AI検索は、自社サイトの外も読んで会社を説明します。1つの質問に対して複数の検索をかけ、比較サイト、口コミ、業界の記事などから材料を集めて答えを作るので、自社サイトはその材料の1つにすぎません。外のページに書かれた言い回しが、要約されてそのまま自社の説明になることがあります。
対策の中心は3つです。自社の外でどう書かれているかを記録すること。事実の誤りだけを掲載元に直してもらうこと。そして、自社サイトに「正しい言い方」をはっきり書いておくことです。
AIの答えは、いくつのページから作られている?
決まった数はありませんが、各社とも「複数のページを根拠にする」と説明しています。
GoogleはAI機能とウェブサイトについてのページで、AI Overviews と AIモードが「クエリ・ファンアウト」という方法を使うと書いています。1つの質問を関連する複数の検索に分けて同時に調べ、通常の検索より幅広く多様なリンクを答えと一緒に表示する、という説明です。
ChatGPTの検索も同じ形です。OpenAIのヘルプページによると、ChatGPTは質問を1つ以上の検索語に変え、結果を取ってきて、出典へのリンク付きで答えを作ります。引用部分を選ぶと元のページが開き、「Sources」から参照したページの一覧も見られます。Perplexityも、ヘルプセンターで、答えに番号付きの引用を付けて元のページに飛べるようにしていると説明しています。
Googleは、生成AI機能向けの最適化ガイドで、AI機能は「ブログや動画、フォーラムでの議論も含め、ウェブ上で製品やサービスについて言われていること」を表示できると書いています。会社について聞かれたとき、AIが読むのは公式サイトだけではない、ということです。
なぜ、外の紹介文が会社の説明になるのか
ここからは、公式の説明ではなく、仕組みから私たちが考えていることです。
社名で検索すると、自社サイトのページは上位の一部で、ほかは比較サイト、求人サイト、業界団体の名簿、展示会の出展者一覧、取引先の導入事例などです。AIがその中から複数を読んで1段落にまとめれば、自社が書いた文章は材料の一部にしかなりません。
要約は、言葉を短くする作業です。短くするときに落ちやすいのは、条件や限定の部分だと私たちは考えています。たとえば、ある比較サイトに次のように書かれていたとします。
量産の精密切削が中心。試作や小ロットでも対応可能。
この会社の主力は量産です。ところが要約の過程で「でも対応可能」の「でも」が落ちれば、「小ロット・試作に対応する会社」と受け取られる余地があります。別の口コミに「1個から作ってくれた」とあれば、その印象は強まります。
これは推論の例です
「〜でも対応」が「〜向け」と受け取られる、という話は、要約の仕組みから考えた例です。どの程度の頻度で起きるかを測った統計はありません。私たちも測った数字は持っていません。自社について実際にどう答えられているかは、次の手順で確かめてください。
製造業の例で困るのは、こうしたずれが営業の相手を変えてしまうことです。量産の相談を探す購買担当がAIに聞けば候補から外れ、1個だけ作りたい個人や研究室からの問い合わせが増える、ということが起こりえます。
製造業の会社について、外にはどんなページがある?
社名で検索すると、自社サイト以外に、だいたい次のようなページが出てきます。書かれやすい内容と、ずれが起きやすい点が種類ごとに違います。
| 外のページ |
書かれやすい内容 |
ずれが起きやすい点 |
| 加工・発注先の比較やマッチングのサイト |
対応できる加工、材質、ロット |
登録時の情報のまま更新されない |
| 求人サイト |
事業内容、創業年、従業員数 |
採用向けの言い方で、主力の仕事がぼやける |
| 業界団体の会員名簿 |
社名、所在地、主な製品 |
旧社名や移転前の住所が残る |
| 展示会の出展者一覧 |
その年の出展テーマ |
1回出した新製品が主力のように残る |
| 取引先の導入事例 |
納めた部品や装置 |
一つの事例が会社全体の説明として読まれる |
| 口コミやQ&Aのサイト |
対応の早さ、価格の印象 |
評価なので、こちらから変えられない |
登録したときには正しかった情報が、更新されずに残ることがあります。AIの答えが、それを今の情報のように扱う可能性もあります。掲載した側の意図を推測するより、現在の事実との違いを確かめます。
社名で調べた人は、第三者のページを先に読む
自社の外のページが社名の検索で上に出ることは、規模の小さいサイトでも起きます。私たち自身が、比較サイトを運営する側としてそれを見ています。
私たちの実測(立ち上げ間もない比較サイト)
2026年6〜8月にドメインを取った4つのサイトでは、一般的な語より先に、社名での検索が上がりました。ある会社名と「評判」を組み合わせた検索で、私たちの比較サイトが10位に表示されました。
出典:Google Search Console(2026年8月22日時点)
立ち上げ間もない時期で、4サイト合計のクリックがまだ0だった時点の数字です。それでも、社名に「評判」を付けて調べた人の目に入る位置に、第三者のページが入りうることは分かります。AI検索が社名について答えるときも、こうしたページが材料になりえます。
自社の外の書かれ方を調べる手順
- 社名だけ、社名+「評判」「口コミ」「比較」「求人」で検索し、上位20件ほどのうち自社以外のページを開く
- ChatGPT、Perplexity、GoogleのAIモードなどに「〇〇社は何が得意な会社ですか」「〇〇の加工を頼める会社は」と聞き、示された引用元のリンクを開く
- 見つかった記述を表に書き写す
記録は次の4列で足ります。下の行は書き方を示すための記入例です。
| 掲載元 |
書かれている表現 |
事実か評価か |
自社の言い方との違い |
| 比較サイトA |
試作や小ロットでも対応可能 |
事実 |
主力は量産。試作は「対応可」で主力ではない |
| 求人サイト |
創業30年の金属加工会社 |
事実(古い) |
創業は34年前。樹脂加工も始めている |
| 口コミ |
対応が早い |
評価 |
変えない |
AIの答えは、聞く人や時点で変わります。1回聞いて出た・出なかったで判断せず、同じ質問を月に1回ほど決まった形で聞き、記録を続けます。記録の付け方はAIでの推薦を記録する毎月の星取り表で、何を聞くかの決め方はAIでの見え方の測り方のカテゴリで説明しています。
見つかった書かれ方ごとに、やること
事実の誤りや古い情報は、掲載元に訂正を頼めます。どのページのどの記述が、何と違うのかを、根拠になる自社サイトのURLと一緒に伝えます。頼み方と、相手に渡す資料の作り方は比較サイトや紹介記事に正しい情報を載せてもらう頼み方にまとめました。
評価や感想は、変えてもらおうとしません。「対応が早い」も「価格が高め」も、書いた人の意見です。これは私たちの方針で、法律がすべての依頼を一律に禁じているわけではありません。ただ、事業者が表示内容の決定に関与していて、一般消費者が事業者の表示だと判別しにくい場合は、2023年10月から景品表示法のステルスマーケティング規制の対象です。対価の有無だけでなく、やり取りの内容などから関与が判断されます。線引きは自社で比較・ランキングを作るときの注意で書いています。
条件が落ちて伝わっている場合は、外を直すより、自社サイトの書き方を先に直します。
自社サイトに「正しい言い方」を書く
外の紹介文がずれていても、正しい情報の出どころがはっきりしていれば、AIも掲載する側もそこを根拠にできます。先ほどの切削の会社なら、会社概要とサービスのページの冒頭に、次のように書きます。
主な仕事は、アルミとステンレスの精密切削部品の量産です(月産1,000個以上の継続案件が中心)。試作は量産を前提にした案件に限ってお受けしています。
「何が主力で、何は対応できるが主力ではないか」を1文で書くのがこつです。比較サイトの担当者が書き写すとき、AIが要約するときに、条件ごと拾える形になります。答えを冒頭に置く書き方はAIに引用される文章の書き方で、社名や紹介文をどこでも同じにする方法は社名と紹介文をどこでも同じにするで説明しています。
やらなくていいこと、やってはいけないこと
外の書かれ方を気にし始めると、言及の数を増やしたくなります。Googleは同じ最適化ガイドで、ウェブ上で本物でない「言及」を集めることは、思われているほど役に立たないと書いています。中身の無い紹介ページを自分で作る、知り合いに頼んで同じ文面の紹介を書いてもらう、といったやり方です。
私たちが勧めるのは、数ではなく、すでにある外の記述を正確にすることです。社名で検索して上に出る数ページの事実が正しくなれば、AIが読みうる材料の誤りも減ります。答えがどう変わったかは、記録を続けて確かめます。
自社の外の情報に関わる記事は、比較サイト・口コミ・第三者メディアのカテゴリにまとめています。