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COLUMN 13 / オウンドメディア

課題解決事例の書き方|製造業の導入事例を相談につなげる7つの部品

公開 2026.09.28文・ナギサコーポレーション

この記事の答え

  • 題は「〈材質・工法〉で〈部品名〉の〈何が良くなったか〉⁠」⁠の形にする
  • 相談前→やったこと(3段階まで)→結果→判断のポイントの順に書く
  • 結果の数字は、お客様が確認したものだけ。無ければ数字を書かない
目次

課題解決事例は、決まった部品を決まった順に並べて書きます。題は「〈材質・工法〉で〈部品名〉の〈何が良くなったか〉⁠」⁠、本文は要約カード、相談前、やったこと、結果、判断のポイント、最後に事例ごとの相談ボタンです。結果には、お客様が確認した数字だけを書きます。

事例は誰が、何のために読む?

製造業の事例を読むのは、いま同じような問題を抱えている設計者や購買の担当者です。彼らが確かめたいのは「この会社は、自分と同じ条件の仕事をしたことがあるか」です。

だから事例では、会社の頑張りより条件を先に見せます。材質、形状、数量、業界、困っていたこと。ここが自分と重なれば読み進め、重ならなければ閉じます。題と要約カードで、その判断を数秒でできるようにします。

事例を組み立てる7つの部品

1. 題:〈材質・工法〉で〈部品名〉の〈何が良くなったか〉

題には、条件と結果の両方を入れます。

  • 良くない例:「A社様 導入事例」「樹脂成形の改善事例」
  • 良い例(例):「POMの射出成形で、薄肉ギアの反りを抑えて組付け不良を減らした」

良い例のほうは、「POM 薄肉 反り⁠」⁠で検索した人が題だけで自分の話だと分かります。社名はここに要りません。

2. 要約カード

本文の前に、次の項目を表にして置きます。読む人はここだけを見て、続きを読むか決めます。

項目 書く内容(例)
業界 事務機器
部品 樹脂製の小型ギア
材質・工法 POM/射出成形
相談前の困りごと 成形後の反りで組付けに不良が出る
結果 お客様が確認した数字。無ければ何ができるようになったか

3. 相談前

お客様が何に困っていて、何をすでに試していたかを書きます。すでに試したことを書くのが大事です。読む人も同じことを試している可能性が高く、「それでも駄目だったのか⁠」⁠と自分の状況に重ねて読めます。

(例)「金型の冷却時間を延ばして反りを抑えようとしたが、成形の周期が長くなり、コストが合わなくなっていた。」

4. やったこと(3段階まで)

手順は3段階までにします。現場では10以上の作業をしていても、読む人に伝えるべき判断は多くありません。細かい条件は伏せてよく、どちらにしても出せない情報が多いはずです。

(例) 1. 反りの出方を測り、どの肉厚差が効いているかを特定した 2. リブの位置と肉厚を見直す設計変更を提案した 3. ゲート位置を変えた試作型で、反りの出方を比べた

「特殊なノウハウで解決」のように中身を隠しすぎると、読む人は何も判断できません。何を確かめて、何を変えたかは書きます。

5. 結果(お客様が確認した数字だけ)

結果に書く数字は、お客様が確認し、掲載を認めたものだけにします。自社側の推定や、1ロットだけの数字を全体の結果のように書いてはいけません。

(例)「組付け工程での不良率が〇%から〇%に下がった(お客様の検査記録による)」

数字が出せない場合は、何ができるようになったかを書きます。

(例)「冷却時間を元に戻しても反りが規格内に収まり、当初の成形周期で量産を始められた」

数字を作らない

「コスト30%削減」のような数字は目を引きますが、確認できない数字を1つ載せると、ほかの事例まで疑われます。書いた数字の出どころは、社内で説明できるようにしておきます。

6. 判断のポイント

読む人にとって一番使えるのは、この段落です。なぜその方法を選んだのか、どういう条件なら別の方法を勧めるかを書きます。

(例)「反りの原因が肉厚差にある場合、冷却時間の延長より設計変更のほうが周期を守れる。一方、形状を変えられない部品では材質の変更を先に検討する」

この段落は、事例を見ていない人にも役に立つ一般的な判断になります。AIでは書けない部分で、社内の技術者に聞き取らないと出てきません。

7. 事例ごとの相談ボタン

最後の相談ボタンの文言は、事例ごとに変えます。「お問い合わせ」だけでは、読んだ人が何を送ればいいか分かりません。

  • (例)「POMの反りについて、図面を添えて相談する」
  • (例)「薄肉部品の試作から相談する」

ボタンの近くに、相談のときに送ってほしいもの(図面、材質、数量、使う環境⁠)⁠を書いておくと、やりとりの往復を減らせます。図面を添付できるフォームの作り方はBtoBサイトの問い合わせ導線⁠で扱っています。

書き直しの例:よくある事例文を型に当てはめる

型に当てはめる前と後で、同じ内容がどう変わるかを見てください。どちらも例です。

書き直す前(例)

お客様から樹脂部品の品質についてご相談をいただきました。当社の長年培った技術とノウハウで、課題を解決することができました。お客様からも大変ご満足いただいております。

この文からは、材質も部品も、何に困っていて何をしたかも分かりません。読んだ設計者は、自分と同じ話かどうかを判断できません。

書き直した後(例)

題:POMの射出成形で、薄肉ギアの反りを抑えて組付け不良を減らした

相談前:冷却時間を延ばして反りを抑えていたが、成形の周期が長くなりコストが合わなくなっていた。

やったこと:反りの出方を測って肉厚差の影響を特定し、リブの位置と肉厚を見直す設計変更を提案。ゲート位置を変えた試作型で比べた。

結果:冷却時間を元に戻しても反りが規格内に収まった。

判断のポイント:原因が肉厚差なら、冷却時間の延長より設計変更のほうが周期を守れる。

「ご満足いただいております」のような感想は、書き直した後には入っていません。お客様の感想を載せるなら、お客様自身の言葉を、本人の許可を取ってそのまま載せます。自社で書いた感想を「お客様の声」として出すことはしません。

事例の材料を技術者から聞き出す

事例の材料は、担当した技術者が持っています。ただ「事例を書きたいので話してください⁠」⁠と頼むと、うまくいった結果の話だけが返ってきがちです。

型の部品ごとに、質問を分けて聞くのがこつです。

  • 相談前:お客様は、うちに来る前に何を試していましたか
  • やったこと:最初に確かめたのは何ですか。一番効いた変更はどれですか
  • 結果:お客様の側で、何か数字を測っていましたか
  • 判断のポイント:同じ相談でも、別の方法を勧めるのはどんな条件のときですか

最後の質問が、事例の価値を一番左右します。聞き取り全体の進め方は社長・技術者への聞き取りから記事を作る手順⁠にまとめています。

事例を書くときに確かめること

公開の前に、次の点をお客様と社内で確かめます。

  • 社名、品番、図面の寸法が出ていないか
  • 業界と部品の種類から、客先が特定されないか(業界に数社しかない場合は業界をぼかす)
  • 結果の数字を、お客様が掲載してよいと言っているか
  • 写真に、客先の設備や他社の製品が写り込んでいないか

特定されそうな場合は、業界を一段広くします。「医療用の輸液ポンプ」なら「医療機器」、というように言い換えます。

事例は何本あればいいか

事例は1本からでも載せる価値があります。本数を揃えるまで待つより、1本ずつ出していくほうが、検索に出るまでの時間を早く稼げます。

増やすときは、同じような事例を重ねるより、条件の違うものを足します。材質が違う、業界が違う、数量が違う(試作1個と量産⁠)⁠。条件の幅が広がるほど、「うちの条件でも頼めるか⁠」⁠と迷っている人が自分の事例を見つけやすくなります。

事例の一覧はどう並べる?

事例が増えたら、材質・工法・業界で絞り込める一覧を作ります。読む人は「POMの事例」「医療機器の事例」のように自分の条件で探すからです。

私たちの暦のメディアで、情報を表の1セルに押し込めていたために検索に出ていなかったことがあります。見出し付きの節に格上げしたら、47ページ・39ページといった単位で効きました。事例も同じで、一覧の表の1行に概要だけを詰め込むより、1事例1ページにして見出しを立てたほうが検索される言葉を拾えます。この経緯は持っているデータの出し方を変えた事例⁠に書きました。

私たちの事例ページも、自社メディアの実測を題・要約カード・やったこと・結果の順で書いています。書き方の見本として暦のメディアで表示ページ率を上げた事例⁠も見てみてください。

事例と技術記事の関係

技術記事は「何が原因で、どう直すか」という一般的な問いに答えます。事例は「実際にこの会社がやったか⁠」⁠に答えます。読む人は技術記事で問題を理解し、事例で依頼先としての信用を確かめます。

技術記事の末尾から同じ材質・工法の事例へ、事例の末尾から関連する技術記事へ、双方向にリンクを張ってください。製造業の技術相談サイトでの並べ方は製造業のオウンドメディア:技術相談サイトの型に、記事づくり全体はオウンドメディアのカテゴリ⁠にまとめています。

よくある質問

導入事例の題はどう付ければいいですか?

「〈材質・工法〉で〈部品名〉の〈何が良くなったか〉⁠」⁠の形にします。「A社様の事例」のような題では、検索する設計者が自分と同じ条件かどうかを判断できません。

客先の社名を出せない事例でも意味はありますか?

あります。読む人が知りたいのは社名より「自分と同じ材質・形状・困りごとか」です。業界と部品の種類が分かれば、社名が無くても自分ごととして読まれます。

効果の数字が無い事例は載せないほうがいいですか?

数字が無くても載せて構いません。お客様が確認していない数字を推定で書くほうが危険です。数字の代わりに、何ができるようになったかを具体的に書きます。

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