中小企業省力化投資補助金とは、人手不足に悩む中小企業等が、IoTやロボットなど人手不足の解消に効果がある設備を入れる費用の一部を、国が補助する制度です。中小企業基盤整備機構(中小機構)が実施し、カタログ注文型と一般型の2つの型で申請できます。
先に決めるのは、どの作業を減らしたいかです。カタログに載っている製品で済むならカタログ注文型、工場の工程に合わせて設備やシステムを組むなら一般型を見ます。
この記事は、2026年10月25日に公式サイトと、それぞれの公募要領を開いて確かめた内容です。カタログ注文型は公募要領(令和8年10月20日改訂)、一般型は第8回の要領(2026年8月、9月18日改訂)です。一般型の第9回の要領が出たら、条件は開き直してください。
カタログ注文型と一般型は、どう違う?
| 比べる点 |
カタログ注文型 |
一般型(第8回) |
| 対象 |
カタログに登録された製品 |
現場に合わせて設計した設備・システム |
| 補助上限 |
最大1,000万円(1,500万円) |
最大8,000万円(1億円) |
| 補助率 |
1/2以下 |
1/2。小規模事業者などは2/3 |
| 受付 |
随時 |
公募の回ごと |
| 事業の期間 |
原則、交付決定から12か月以内 |
交付決定から17か月以内 |
補助上限は従業員数で変わり、表は各型でいちばん大きい区分の額です。カッコ内は、賃上げの特例を受けたときの額です。
カタログ注文型は、どう申請する?
カタログ注文型は、事務局の製品カタログに登録された省力化製品を選んで入れる型です。製品カテゴリは工業会などが申請し、国が認めたものだけが載ります。申請は、登録された販売事業者と共同で行います。
補助上限は、2026年3月19日の制度改定で従業員20人以下の区分が引き上げられました。改定後の額は次のとおりです。
| 従業員数 |
補助上限 |
大幅な賃上げをする場合 |
| 5人以下 |
500万円 |
750万円 |
| 6〜20人 |
750万円 |
1,000万円 |
| 21人以上 |
1,000万円 |
1,500万円 |
補助率は1/2以下で、製品の購入価格が製品ごとに決められた補助上限額の2倍を超えると、1/2を下回ります。対象の経費は、製品の本体価格と、設置や運搬、動作確認、マスタ設定などの導入の費用です。
スケジュールのページでは、申請は随時受付で、採択・交付決定は申請から概ね1〜2か月の予定と案内しています。公募要領は、令和9年3月末頃までの間に申請を受け付けるとしています。
申請する計画には、補助事業が終わったあとの3年間、毎年、労働生産性を年平均成長率3.0%以上伸ばす目標が要ります。労働生産性は、営業利益・人件費・減価償却費を足した付加価値額を、従業員数で割った値です。
製造業では、どんな製品が載っている?
カタログには、工場の作業に近いカテゴリも並んでいます。2026年4月23日に追加されたものにはAIで外観を検査する画像処理システムがあり、ほかにもプレスブレーキ用ロボットシステム、ローダ付きNC旋盤、無人フォークリフト(AGF)、3Dプリンタなどがあります。
検査員が目で見ている外観検査を減らしたいなら、まずそのカテゴリに自社の製品やライン速度に合う製品があるかを探します。カテゴリが合っていても、どの製品でも対象になるわけではありません。製品ごとの登録を、販売事業者と一緒に確かめてください。
一般型は、どんな会社に向く?
一般型は、カタログに無い設備や、複数の機器を組み合わせた仕組みを入れたい会社向けです。要領は、対象となる設備を次のように定義しています。
ICT や IoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などを通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム
汎用の設備やパッケージソフトを単体で入れるだけの事業は対象外です。ただし、汎用の設備でも、周辺機器や機能が導入する環境で変わる場合や、組み合わせてより高い省力化の効果を出す場合は、この専用の設備とみなされます。
たとえば、溶接ロボットに、ワークを並べる搬送装置と、仕上がりを確かめるカメラを組み合わせ、SIerに自社のラインに合わせて組んでもらう計画です。ロボットを1台買うだけなら、先にカタログ注文型で探します。
一般型の経費と要件は?
対象の経費は、機械装置・システム構築費(必須)、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費です。
- 単価50万円(税抜き)以上の設備投資が1つ以上要る。リースなどの借用は数えない
- 機械装置・システム構築費以外の経費は、合わせて500万円(税抜き)まで
- 発注先1件あたり50万円(税抜き)以上は、同じ条件での相見積もりが原則
- システム構築費は、積算の根拠が分かる見積書と仕様書が要る。システム開発一式のような見積もりは認められない
計画には、労働生産性の年平均成長率4.0%以上、1人あたり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上、事業場内の最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高くする、の3つが基本の要件として入ります(従業員21人以上は一般事業主行動計画の公表も)。給与の目標に届かないと、達成率に応じて補助金を返す決まりです。
省力化の効果は、省力化指数という数字で示します。要領の式は、設備で減る業務の時間から、導入後に新しく発生する業務の時間を引き、減る業務の時間で割るものです。入れる前に、今その作業に何時間かかっているかを測っておかないと、この数字が書けません。
一般型はいつ申請できる?
一般型のスケジュールでは、第8回の応募は2026年10月16日17時で締め切られました。第9回は、2026年11月上旬に公募開始、12月上旬に申請受付開始、12月下旬に締切の予定です(10月25日時点)。公募は年3〜4回の予定と書かれています。
申請にはGビズIDプライムのアカウントが要ります。取得には時間がかかると公式サイトも案内しているので、まだ無いなら先に手続きします。
どちらも、交付決定の前に買わない
カタログ注文型も一般型も、交付決定の前に買った製品や、発生した費用は対象外です。一般型の要領は「いかなる理由であっても事前着手は認められません」と書いています。見積もりや資料を集める段階で、注文書にサインしないよう気をつけてください。
国の別の補助金と経費が重なる事業も対象になりません。申請するときは、これまでに受けた、または申請中の補助金を入力する必要があり、書かずにいると虚偽の申請として不採択になります。
ものづくり系の補助金とは、どう分ける?
| 比べる点 |
省力化投資補助金 |
新事業進出・ものづくり補助金 |
| 目的 |
今の作業を減らす |
新しい製品・事業を始める |
| 向く例 |
検査・搬送・加工の自動化 |
新製品の開発、新しい市場への進出 |
| Webサイト |
対象の経費に区分が無い |
補助事業のPRサイトは広告宣伝・販売促進費 |
| 受付 |
カタログは随時、一般型は回ごと |
回ごと(第1回は10月30日締切) |
新しい補助金のほうは、既存の製品の工程を良くするだけの事業を、革新的新製品・サービス枠の対象外としています。今の作業を減らしたいのか、新しい事業を始めたいのかで、見る制度が変わります。くわしくはものづくり補助金の経費にまとめています。
社内のパソコン作業を減らすなら、設備投資の補助金を探す前に、業務効率化ツールの選び方のように作業ごとに道具を当てはめるほうが早いこともあります。画面の打ち込みはRPAの向き不向き、紙の書類の入力はOCRの仕組みで扱っています。
採択されるかどうかは審査で決まり、交付決定を受けても全額を受け取れるとは限らない、と要領にあります。私たちはAIによる業務効率化の相談で、どの作業にどれだけ時間がかかっているかを書き出すところから一緒に整理しています。補助金の申請そのものは、事務局のコールセンターや支援機関に確かめてください。会社の情報発信を含めた話はオウンドメディアの記事にあります。
制度・出典の確認日:2026年10月25日。カタログ注文型の公募要領(令和8年10月20日改訂)と、一般型の第8回公募要領に基づきます。