オープンデータの利用規約とは、国や自治体のサイトが、公開しているデータや文章を誰がどう使ってよいかを定めたルールです。国のサイトの多くは、政府標準利用規約(第2.0版)か、その後継の公共データ利用規約(第1.0版)に準拠しています。どちらも、出典を書けば複製・加工・商用利用ができるという作りで、CC BY 4.0と互換があると書かれています。
国のデータでページを作る全体の流れはオープンデータの使い方に、ページでの出典の置き方は出典の書き方に書きました。ここでは、規約の原文に何が書いてあるかと、使うサイトの規約の確かめ方に絞ります。
第2.0版の原文は、どこにある?
デジタル庁の案内のページに、政府標準利用規約(第2.0版)の本文と解説のPDFが「参考」として載っています。同じページで、デジタル庁は、これまで政府標準利用規約やCC BY 4.0などを使ってきたサイトにも、公共データ利用規約を使うよう案内しています。
それでも、第2.0版に準拠した利用ルールのまま運用しているサイトは今もあります。たとえばe-Statの利用規約は、平成28年1月29日に定めたもので、第2.0版に準拠していると書いています。使うサイトがどちらに準拠しているかで、読む原文が変わります。
第2.0版は、何のために作られた?
解説(平成27年12月24日、内閣官房IT総合戦略室)は、第2.0版を各府省のウェブサイトの利用ルールのひな形として作ったと説明しています。国際的にはCC BYやそれと互換のあるライセンスが多く使われていること、一方で府省からは一律にCC BYにするのは難しいという意見があったことが書かれています。そのうえで、基本の条件はCC BYと同じく出典の記載としつつ、国のできるだけ多くのコンテンツに使えるものにした、という経緯です。
本文には、何が書いてある?
第2.0版の本文は、最初に、公開している情報は誰でも、複製、公衆送信、翻訳・変形などの翻案などで自由に利用でき、商用利用もできると書いています。そのあとに、守ることが7つの項目で並びます。
| 項目 |
中身 |
| 1 出典 |
出典を書く。加工したら加工したことも書く |
| 2 第三者の権利 |
国以外の者が権利を持つものは、その許諾を取る |
| 3 個別の法令 |
法令で利用に制約があるものがある |
| 4 適用外 |
ロゴ・シンボルマーク・キャラクター、別のルールを示したもの |
| 5 準拠法 |
日本法。裁判所の決まり |
| 6 免責 |
国は利用者の行為に責任を負わない。予告なく変更・削除がある |
| 7 その他 |
引用は制限しない。CC BYとの互換 |
本文の最初の段落には、次の1文もあります。
数値データ、簡単な表・グラフ等は著作権の対象ではありませんので、これらについては本利用ルールの適用はなく、自由に利用できます。
統計の数字そのものは、規約の条件を待たずに使えるということです。それでも私たちは、数字の横に出典と時点を書きます。読む人がどの調査のいつの数字かを確かめられないと、比べる材料にならないからです。
CC BY 4.0とは、どういう関係?
第2.0版の本文の7のウは、規約がCC BY 4.0(表示 4.0 国際)と互換性があり、規約が適用されるコンテンツはCC BYに従うことでも利用できる、と書いています。公共データ利用規約(第1.0版)の7のウも互換性があると書き、国などが、利用者がCC BYに従って使うことを許諾すると、もう一歩はっきり書いています。
CC BY 4.0の概要が利用者に求める表示は、次の3つです。
- 適切なクレジットを表示する
- ライセンスへのリンクを示す
- 変更があったらその旨を示す
規約の側の条件と比べると、出典の記載と、加工したことの記載は同じ方向です。違いは、第2.0版が本文で、加工した情報をあたかも国が作ったかのように公表・利用してはいけない、と明記している点です。国のデータを県別に並べ替えたり平均を出したりしたなら、どちらの書き方を選んでも、自分たちが加工したことが分かるようにします。
CC BY 4.0の概要は、ライセンスが利用に必要な許諾をすべて与えるとは限らず、パブリシティ権や肖像権などが利用を制限することがある、とも書いています。この点は、次の「使えないもの」と同じです。
出典と加工は、どう書く?
第2.0版の本文の出典の記載例は、次のとおりです。
- 出典:A省ウェブサイト(当該ページのURL)
- 出典:「○○動向調査」(A省)(当該ページのURL)(○年○月○日に利用)
加工した場合の記載例は、次のとおりです。
- 「○○動向調査」(A省)(当該ページのURL)を加工して作成
- 「○○動向調査」(A省)(当該ページのURL)をもとに○○株式会社作成
公共データ利用規約(第1.0版)の記載例は、これに規約の略称と原文ページのURL(PDL1.0)を添える形です。加工したときは、加工したことに加えて、その主体を書くよう求めています。サイトによっては独自の記載例を示しているので、使うサイトの例があればそちらに合わせます。
使えないものは、何?
規約が「自由に利用できる」としているのは、規約の対象になるコンテンツだけです。第2.0版の本文から、対象外か、別の手続きが要るものを拾うと次のようになります。
- 組織や特定の事業を表すシンボルマーク、ロゴ、キャラクターデザイン
- 第三者(国以外の者)が著作権を持つもの、肖像権やパブリシティ権などを持つもの(権利処理済みと明示されているものを除く)
- 外部のデータベースとのAPI連携などで取っているもの(提供元の利用条件に従う)
- 個別の法令で利用に制約があるもの
- 具体的で合理的な根拠とともに、別の利用ルールを示しているもの
第三者の権利について、本文は、権利を持つ部分がはっきり示されていないものもあり、利用者の責任で確かめるよう書いています。省庁の資料に載っている写真や、団体から提供された図は、規約の対象と考えずに出どころを確かめます。
省庁のロゴを、ページの飾りに使わない
国のデータを使っていると示すつもりで、省庁や統計のサイトのロゴを貼るのは、規約の対象外の使い方です。出典は文字で書きます。e-Statの利用規約の別紙にも、e-Statのロゴの利用は別の規定へのリンクとして挙がっています。
使うサイトの規約は、どう確かめる?
確かめる順番は次のとおりです。
- サイトの下のほうにある「利用規約」「著作権について」などのページを開く
- どの規約(第2.0版か、公共データ利用規約か)に準拠しているか、いつ定めたかを読む
- 別紙や別のルールが適用されるコンテンツの一覧を開く
- APIを使うなら、APIの利用規約を別に読む
- 読んだ規約のURLと、読んだ日を記録に残す
e-Statの利用規約の別紙には、API機能、e-Statのロゴなどの利用規定へのリンクが並んでいます。APIのクレジット表示の文はe-Statの使い方に載せました。
同じ省庁でも、サイトごとに違う
厚労省の著作権の案内は、権利表記の記載がない限り、公共データ利用規約(第1.0版)に準拠した条件で利用できるとしています。
同じ厚生労働省の職場情報総合サイト(しょくばらぼ)は違います。しょくばらぼの利用規約(令和6年10月3日から適用の改正後の全文)のコンテンツ利用のルールは、2018年3月8日に定めたもので、政府標準利用規約(第2.0版)に準拠していると書いています。CC BYとの互換も書かれています。
そのうえで、このサイトのルールには、第2.0版のひな形に無い決まりがあります。コンテンツの利用は、求職者などの就職活動や企業などの採用活動に役立つ取り組みや研究、その他の正当な目的の範囲内で行うこととし、法令に反する目的や他人の権利を侵害する目的での利用を禁じています。出典の記載例も、サイト名とURLを書く形と、「のデータを加工して作成」と書く形が、このサイト用に示されています。
私たちのカイシャのホントも、このしょくばらぼの数字で会社ごとのページと地域・業種のランキングを作っています。同じ省庁のデータでも、本体のサイトの規約だけでなく、数字を取るサイトの規約を開いて読みます。
規約が変わったら、どうなる?
第2.0版の本文の7のイは、既に以前の版に従ってコンテンツを利用している場合は、引き続きその条件が適用されるとしています。公共データ利用規約(第1.0版)にも、以前の政府標準利用規約に従って利用している場合は、引き続きその条件が適用されるという文があります。
どの版の規約に従って使い始めたかを後から示せるように、読んだ規約のURLと日付、そのときの本文のファイルを残しておきます。公開しているデータにライセンスを書き添える方法はDatasetの書き方に、データで作るサイトの全体はデータベース型サイトにまとめています。
仕様・出典の確認日:2026年10月26日。