企業データベースは、法人番号で会社を1社1行にまとめ、国の公開データから項目を足し、項目の少ない会社は検索に出さない、という順で作ります。会社の名前を集めることより、どの会社を何ページにするかを決めるほうが、出来を大きく左右します。
法人番号そのものの説明は法人番号とはで、国の公開データの利用規約の読み方はオープンデータの使い方で書きました。この記事は、それを使って会社の一覧のサイトを組み立てる手順です。確認した公式ページは2026年10月25日に開いたものです。
会社の母集団は、どこから取る?
国税庁の法人番号公表サイトには、全件データのダウンロードがあります。前月末時点で公表している法人の最新情報を、全国分または都道府県ごとに取れます。新しく番号が付いた法人や、商号の変更などは、日ごとの差分データで取れます。形式はCSVとXML、文字コードはShift-JISとUnicodeから選べます。
全件データには、登記記録の閉鎖等の年月日と事由の項目があります(リソース定義書で確認)。清算の結了や合併による解散で閉鎖された法人も、データの中にいるということです。そのまま全部をページにすると、もう無い会社のページが並びます。閉鎖した法人を載せないのか、閉鎖したと書いて残すのかを、最初に決めます。
差分データは、作ったページを直すときにも使えます。リソース定義書では、変更の種類を処理区分という項目で表していて、たとえば「12」は国内の本店所在地の変更、「21」は清算の結了や合併による解散などでの登記記録の閉鎖等、「22」は閉鎖等の後に登記記録が復活したことを表します。毎日の差分から、これらの区分に当たる会社だけを拾えば、全件を取り直さなくても、所在地が変わった会社や閉鎖した会社のページを直せます。
地域を絞って始めるなら、都道府県ごとのファイルが使えます。私たちの採用データのサイト(カイシャのホント)も、2026年10月23日に中国・四国の6県から始めました。
出典の書き方は、規約で決まっている
法人番号公表サイトの利用規約は、掲載している情報を、公共データ利用規約(第1.0版)に準拠した条件で使えるとしています。出典の記載例も示されています。
- そのまま使うとき:出典:国税庁法人番号公表サイト(国税庁)(当該ページのURL)
- 加工したとき:国税庁法人番号公表サイト(国税庁)(当該ページのURL)を加工して作成
加工した情報を、国が作ったかのような形で公表することは禁止されています。会社のページに国のデータと自社で調べた情報を並べるなら、どの値がどこから来たかを分けて書きます。国の数字を並べ替えて順位を付けたなら、順位を付けたのは自分たちだと分かる書き方にします。
項目は、どこから足す?
経済産業省のgBizINFOは、国税庁が法人番号公表サイトで出している法人番号、法人名、本店所在地の3つに、各府省が持つ情報をつないで公開しています。財務情報、特許、届出・認定、補助金、調達、表彰、職場情報などです。検索、REST API、CSVやJSONのダウンロードで取れます。利用規約は、使う前にgBizINFOのサイトで読んでください。
1社のページの項目は、出どころごとに分けて表にしておくと、更新の手順も決めやすくなります。
| 項目 |
出どころ |
更新 |
| 法人番号・名称・所在地 |
法人番号公表サイト |
差分データで追う |
| 認定・補助金・職場情報など |
gBizINFO・各府省のデータ |
取った日ごとに残す |
| 事業内容・主な製品 |
会社の公式サイト |
確認日を書く |
国のデータだけでは、どの会社のページもほぼ同じ形になります。会社の公式サイトで確かめた事業内容のように、手で足す項目があると、1社ごとの違いが出ます。手で足した値には、確認した日とURLを付けます。
会社をつなぐときに、つまずくところ
国のデータどうしは法人番号でつなげます。つまずくのは、法人番号を持たないデータとつなぐときです。会社の公式サイトや業界団体の会員名簿には、たいてい法人番号が書かれていません。名前と所在地で突き合わせることになります。
名前の突き合わせでは、文字の違いが問題になります。登記の名前には、一般のパソコンで扱いにくい文字が入っていることがあります。gBizINFOの説明では、そうした文字は、法人番号公表サイトで扱える範囲の文字に置き換えて表記しているとされています。法人番号公表サイトは、置き換えの対応を整理した表(JIS縮退マップ)を公開していて、置き換え先の無い文字はアンダーバーにしていると書いています。
ダウンロードの文字コードによって、同じ会社の名前の見え方が違うことがあるということです。突き合わせの前に、使う文字コードを1つに決めます。株式会社の前後の位置、全角と半角、所在地の番地の書き方もそろえてから比べます。突き合わせで1社に決めきれなかったものは、機械でつなげず、人が公式サイトを開いて確かめる列に回します。
中身の少ない会社は、1ページにしない
公開データで作ると、名前と所在地しか分からない会社がたくさん出ます。こうしたページは、読む人の判断材料になりません。Googleはnoindexの説明で、検索から外したいページにnoindexを付ける方法を示しています。
カイシャのホントでは最初、会社ページを12,261枚公開し、数字が5項目以上ある1,273枚だけを検索に出していました。この線の引き方はポータルサイトのSEOに書いています。
その後、2026年10月24日に、検索に出さない会社は1社1ページをやめ、市町村の一覧の中の1行にまとめました。京都府を足した試しの組み立てで、公開するファイルが17,361になったのがきっかけです。配信に使っている Cloudflare Pages の上限は、無料プランで1サイト2万ファイル、有料プランで10万ファイルです(Cloudflare の上限の説明による。2026年10月24日確認)。
1社1ページをやめた結果(2026年10月24日)
|
変える前 |
変えた後 |
| 公開するファイル |
17,361 |
11,876 |
| 載せた都府県 |
中国・四国の6県+京都府 |
13都府県 |
検索に出す会社ページは6,695(2026年10月25日0時に本番へ)。出どころ:カイシャのホントの組み立ての記録
県を倍近くに増やしながら、ファイルの数は減らせました。検索に出さないページを何千枚も持ち続けるより、一覧の中の1行にまとめるほうが、配信の上限に対しては効きます。
一覧ページは、件数で分ける
会社が集まると、県・市町村・業種の一覧や、数字のランキングが作れます。一覧を何で切るかは、実際に検索される呼び名と、1つの一覧に載る件数で決めます。ランキングの題を決めるときに私たちが測った月の検索数は、「離職率 ランキング」が320、「有給取得率 ランキング」が70でした(Google 広告の検索数、2026年10月24日取得)。
1つの一覧が長くなりすぎたら、ページを分けます。カイシャのホントでは、ランキングを全県・全項目で1ページ100社に分けました。分ける前にいちばん重かったページは645KB、分けた後は88KBです。2ページ目以降のURLの付け方はページネーションのSEOで書きました。
まだ成果とは言えないこと
カイシャのホントの Search Console は、2026年10月15日〜21日の1週間で表示84・クリック1でした。28日で表示が出た語は29、10位以内は0です。公開した直後の数字で、企業データベースが検索に出るかどうかは、まだ分かっていません。
作った枚数と、検索に出た枚数は別のものです。公開した後は、検索に出したページのうち、何枚が実際に表示されたかを数えます。データでページを量産するときの線引きはプログラマティックSEOにまとめています。
掲載した会社から連絡が来たら
企業データベースを公開すると、掲載された会社から、情報の訂正や掲載の停止の依頼が来ます。全ページから届く窓口を、公開する前に用意します。
訂正の依頼は、誤りがどこで生まれたかで分けます。自社で調べて足した情報なら、自社で直して確認日を更新します。国のデータそのものが違うなら、自社だけでは直せません。gBizINFOも、法人情報の非公開化やデータの変更には対応せず、出典元に問い合わせるよう案内しています。どの機関に届ければよいかを、返事の中で伝えます。
企業データベースの全体の考え方はデータベース型のカテゴリから読めます。
確認日:2026年10月25日。