お客様の声は、実際に利用した相手の感想を集め、掲載する文章と利用範囲の許諾を得てから載せます。自社が依頼や編集に関わった表示を、独立した第三者の評価のように見せないことも必要です。
最初に、何についての感想を、どのページへ載せるかを決めてください。営業に届いたお礼を、そのまま公開用の推薦文に移すことはしません。社内で受け取ったことと、広告として掲載してよいことを分けます。
BtoBなら、相談時の説明や確認の進め方について聞くと、依頼を迷う人の判断材料になります。実績を大きく見せるために、存在しない回答者や感想を作ってはいけません。
お客様の声と導入事例はどう分ける?
声では、相手が対応をどう受け止めたかを伝えます。事例では、課題、実施したこと、結果と条件を伝えます。同じ案件から作ることもできますが、会社側の説明を相手の発言として書きません。
たとえば加工相談なら、仕様を確認するやり取りについて感想を聞きます。加工条件や解決までの判断を詳しく説明する部分は、課題解決事例の書き方へ分けます。自社の技術者から材料を集める工程は聞き取りから記事を作る手順で扱っています。
声を載せたい製品ページを先に開くと、足りない問いを決められます。納品物の仕様は説明できているのに、相談時に何を用意するかが分からないなら、その不安に関わる質問を用意します。満足しましたという一言だけを集める企画にはしません。
BtoBでは、どんな質問で集める?
以下は質問を組み立てる例です。実際のお客様の回答や、私たちの取材実績を示すものではありません。回答文の見本は作らず、相手の言葉を受け取ります。
- 相談する前に、どの条件が分からず迷いましたか
- やり取りの中で、判断に使えた説明は何でしたか
- 資料の準備で困った点はありましたか
- 使い始めて気づいた点や、事前に知りたかったことはありますか
依頼文には目的、掲載予定の場所、原稿確認の流れを書きます。答えたくない項目は空欄でよく、掲載を断れることも伝えてください。回答の依頼と、相手のSNSで推薦を投稿してもらう依頼は分けます。
担当者が聞いた印象だけを頼りに、発言を再現しないようにします。掲載用の原文を受け取るか、記録を使う範囲を合意して聞き取ります。言ったか分からない言葉は、本人確認で補うまで原稿へ入れません。
ステマ規制では何を判断する?
消費者庁のステマ規制の説明は、広告なのに広告と分からない表示を対象にしています。告示の原文は、2023年10月1日から施行されています。
基準は、事業者が自ら供給する商品・サービスの取引について行う表示か、そのことを一般消費者が判別しにくいかです。会社から依頼された人だけに任せず、広告主側で確認します。
景品表示法は一般消費者向けの表示を規律する法律です。この記事のBtoBでの集め方を、すべての企業間取引に同じ法的判断が当てはまるという説明にはしません。ただ、誰が依頼し編集した表示なのかを伝える工程は、企業向けのサイトでも用意できます。
運用基準では、次の一節が判断の軸になります。
事業者が表示内容の決定に関与したと認められる
お金を払ったかだけを見る基準ではありません。依頼の仕方、対価、継続的な関係など、実態を踏まえて判断します。無償だから自由な口コミ、有償だから直ちに違反、と分けることはできません。
謝礼を用意するときは、何を残す?
依頼前に、謝礼の内容と渡す条件を書面にします。私たちが提案する運用では、肯定的な回答や高評価を謝礼の条件にしません。回答しても公開を認めない選択ができるかも、事前に決めます。
社内の管理記録では、依頼文、渡したもの、回答の原文、編集した原稿をひとまとめにします。後から表示の関係性を調べる際、掲載ページだけでは経緯を説明できないためです。
謝礼があるなら、その事実を掲載文の近くで説明する方針にできます。ただし、謝礼の説明を一文足せば、編集による誤解まで解消するわけではありません。広告としての関与が分かるかと、内容が正確かを別々に確認します。
自社のページでもPR表示が必要?
運用基準では、自社サイトのように事業者の表示と明らかなものは告示の対象外としています。ただし、その中でも第三者の客観的な意見に見せ、実際は自社が依頼・指示した表示には注意が必要です。
掲載時には、たとえば自社が依頼して集め、原稿を確認してもらった声であることを説明します。謝礼を渡したなら、その関係も隠さないようにします。これは掲載方法の提案で、すべての表示に同じ定型文を付けるという法律の決まりではありません。
説明は、声を読む前か近くに置いて読めるかを確認します。ページ末尾の小さい字や、長い注記に埋もれていれば伝わりません。自社で比較やランキングも扱うなら、第三者の評価に見せないための注意も合わせて確認してください。
感想はどこまで編集できる?
誤字、言いよどみ、同じ説明の重複を整える際は、原文と編集後の文を並べます。何を省いたか、どの条件を残したかを相手が確認できる形にしてください。短くしたという説明だけで承認を求めません。
特に、良かった点と困った点が一緒に書かれた回答から、良かった点だけを抜く編集に注意します。運用基準は、第三者の声の恣意的な抽出や変更にも触れています。本人が一部を認めたことと、読者へ全体を正しく伝えることは同じ確認ではありません。
本文を承認してもらっても、見出しで評価を強めていれば食い違います。題、抜粋、写真の説明、広告への転用文まで、使う版を確認します。AIで要約して意味が変わった文を、承認済みの声として出すことも避けます。
社名や氏名、写真の許諾はどう確認する?
文章の掲載許可と、社名・氏名・所属・ロゴ・写真の使用許可を分けて聞きます。会社として公開を認める担当と、発言した本人の確認先が違うこともあります。窓口へ、誰の承認が必要かを確かめます。
このコラムでは個人名や取引先名を載せません。一般に声を掲載する会社でも、名前を出さない選択肢を用意できます。ただし、匿名にしただけで確認を終えないでください。部品の特徴や背景の設備から、取引先や案件が分かる写真もあります。
公開前に確認するもの
- 掲載する原稿と、抜粋・写真の内容
- 使ってよい媒体と、広告などへの転用範囲
- 依頼・編集・謝礼についての説明
- 修正や取り下げを受ける連絡先
許諾の返答は、どの原稿を確認したものか分かる形で保存します。後から別のページへ移すときは、最初に合意した利用範囲を読み直します。範囲に入らない広告へ、サイト掲載の許可だけで転用しません。
掲載した後は、何を点検する?
声が述べているサービスと、現在の受付条件を比べます。過去の個別対応を、今も全員へ約束する案内にしないようにします。フォームへ進む前に、現在の条件も読めるかを確認してください。
私たちは自社メディアで、新しい記事から既存記事へリンクしながら、逆向きのリンクを張り忘れました。出典は自社メディアの運営記録です。声のページも作成だけで終えず、関連する製品情報から読めるか、読んだ後に条件へ戻れるかを確認します。
オウンドメディアの構築と運用で声を使うなら、件数をそろえる前に、実際の原文と許諾の範囲を整理します。集まらない部分を創作で埋めず、今ある声を正確に掲載するところから進めてください。
制度・出典の確認日:2026年10月23日。