AIでの推薦を記録する星取り表とは、決めた問いを決めたAIに毎月聞き、自社の名前が出たか、正しく説明されたかを記号で並べた表のことです。相撲の星取り表のように、行に問い、列にAIと月を並べ、○や×を付けていきます。
作る理由は、AIでの見え方を1回の結果で判断しないためです。AIの答えは質問のたびに作られ、同じ問いでも日によって変わります。同じ問いを同じ条件で毎月記録して初めて、サイトを直した後に何が変わったかが見えます。
星取り表に並べるもの
表の骨格は「問い × AI × 月」です。問いはAIに聞かれる「問い」の決め方で決めた10本前後を使います。
行には問いを1本ずつ、列にはAIごとの記号を置き、月ごとに新しい列か新しいシートを足します。
| 問い |
ChatGPT |
Gemini |
AIモード |
| 小ロットの樹脂成形を頼める会社は? |
1/3 |
0/3 |
0/3 |
| 試作1個から頼める成形会社は? |
0/3 |
0/3 |
1/3 |
| 〇〇樹脂工業はどんな会社? |
○ |
△ |
○ |
表の数字は、書き方の例として置いたものです。実際の記録ではありません。
相談段階の問い(上の2行)は「3回聞いて何回名前が出たか」を分数で、確認段階の問い(3行目)は説明の正しさを記号で残します。見ているものが違うので、記号の付け方も分けておきます。
記号の決め方の例
- ○:名前が出て、説明も正しい
- △:名前は出たが、説明に間違いがある(地域、費用、誰向けかなど)
- ×:名前が出ない
△は特に大事です。名前が出ていても、「関東の会社」と間違って説明されていれば、遠方の取引先は相談しません。△が付いたら、何が間違っていたかを必ず書き残します。相談段階の問いでは、勧める候補として挙がったのか、例として名前が出ただけなのかも書き分けておくと、後で読み違えません。
どのAIを選ぶか
取引先が実際に使っていそうなAIを選びます。一般には、次のようなものが候補になります。
- ChatGPT
- Gemini
- GoogleのAIモードとAI Overviews
- Microsoft Copilot
- Perplexity
- Claude
全部を追う必要はありません。毎月続けられる数に絞ってください。どのAIがどれだけ使われているかは業種や取引先の会社の規模で違い、私たちはそれを示す確かな数字を持っていません。取引先との打ち合わせで「調べものに何を使っていますか」と聞くのが、いちばん確かな選び方です。
GoogleのAI Overviewsは、普通の検索結果の上に出るかどうか自体が問いによって変わります。AIモードとは分けて記録したほうが、後で読みやすくなります。
聞くときの条件をそろえる
答えが変わったとき、それがAIの揺れなのか、聞き方の違いなのかを区別するために、条件をそろえます。
文言を一字一句同じにする
問いは表に書いた文言をそのまま貼り付けます。「頼める会社は?」と「頼める会社を教えて」では、答えが変わることがあります。
過去の会話や記憶を持ち込まない
ChatGPTには、過去の会話の内容を記憶して答えに使う機能があります。OpenAIのメモリーについてのヘルプによると、一時チャットでは、記憶やカスタム指示を使うかどうかを始める前に選べ、一時チャットが新しい記憶を作ることはありません。自社の話を日ごろAIでしている担当者のアカウントで聞くと、記憶のせいで自社の名前が出やすくなるおそれがあります。記録用には、記憶を使わない設定で聞いてください。
ほかのAIにも、履歴や個人設定を答えに使う機能があります。どの設定で聞いたかを、表の欄外に書いておきます。
1回ではなく、数回聞く
同じ問いを、新しい会話で数回聞きます。この記事では3回を目安にしています。回数に正解はありませんが、毎月同じ回数にそろえることのほうが大事です。
日付と、使ったモデルを残す
AIは中のモデルが更新されると、答えの傾向が変わることがあります。画面にモデル名が出るAIは、その名前も記録します。答えが大きく変わった月に、モデルが変わっていたかを後で確かめられます。
記号だけでなく、答えの全文を保存する
星取り表の記号は、変化に気づくためのものです。なぜ変わったかを追うには、答えの全文と、答えの中に示された出典のURLが要ります。
保存しておくものは次のとおりです。
- 聞いた日、AI、設定(記憶の有無など)
- 問いの文言
- 答えの全文(コピーかスクリーンショット)
- 答えに示された出典のURL
- 自社の名前が出た位置と、どう説明されたか
- 一緒に名前が出た会社の数
出典のURLは特に役に立ちます。自社が候補に挙がらない問いで、どんなページが根拠にされているかを見ると、自社に何が足りないかの手がかりになります。古い比較サイトの記事が根拠にされているなら、その記事の情報を正しくしてもらう相談をする、といった次の手が決まります。
一緒に名前が出た会社の名前は、社内の記録として残すのは構いません。ただ、その記録を対外的な資料に使うときは、他社の扱いに注意してください。
答えの揺れを、どう読むか
AIの答えは、同じ問いでも毎回同じにはなりません。参照する検索結果が日によって変わり、答えを作るたびに文章も組み立て直されるからです。揺れを前提に、次のように読みます。
1回の○や×で判断しない
3回中1回だけ名前が出た問いは、「出るようになった」とも「出ない」とも言えません。2〜3か月続けて同じ傾向が出たら、変化として扱います。
揺れの幅そのものを記録する
毎月「3回中0〜1回」を行き来している問いは、候補に挙がるかどうかの境目にあると読めます。こうした問いは、自社のページに判断の材料を足したときに、変化が出やすい場所です。
サイトを直した日を表に書き込む
ページを直した日、紹介文を揃えた日、比較サイトの情報を直してもらった日を、表の同じ時間軸に書き込みます。自社を直していない月でも、外部の情報や検索結果、AIの動作が変わることがあります。変化した理由は、この表だけでは特定できません。直した日と重なっているかを、手がかりの1つとして見ます。
「AIに推薦されるようになった」と言える条件
数か月続けて同じ傾向が出ていること、問いと条件を変えていないこと、の両方がそろってからにしてください。1回の画面を切り取って「AIに推薦されました」と書くのは、取引先に誤解を与えます。
月に1回の作業の流れ
毎月の作業は、慣れれば半日かからない量にしておくと続きます。流れは次のとおりです。
- 前月の表を複製し、今月の列を足す
- 決めた問いを、決めたAIに、決めた回数だけ聞く
- 答えの全文と出典のURLを保存する
- 記号を付ける。△には何が間違っていたかを書く
- 前月と比べて記号が変わった行に印を付ける
- 今月サイトや紹介文を直した日を、表の同じ時間軸に書く
- 気づいたことを3行で残し、次に直す場所を1つ決める
7が抜けると、星取り表はただの記録で終わります。たとえば「〇〇樹脂工業は試作だけでも受けてくれる?」で毎月△が付き、答えの中で「量産専門」と説明されているなら、試作の受け方を会社概要と相談の流れのページに書く、が次の手です。翌月以降、同じ行の記号が変わるかを見ます。
担当者は1人に決めておくほうが安定します。聞く人が変わると、アカウントの設定や聞き方の細かな癖も変わるからです。
自動で記録できるか
AIの会社の多くは、開発者向けに問いを機械的に投げられる仕組みを用意しています。毎月の手間は減りますが、そこで返る答えが、利用者が画面で見る答えと同じとは限りません。検索を使うかどうかや、使うモデルが違うことがあるからです。
私たちは、最初は手で記録することを勧めています。手で何か月か記録すると、どの問いが揺れやすいか、△がどこで付きやすいかが分かってきます。見るべき点が固まってから自動化を考えても遅くありません。
私たちの記録について
私たち自身も、「中小企業向けのLLMO対策を頼める会社は?」「製造業のオウンドメディア支援会社でおすすめは?」を含む問いで、この表を付けていく計画です。今の時点で、これらの問いでAIに推薦されているわけではありません。記録が数か月分たまり、言えることが出てきたら、この記事に追記します。
星取り表の結果を、相談の件数や社名検索とどうつなげて見るかはAI経由の効果の見方に、測るもの全体の整理はAIでの見え方の測り方にまとめています。説明の間違いが見つかったときは、社名と紹介文をどこでも同じにするが直す手順になります。