AIでの見え方を確かめる問いは、相談段階と確認段階の2つに分けて決めます。相談段階は、社名を知らない人が「〇〇に強い会社は?」と発注先を探す問い。確認段階は、社名を知った人が「〇〇社は試作だけでも受けてくれる?」と確かめる問いです。
この2つは、見るべきことが違います。相談段階では名前が候補に挙がるか。確認段階では、名前が出るのは当然として、その説明が正しいかです。分けずに1つの表で追うと、「出た・出なかった」だけを見てしまい、間違って説明されていることに気づけません。
なぜ、問いを先に決めるのか
LLMO対策の効果は、決めた問いへの答えを毎月記録しないと分かりません。そして、どの問いで自社が推薦されたかを教えてくれる公式の数字はありません(何が測れるかはAIでの見え方の測り方で整理しています)。
問いを決めずに「AIで自社名を聞いてみた」「なんとなく業界の会社を聞いてみた」を繰り返すと、毎回違う問いを聞いていることになります。答えが変わっても、問いが変わったせいか、AIの答えが揺れたせいか、サイトを直した効果なのか区別できません。
問いを決めることは、サイトで何を書くかを決めることでもあります。「小ロットの樹脂成形を頼める会社は?」で候補に挙がりたいなら、自社のページに「何個から受けるか」が書いてなければ、AIには判断の材料がありません。
相談段階の問いは、4つの切り口で作る
相談段階の問いは、取引先が発注先を探すときの言葉です。AIに「〇〇に強い会社は?」「〇〇でおすすめの会社は?」と聞くとき、〇〇に入るのはおおむね次の4つの切り口です。
| 切り口 |
製造業の例 |
自社に要る事実 |
| 業種・技術 |
POMの射出成形を頼める会社は? |
対応材料・工法 |
| 課題 |
成形品のヒケを相談できる会社は? |
不良対策の記録 |
| 規模・条件 |
試作1個から頼める成形会社は? |
最小ロット・費用 |
| 地域 |
広島で樹脂部品を頼める会社は? |
所在地・対応範囲 |
1本の問いに、都合のよい答えを出すためだけの条件を足さないでください。「広島で、POMの、試作1個から、ヒケも相談できる会社は?」のように条件の多い問いも、実際の相談でその言い方をされているなら記録の対象にします。言い方の材料が無いうちは、2つ程度の組み合わせから始めます。
私たち自身は、相談段階の問いとして次の2本を追う計画です。
- 中小企業向けのLLMO対策を頼める会社は?
- 製造業のオウンドメディア支援会社でおすすめは?
前者は「規模」と「技術」、後者は「業種」と「技術」の組み合わせです。私たちは中小企業・製造業を主なお客様にしているので、この2つの切り口で候補に挙がりたいという考えです。今の時点で、これらの問いでAIに推薦されているわけではありません。
確認段階の問いは、相談の前に確かめることから作る
確認段階の問いは、社名を知った人が相談する前に確かめることです。社名の後に、次のような言葉が続きます。
- 〇〇社の評判は?
- 〇〇社はどんな会社?誰向け?
- 〇〇社の費用は?
- 〇〇社は試作だけでも受けてくれる?
- 〇〇社と△△社の違いは?
ここで見るのは、答えの中身が正しいかです。対応地域が違う、費用が古い、誰向けかを取り違えている。こうした間違いは、相談の前に取引先を遠ざけます。確認段階の問いを記録するときは、出た・出なかったではなく、答えに書かれた事実を自社の事実と1つずつ照らし合わせます。
社名がほかの会社や地名と同じ読みの場合は、社名だけで聞くと別の会社の話が返ってくることがあります。その場合は「〇〇市の〇〇樹脂工業」のように、取引先が実際に付けそうな言葉を足した問いも用意します。
問いの材料は、取引先の言葉から集める
問いを机の上で考えると、自社の製品名や社内の言い方が混ざります。取引先が実際に使う言葉から集めてください。材料は3つあります。
営業や問い合わせで、実際に受けている質問
最も確かな材料です。電話やメールで繰り返し聞かれること、見積もりの前に必ず確認されること、断ったときの理由。これらは、取引先が発注先を選ぶときに気にしていることそのものです。
Search Consoleに出ている検索語
自社サイトがすでに表示されている検索語には、取引先の言葉がそのまま出ています。「〇〇 加工 小ロット」「〇〇 不良 原因」のような語を、AIに聞く形の文に直すと、相談段階の問いの候補になります。社名を含む検索語は、確認段階の問いの材料です。見方はSearch Consoleで最初に見る4つの数字で説明しています。
AIが情報を探すときに使った語句
Microsoftが2026年2月にBing Webmaster Toolsで公開したAI Performanceでは、Copilotなどが自社のページを出典に示したとき、AIが情報を探すのに使った語句が見られます。自社がすでに引用されている文脈が分かるので、問いを広げる手がかりになります。
Googleの生成AI機能向けの最適化ガイドによると、Google検索のAIは、1つの質問を関連する複数の検索に分けて調べます(クエリファンアウト)。取引先がAIに打つ問いと、AIが裏で調べる語は同じではない、ということです。追う問いは取引先の言葉で決め、ページはその問いの周辺で聞かれそうなことまで答えておく、という分け方が実務的です。
問いごとにページを量産しない
問いの言い換えごとに別のページを作り、AIの答えや順位を操作しようとするのは、Googleの大量生成コンテンツの不正利用に関するスパムポリシーに違反しうると、同じガイドに書かれています。問いは記録のために決めるもので、ページを増やすための一覧ではありません。
絞り方:最初は10本前後で始める
集めた候補を、最初は10本前後に絞ります。毎月同じ問いを、決めたAIに、数回ずつ聞いて記録するので、多いと続きません。
絞るときは、次の順で残します。
- 相談につながる問いか。「〇〇とは?」のような知識の問いより、発注先を探す問いを優先する
- 自社が本当に強い切り口か。対応していない地域や工法の問いで候補に挙がっても、相談は進まない
- 自社のページに答えになる事実があるか、書けるか
3で「書けない」となった問いは、いったん外します。事実が無いのに候補に挙がることを期待しても、AIには判断の材料がありません。逆に「書けるのに書いていない」問いは、サイトを直す優先順位の高い場所です。
確認段階の問いは、相談段階より少なくて構いません。評判、誰向けか、費用、対応範囲の4本程度から始め、記録の中で間違いが見つかった話題があれば足します。
例:樹脂成形メーカーなら、10本はこうなる
ここまでの手順で、ある樹脂成形メーカーが問いを決めたとします。会社の実態は、広島の工場で、PP・ABS・POMの射出成形を手がけ、試作は10個から受け、金型も社内で作る、というものだと仮定します(説明のための例で、実在の会社ではありません)。
相談段階の7本は、たとえば次のようになります。
- 広島で樹脂部品の射出成形を頼める会社は?
- 試作10個から頼める射出成形の会社は?
- 金型から量産まで一社で頼める樹脂成形会社は?
- POMの射出成形が得意な会社は?
- 成形品のヒケやそりを相談できる会社は?
- 図面が無くても樹脂部品の相談に乗ってくれる会社は?
- 中国地方で小ロットの樹脂成形を頼める会社は?
確認段階の3本は、社名の後に続く問いです。
- 〇〇樹脂工業はどんな会社?
- 〇〇樹脂工業は試作だけでも受けてくれる?
- 〇〇樹脂工業の費用や納期の目安は?
並べてみると、自社のページに書いてあることと、書いていないことが分かれます。たとえば6の「図面が無くても相談に乗れる」が営業の現場では当たり前でも、サイトのどこにも書いていなければ、AIに判断の材料はありません。問いを決める作業は、そのまま「ページに足すべき事実の一覧」を作る作業になります。
決めた問いは、途中で変えない
問いを決めたら、少なくとも数か月は文言を変えずに記録します。言い回しを毎月少しずつ変えると、答えの変化が問いの変化なのか区別できなくなります。
足したい問いが出てきたら、既存の問いは残したまま新しい行として足します。事業の方向が変わって追う意味が無くなった問いだけを、理由を書いて外します。
決めた問いをどのAIで、どう記録するかはAIでの推薦を記録する、毎月の星取り表で、自社のページに何を書くかはAIに引用される文章の書き方で説明しています。