AIに引用される文章に、特別な書き方はありません。Googleは生成AI機能向けの最適化ガイドで、生成AI検索のためだけに特定の書き方をする必要はない、と書いています。AIは同じ意味の言い換えや全体の意図を理解できるので、言い回しのすべての組み合わせを押さえなくてよい、という説明です。
では何が引用を分けるのか。私たちは3つに整理しています。ページが検索の候補として取ってこられること。問いへの答えが、ページの見える場所にはっきり書いてあること。そして、ほかのページに無い情報があることです。
AIは、どのページから引用している?
Google検索のAI Overviews や AIモードは、通常の検索の仕組みでページを取ってきて、その中身を根拠に答えを作ります。Googleのガイドはこれを検索拡張生成(RAG)と呼び、根拠にしたページへのリンクを答えの中に表示すると説明しています。
つまり、通常の検索で候補に上がらないページは、AIの答えの根拠にもなりにくいということです。GoogleはAI機能に出る条件として、ページがインデックスされていて、スニペット付きで表示できることを挙げています。nosnippet などで抜粋を止めているページは対象になりません。
ChatGPTの検索は、OpenAIの検索用クローラー(OAI-SearchBot)が集めたページを使います。OpenAIは公式ページで、このクローラーを止めたサイトはChatGPTの検索の答えに表示されないと書いています。書き方を工夫する前に、robots.txt で止めていないかを確かめてください。クローラーの一覧と止め方はAIOとLLMOの意味と、SEOとの違いにまとめています。
書き方1:問いに1文で答えてから、説明する
取引先の設計者が「樹脂部品 ヒケ 原因」と検索したとします。よくある書き出しはこうです。
射出成形では、さまざまな成形不良が発生します。品質を保つためには、不良の種類と原因を正しく理解することが欠かせません。本記事では、代表的な不良のひとつであるヒケについて…
3文読んでも、ヒケの原因が出てきません。答えを先に書くと、こうなります。
ヒケとは、成形品の表面が部分的にへこむ不良です。主な原因は、肉厚の部分で樹脂が冷えて縮む量に、保圧で押し込む樹脂の量が追いつかないことです。対策は、成形条件・金型・製品形状の3方向から考えます。
最初の2文だけを切り取っても、問いへの答えとして成り立っています。「〇〇とは、〜です。」という定義の文から始めると、読む人にとっても、答えの根拠を探すAIや検索エンジンにとっても、どこが答えかがはっきりします。見出しも、読者が検索窓に打つ問いの形にしておくと、その見出しの下の段落が何への答えかが明確になります。
これはAI専用の技術ではありません。Googleのガイドも、段落と節に分け、分かりやすい見出しを付けるといった「読者のための整理」を勧めています。人に分かりやすい文章が、そのまま機械にも分かりやすいというだけです。
書き方2:聞かれている「情報」をページに書く
Googleは、言い回しの違いまで気にしなくてよいとしています。ただ、言い回しの問題と、聞かれている情報そのものが無い問題は別です。私たちは後者で損をしていました。
私たちの実測(暦のメディア・1,077ページ)
Search Console で(検索語, ページ)の組を取り、その語がページ本文に書かれているかを機械で照合しました。来ている語がページに無いことが多くありました(経緯は検索語と本文を照合した暦メディアの事例)。
暦のページでは、読みをかなで書いてはいたものの、「読み方」という語が一度も無いページが312ありました。検索される語で書き直しています。
出典:Google Search Console(2026年8月21日以降の作業記録)
製造業のサイトに置き換えると、「対応できる最小ロット」を聞かれているのに、会社概要に設備一覧しか無い、という状態です。問い合わせの前に取引先が知りたいことは、たいてい営業担当が電話で毎回答えていることです。それをページに書くのが、いちばん確実な改善です。
Search Console を見ると、自社のページがどんな検索語で表示されているかが分かります。表示されているのに、その問いへの答えがページに無い語を探してください。見方はSearch Consoleで最初に見る4つの数字で説明しています。
書き方3:自社にしかない情報を書く
Googleのガイドがいちばん強く求めているのは、ありふれた内容ではない、独自の視点と経験にもとづく内容です。ガイドは、誰でも書ける一般論の例として「初めて家を買う人のための7つのコツ」のような記事を挙げ、経験にもとづく具体的な記事と対比させています。ほかの人がすでに書いたことや、生成AIで簡単に作れることを繰り返すな、とも書いています。
製造業で言えば、次のようなものが「自社にしかない情報」です。
- 実際に起きた不良と、条件をどう変えたら直ったかの記録
- 自社の設備で対応できる寸法、材質、公差の範囲
- 試作から量産までに実際にかかった日数の例
- 断った依頼と、その理由(できないことの線引き)
「ヒケの一般的な原因」はどの成形メーカーのサイトにも書けますし、AIも自分で答えられます。「肉厚6mmのPOM部品で、保圧時間を何秒延ばしたら直ったか」は、その会社にしか書けません。社内の技術者から話を聞いて記事にする手順は社長・技術者への聞き取りから記事を作る手順にまとめています。
書き方4:数字には、出どころと時点を添える
数字を書くときは、何で測ったのか、いつの数字なのかを同じ文の近くに書きます。私たち自身、このサイトでは自社の数字に必ず期間と出どころ(Search Console など)を添えています。
これは、読む人が数字を信用できるかどうかを判断するための書き方です。AI検索でも、出どころの無い数字は答えの根拠として扱いにくいはずだと私たちは考えていますが、それを確かめた公式の説明はありません。
「統計を入れるとAIに引用されやすい」という話は、2023年のGEOの研究論文が出どころのことが多いようです。この論文は、出典や数字を加えると生成エンジンの答えの中での見え方が最大40%上がったと報告しています。ただし研究者が用意した質問集と環境での実験で、Google検索で確かめたものではありません。数字を入れる理由は、あくまで読む人のためと考えてください。
書き方5:答えを表のすみや注釈に隠さない
持っている情報でも、出し方によっては無いのと同じになります。私たちの暦のメディアでは、次のような「持っているのに見せていない」状態が見つかりました。
| 持っていたもの |
どう損をしていたか |
直し方 |
| 神社の特色(銭洗い等) |
表の1行に押し込めていた |
見出し付きの節に格上げ(47ページ) |
| 売り場の当せん実績 |
表の1セルに押し込めていた |
見出し付きの節に格上げ(39ページ) |
| 一覧ページのFAQ |
構造化データにだけ入れ、画面に出していなかった |
画面にも出す(一覧すべて) |
表は一覧で比べるには便利ですが、1つのセルに詳しい説明を押し込めると、見出しも段落も無い情報になります。取引先が「〇〇の特徴」と調べたとき、その答えが表の7行目の3列目にあっても、探し当ててもらえるとは限りません。
製造業のサイトでよくあるのは、設備一覧の表の備考欄に、実は強みになる情報(「〇mmまでの深物に対応」など)が書いてある形です。それが問い合わせの決め手になる情報なら、見出しを立てて1つの節にしてください。
構造化データにだけ答えを入れてしまう失敗については、構造化データの役割と、画面に見えないことを書かない決まりで詳しく書いています。
やらなくていいこと
Googleのガイドが、AI検索のために「やらなくていい」としているものです。
- 文章をAIのために細かく切り分けること。Googleは、ページの中に複数の話題があっても関連する部分を見つけられると説明し、理想のページの長さは無いとしている
- 言い換えや関連する質問ごとに、別のページを量産すること。順位やAIの答えを操作する目的なら、大量生成コンテンツの不正利用に関するスパムポリシーに違反する
- 不自然に「言及」を集めること
- llms.txt などのAI向けファイルを作ること(Google検索は使っていない)
1つ目と2つ目は、AI検索向けの対策としてよく勧められているものです。私たちの自社メディアでも、立ち上げ間もない4サイトを調べたときは、切り口ごとの一覧ページより記事のほうが検索に表示されやすいという結果でした(立ち上げ間もない4サイトの実測)。ページの数より、1ページの中身です。
引用されたかを確かめる
Google検索については、Search Console の生成AI機能のパフォーマンスレポートで、AI Overviews と AIモードでの表示回数を、ページごと・国ごと・端末ごとに見られます。表示が少ないサイトでは、データがまだ出ないことがあります。
直した記事がAI機能に表示されるようになったかは、このレポートで数週間単位で見てください。1回の検索で出た・出なかったは、利用者や時点で変わるので判断材料になりません。
AI検索対策の全体像はAI検索対策(LLMO)の領域ページに、自社サイトで直す順番は自社サイトのLLMO対策に、引用されたかの記録のしかたはAIでの見え方の測り方にまとめています。