と書いています。統計の数字1つは、それ自体が著作物ではないということです。
一方で、どの素材を選び、どう並べるかに創作性がある編集物は、全体として保護されます。コンピュータで検索できるものは、データベースの著作物と呼ばれます。他社の比較表を丸ごと写すとき、選び方や並べ方に創作性がある表なら、数字に著作権が無いことは理由になりません。
国の統計サイトの多くは、利用規約で出典の記載を条件にしています。著作権の有無とは別に、規約に従って書きます。
国のデータは、規約の記載例に合わせる
国のサイトの規約は、2つの系統があります。デジタル庁の公共データ利用規約(第1.0版)と、その前からある政府標準利用規約(第2.0版)です。デジタル庁は、これまで政府標準利用規約を使ってきたサイトにも公共データ利用規約を使うよう案内していますが、今も第2.0版に準拠しているサイトがあります。どちらに準拠しているかは、使うサイトの規約を開いて確かめます。
e-Statの利用規約は、政府標準利用規約(第2.0版)に準拠しています。記載例は次のとおりです。
- そのまま使うとき:出典:「○○調査結果」(A省)
- 加工したとき:「○○調査結果」(A省)を加工して作成
- 会社名を出すとき:「○○調査結果」(A省)を基に○○株式会社作成
国土地理院の規約は、特に記載が無い限り公共データ利用規約(第1.0版)を適用するとしています。記載例は、そのまま使うなら、出典として国土地理院ウェブサイトの名前と当該ページのURLを書く形です。加工した例として、地理院タイルの標高タイルを「加工して作成」と書く文が載っています。地図は測量法の承認が要る場合があるので、同じサイトの利用手続きの案内も読みます。
どちらの規約も、加工した情報を国が作ったかのように公表することを禁じています。県別に順位を付けた、複数の表を合わせて平均を出した、という場合は、加工したのが自分たちだと分かる書き方にします。e-StatのAPIを使うなら、別にクレジット表示も要ります(e-Statの使い方に文を載せています)。
数字の横に、時点と表の名前を書く
出典はページの最後にまとめて並べるだけでなく、数字の近くにも書きます。理由は、読む人が数字を見たその場で、どの調査のいつの数字かを確かめられるからです。
たとえば「県内の製造業の事業所数」とだけ書くと、何年の調査か分かりません。調査名と省庁名、何年の数字か、取得した日まで書けば、読む人は元の表を開いて照らし合わせられます。表番号や統計表の名前があれば、それも添えます。
私たちも、社内の判断に使った数字に、出どころと日付を付けて残しています。カイシャのホントのランキングの題を決めるときは、月の検索数に、Google 広告の検索数を DataForSEO 経由で取ったことと、取った日(2026年10月24日)を添えて残しました。配信の上限を調べたときも、Cloudflareの公式ページのURLと確認日を一緒に記録しています。数字と出どころと日付を1行にまとめておくと、後で同じ数字を記事に使うときに、元のページを探し直さずに済みます。
ページのどこに、どう書く?
書く場所は3つに分けます。数字のすぐ後ろには、資料名と時点を短く書きます。表なら、表のすぐ下に「出典:」で始まる注記を置き、加工したならその旨もここに書きます。ページの最後には、使った資料をまとめて並べ、URLと取得した日を添えます。
Webページを出典にするときは、サイト名とページの題、URL、見た日を書きます。Webページは後から書き換わるので、見た日が無いと、読む人が開いたときに数字が違っていても理由が分かりません。PDFの資料なら、何ページの記述かも添えると探しやすくなります。
表の中に出典の列を作る方法もあります。行ごとに出どころが違う比較表では、この形のほうが読む人が迷いません。全部の行が同じ資料なら、列は作らず表の下に1回書けば足ります。
AIの回答とは、どう関係する?
GoogleのAI機能や他社のAI検索は、回答にリンクを付けて示すことがあります。そのリンク先で、数字と時点と出典が並んでいれば、回答を読んだ人がすぐに確かめられます。
ただし、出典を書けばAIに引用されやすくなる、とGoogleが説明しているわけではありません。私たちも、出典の書き方とAIでの引用の関係は測れていません。出典は、読む人と自社のために書くものとして扱います。AIに読まれる文章の組み立てはAIに引用される文章に、自社サイトの点検の全体は自社サイトのLLMO対策にまとめています。
1つの数字に添えるもの
- 機関名と資料名(調査名・統計表名)
- 調査の時点(何年・何月の数字か)
- 取得した日とURL
- 加工したなら「加工して作成」
生成AIで作った文章や画像の権利の話はAIと著作権で、国の公開データ全体の規約はオープンデータの使い方で扱っています。記事作りの全体はオウンドメディアから読めます。
仕様・出典の確認日:2026年10月25日。