要約
私たちが運営する暦のメディア(1,077ページ)で、新しい記事を書く代わりに、すでに持っていた情報の出し方を変えました。直したのは5か所です。ページはデータから自動で組み立てているので、1つの直しが数十〜数百ページにまとめて反映されました。
この作業は、暦のメディアで表示ページ率を追った記録の「やったこと」の一部です。同じ時期に別の改善も並行しているので、この直しだけの効果を切り分けた数字は出せません。そのことも含めて書きます。
状況:答えを持っているのに、ページで答えていなかった
このサイト(oshiounki.jp)は、暦の吉日、神社、宝くじ売り場などの情報をデータとして持ち、テンプレートでページを作っています。
検索に出ていないページを調べていくと、情報が足りないのではなく、持っている情報の出し方で損をしている箇所がいくつも見つかりました。
たとえば暦の年ごとのページです。「2026年の天赦日」のようなページでは、日付の一覧は出していましたが、天赦日の意味や避けることは「意味はこちら」とリンクで別のページに送っていました。説明文はデータとして持っていたのに、検索した人が一番知りたい「それは何か」にその場で答えていなかったのです。
神社のページでは、銭洗いのような特色を表の1行に押し込めていました。売り場のページでは、当せんの実績を表の1セルに押し込めていました。どちらも読み手が探している情報ですが、見出しがないので検索エンジンにも読み手にも目立ちませんでした。
やったこと
直したのは次の5か所です。
| 持っていたもの |
どう損をしていたか |
直し方 |
効いた範囲 |
| 暦の説明・避けること・FAQ |
年ごとのページでは「意味はこちら」とリンクで送っていた |
その場で答える |
300ページ |
| 神社の特色(銭洗い等) |
表の1行に押し込めていた |
見出し付きの節に格上げ |
47ページ |
| 売り場の当せん実績 |
表の1セルに押し込めていた |
見出し付きの節に格上げ |
39ページ |
| 暦の読み方 |
本文にはかなで書いてあるのに「読み方」という語が一度も無かった |
検索される語で書き直す |
312ページ |
| 一覧ページのFAQ |
構造化データにだけ入れて、画面に出していなかった |
画面にも出す |
一覧すべて |
その場で答える
年ごとのページに、暦の意味・避けること・よくある質問を直接出しました。リンク先のページを消したわけではなく、年ごとのページでも答えを読めるようにしたものです。
見出し付きの節に格上げする
表の1行・1セルに入っていた神社の特色や売り場の実績を、それぞれ見出しの付いた節に出しました。表は一覧として残し、詳しい内容は節で読めるようにしています。
検索される言葉で書き直す
暦の読み方は、本文にかなで書いてありました。ところが「読み方」という言葉が一度もありませんでした。「〇〇 読み方」と検索する人に、このページが答えていると伝わらない状態です。読み方を示す行に「読み方」という語を入れました。
画面にも出す
一覧ページのよくある質問は、構造化データ(検索エンジン向けの目印)にだけ書いて、画面には表示していませんでした。読み手に見えない内容を構造化データにだけ書くのは、Googleのガイドラインにも合いません(Google 検索セントラル:構造化データに関する一般的なガイドライン)。画面にも出すように直しました。
見つけ方
損をしている箇所は、次の順番で探しました。
- 検索で上位のページが、どんな見出しの骨格になっているかを調べる
- 自サイトの同じ種類のページで、
<h3>(小見出し)の数を数える
- 載っている件数より見出しが少なければ、表に押し込めている疑いがある
- データ側のファイルを開き、持っているのに出していない項目を探す
たとえば、神社の特色を5つ持っているのに小見出しが1つしかなければ、残りは表か本文の中に埋もれています。数を比べるだけなので、機械で全ページを一度に調べられます。
結果
直しは5か所で、反映されたページは次のとおりです。
- 暦の説明をその場に出した:300ページ
- 読み方を検索される語で書き直した:312ページ
- 神社の特色を節に格上げした:47ページ
- 売り場の実績を節に格上げした:39ページ
- FAQを画面にも出した:一覧ページすべて
同じ時期のサイト全体の数字は次のとおりです。
| 測った日 |
表示ページ率 |
表示回数 |
平均順位 |
| 2026-08-21 |
29.8%(306 / 1,028) |
1,706 |
24.1 |
| 2026-09-05 |
59.6%(642 / 1,077) |
8,331 |
23.7 |
| 2026-09-27 |
46.4%(500 / 1,077) |
5,585 |
19.3 |
出どころ:Google Search Console(各日の直近28日)。
この数字の読み方
上の表は、この事例の直しに加えて、検索語の照合・見出しの修正・内部リンクの追加をまとめて行った期間のサイト全体の数字です。どの直しがどれだけ効いたかは切り分けていません。9月に下がった理由(推測)は暦のメディアの事例に書いています。
うまくいかなかったこと
読み方は、書いてあるのに伝わっていなかった
「読み方」の抜けは312ページにわたっていました。どのページも、かなの読みは最初から本文に書いてありました。情報が足りなかったのではなく、検索される言葉で書いていなかっただけです。情報を持っていることと、それが検索する人に伝わることは別でした。
効果を切り分けられなかった
複数の直しを同じ時期にまとめて入れたので、どの直しがどれだけ効いたかは言えません。1つずつ入れて測れば切り分けられますが、そのぶん改善が遅れます。私たちは早さを取りました。
構造化データに入れただけで、載せたつもりになっていた
一覧ページのFAQは、構造化データの中には入っていました。ソースを見れば確かにあるので、「載せた」扱いになっていました。画面に表示されているかどうかは、ソースではなく実際のページを見ないと分かりません。
御社のサイトに当てはめると
製造業の会社は、出していない情報をたくさん持っています。加工できる寸法の範囲、材質ごとの注意点、過去の不良とその対策などです。会社HPでは、これが設備一覧の表の1行や、PDFのカタログの中に埋もれていることがよくあります。
たとえば「対応材質」の表に「SUS304、SUS316、アルミ(A5052)…」と並べているだけなら、材質ごとに「どんな部品で使ったか」「加工で気をつけたこと」を見出し付きで書く余地があります。設計者は「A5052 曲げ 割れ」のように材質と困りごとで検索するので、表の1セルでは答えになりません。
調べ方はこの事例と同じです。
- 社内にある資料(カタログ、加工の可否表、過去の見積もりの注意書き)を並べる
- 会社HPやオウンドメディアに、それが見出し付きで出ているかを見る
- 表やPDFに押し込めているものから、検索されている言葉のものを節やページに格上げする
新しい記事を書くより、持っている情報を正しく出すほうが、少ない手間で多くのページに効くことがあります。検索される言葉の選び方はミドルワードとは:受け皿ページの作り方に、社内の話を記事にする手順は社長・技術者への聞き取りから記事を作る手順にまとめています。記事づくり全体はオウンドメディアのカテゴリから読めます。