データのページで前の年と比べるときは、割合どうしの差はポイント、増え方の割合は%と書き分けます。差だけでなく、前年の値と、それぞれの時点と出典を並べて書きます。定義や集計の方法が変わった年には注記を付け、順位の変化は何社中かと一緒に書きます。
平均と中央値、母数、時点の読み方は統計の数字の読み方にまとめました。ここでは、2つの年の数字を並べて、変化を言葉にするときの書き方に絞ります。
ポイントと%は、何が違う?
割合が別の割合に変わったとき、その差はポイントで書きます。%で書くのは、元の値に対してどれだけ増えたかの割合です。
| 書きたいこと |
計算 |
書き方 |
| 割合の差 |
12.0 − 10.0 |
2.0ポイント上がった |
| 増えた割合 |
(12.0 − 10.0) ÷ 10.0 |
20%増えた |
離職率が10.0%から12.0%になったとき、「離職率が2%上がった」と書くと、読者は10.0%の2%、つまり10.2%になったと読むかもしれません。「2.0ポイント上がった」と書けば、取り違えは起きません。
国の統計は、どう書いている?
総務省統計局の労働力調査の月次結果は、この書き分けをしています。2026年10月26日に見た2026年8月分の結果(10月2日公表)では、要点が次のように書かれていました。
完全失業率(季節調整値)は2.5%。前月に比べ0.1ポイントの上昇
同じ要点で、人数は「就業者数は6849万人。前年同月に比べ14万人の増加」と、差を人数で書いています。割合の変化はポイント、人数の変化は人数です。データのページでも、この形に合わせれば読み違えが起きません。
もう1つ、比べる相手も書き分けられています。季節調整値の完全失業率は前月と、就業者数は前年同月と比べていました。季節で上下する数字を、季節の違う前の月とそのまま比べると、季節の動きを変化と読んでしまいます。前の年の同じ月と比べるか、季節の動きを除いた値で比べるかのどちらかです。
年に1回しか公表されないデータなら、比べる相手は前の年の公表です。月や四半期ごとのデータを載せるなら、どれと比べたかを「前年同月比」「前月比」のように文に入れます。
上がった・下がったの言葉
増減を表す言葉も、数字の種類で変えます。人数や件数は「増えた・減った」、割合は「上がった・下がった」とすると、文だけでどちらの数字かが分かります。差が0のときは「変わらなかった」と書き、「横ばい」のようなあいまいな言い方は、どこまでを横ばいとするかを決めていないなら使いません。
小数の桁も前年とそろえます。前年が11.8年、今年が12.30年のように桁がずれていると、差の0.5年が0.50年なのか分からなくなります。表記のそろえ方は数字と単位の書き方にまとめました。
前年の値と、時点と出典を並べる
前の年と比べる文には、次の5つをそろえます。
- 今年の値
- 前年の値
- その差(ポイントか、人数や件数)
- それぞれの値の時点
- それぞれの出典
差だけを書くと、読者は元の値を確かめられません。前年の値を前回取ったときのまま使っていると、元の統計の側で改定されていることもあります。
たとえば、上の労働力調査の同じ公表には、季節調整値を過去にさかのぼって改定したという注記も付いていました。前の月や前の年の値が、後から変わることがあるということです。前年の値は、取り直すたびに元の表から取り直します。取り直しの間隔と差分の取り方はデータの取り直しに書きました。
製造業の会社を並べるサイトなら、たとえば次のように書きます(数字は例)。
| 項目 |
今年 |
前年 |
| 平均勤続年数 |
12.3年(2026年3月時点) |
11.8年(2025年3月時点) |
| 出典 |
公表データ(2026年10月取得) |
公表データ(2025年10月取得) |
本文には「平均勤続年数は12.3年で、前年の11.8年から0.5年延びました」のように、両方の値を1文に入れます。
定義や集計の方法が変わった年は?
統計は、調べ方や数え方が途中で変わることがあります。その年をまたいで比べると、本当の変化と、定義が変わったことによる差が混ざります。
総務省統計局の家計調査は、2018年1月の調査から調査票や結果表を変えました。変更の説明には、住居の所有関係のうち民営借家に数える範囲を広げたことが書かれています。変更前は設備専用の民営の賃貸住宅だけ、変更後は設備共用の民営の賃貸住宅と借間も含める、という変更です。
同じ説明は、この変更で、二人以上の世帯のうち民営借家に当たる割合が、2016年平均で変更前11.4%、変更後11.7%になると示しています。同じ年の同じ世帯でも、数え方を変えるだけで0.3ポイントの差が出る、ということです。2017年と2018年の数字をそのまま並べて「0.3ポイント増えた」と書けば、定義の差を増加と書いたことになります。
こうした年をまたいで比べるときは、ページに注記を付けます。
- いつから、何が変わったか
- 変更の前後で比べられるか
- 元の統計の説明のURL
元の統計の説明に、変更の前後で比べるための値や方法が示されていれば、それを使い、使ったことを書きます。比べられる値が無ければ、前年との差は書かず、変更があったことだけを書きます。注記の残し方は更新履歴の見せ方でも扱いました。
順位の変化は、何社中かと書く
ランキングの順位が「3つ上がった」と書くだけでは、何も分かりません。並べる会社の数が変わると、数字そのものが同じでも順位は動きます。前年は215社だったランキングが、今年は230社になっていれば、新しく入った会社の分だけ順位はずれます。
| 書き方 |
読者に伝わること |
| 3つ上がった |
何も確かめられない |
| 12位(前年15位) |
母数が分からない |
| 230社中12位(前年は215社中15位) |
母数と両方の順位が分かる |
同じ値の会社があるときの順位の付け方や、母数の書き方はランキングページの作り方にまとめました。前年の順位は、前年の並べ方で付けたものを使います。今年の基準で並べ直した前年の順位を作るなら、そう書きます。
母数が変わったら、率を出さない
私たちの記録でも、数える対象が増えていた期間では、割り算した率を出していません。
私たちの実測(メーカー図鑑・Search Console)
比較のデータベースのサイトで、週ごとの検索結果での表示は、2026年10月8日〜14日の4,395回から、10月15日〜21日の13,612回に増えました。約3.1倍です。ただ、同じ週に比較ページも増えているので、原因は1つに決めていません。
28日間で検索結果に1回以上表示されたページは2,704ありましたが、期間中にページが増えているので、公開しているURLの数で割った率は出していません。
出典:自社サイトの Search Console(2026年10月24日に数えた)
比べる2つの期間で、数える対象そのものが変わっているときは、差や倍率だけを書き、変わった理由の候補を並べて書きます。1つの原因に決めつけないことも、前の年と比べるときの書き方の1つです。データのサイト全体の作りはデータベース型からたどれます。
仕様・出典の確認日:2026年10月26日。