AI経由の効果は、1つの数字では測れません。相談フォームの「知ったきっかけ」、Search Consoleで見る社名を含む検索の推移、GA4で見るAIサービスからの訪問。この3つを並べて読みます。
1つずつでは足りないのは、それぞれ取りこぼす人が違うからです。AIの答えを読んで社名を知った人は、答えの中のリンクを押さずに、あとで社名を検索して来るかもしれません。そうなると、アクセス解析では「検索から来た人」に見えます。逆に、社名検索が増えても、それがAIのおかげかは分かりません。それぞれの数字が取りこぼすところを、ほかの数字で埋めます。
| 見るもの |
分かること |
分からないこと |
| 知ったきっかけ |
相談した人の自己申告 |
相談しなかった人 |
| 社名を含む検索 |
社名を知った人の増減 |
何で知ったか |
| AIからの訪問 |
リンクを押して来た人 |
リンクを押さなかった人 |
相談フォームの「知ったきっかけ」は、いちばん直接の手がかり
相談してきた人に「何で知りましたか」と聞くのが、いちばん直接の方法です。アクセス解析では見えない「AIで社名を知って、あとで検索した」人も、ここなら拾える可能性があります。
私たちも、相談フォームに「ナギサコーポレーションを知ったきっかけ」という欄を足しました。選択肢は次の5つです。
- Google・Yahoo!などの検索
- ChatGPT・Gemini・PerplexityなどのAI
- Instagram・SNS
- 知人・取引先の紹介
- その他
足したばかりなので、まだ結果はありません。AIを選んだ相談が何件あったかを、ここで言える段階ではないということです。数か月分がたまったら、星取り表の記録と並べて見る予定です。
欄を作るときに気をつけたこと
必須にはしていません。必須にすると、急いでいる人が適当に選んだり、送信をやめたりするおそれがあるからです。そのぶん空欄が出るので、件数は「回答した人のうち」で見ます。
選択肢は、AIと検索を分けました。取引先から見ると、GoogleのAI Overviewsは「検索」です。AIを選んだ人は、ChatGPTのような対話型のAIを思い浮かべていると考えるのが自然です。この欄でAI Overviewsの効果を測ることはできない、と割り切っています。
選択肢を増やしすぎないことも大事です。AIのサービス名を全部並べると、フォームが長くなります。どのAIだったかを知りたい場合は、相談の後のやりとりで聞けば足ります。
自己申告には偏りがある
「何で知ったか」を正確に覚えている人ばかりではありません。最初にAIで知り、展示会で会い、最後は紹介で相談した人は、どれか1つを選びます。件数は傾向を見る材料にして、1件ずつの真偽にはこだわらないでください。
Search Consoleで、社名を含む検索の推移を見る
AIの答えで社名を知った人が、あとで社名を検索して来る。この流れがあるなら、社名を含む検索が増えるはずです。Search Consoleのパフォーマンスレポートで、検索語を絞って推移を見ます。
見方
パフォーマンスレポートで検索キーワードのフィルタを開き、「次を含むクエリ」に社名を入れます。Googleのフィルタの説明にあるとおり、正規表現を使えば複数の書き方をまとめて絞れます。
社名は、取引先が打ちそうな書き方を全部拾います。カタカナ、英字、略称、「株式会社」の有無、よくある打ち間違い。製造業なら「〇〇樹脂」「〇〇樹脂工業」「marumaru jushi」のように、いくつかの形で検索されることがあります。
見るのは表示回数の月ごとの推移です。社名の検索は、検索した人が社名を知っていたことの表れなので、クリックより表示回数のほうが「知られ方」に近い数字になります。
気をつけること
社名を含む検索の数は、すべてが出てくるわけではありません。GoogleのSearch Consoleのデータの説明によると、2〜3か月の間に数十人程度より少ない人しか使っていない検索語は、利用者のプライバシーを守るために表から除かれます。社名がまだ知られていない会社では、社名検索の多くがこの「匿名化されたクエリ」に入り、数字にほとんど出ないことがあります。
社名検索が増えても、AIのおかげとは限りません。展示会、紹介、広告、SNS、業界紙の記事でも増えます。こうした出来事の日付を、推移のグラフの横に書き込んでおくと、時期が合うかを見分けられます。
私たち自身の自社メディアでも、立ち上げ間もないサイトでは、社名での検索が一般的な語より先に上がる様子が見られました(例:ある会社名+評判で10位。Search Console、2026年8月22日時点)。これは社名検索の順位の話で、AIの効果を示すものではありません。社名で検索されたときに出るページを用意しておく意味はある、という程度に受け止めています。
GA4で、AIサービスからの訪問を見る
AIの答えの中のリンクを押して来た人は、アクセス解析で見られます。
AI Assistant チャネル
GA4には、訪問を来た経路ごとにまとめる既定のチャネルがあり、その中に「AI Assistant」があります。Googleの既定のチャネルの説明では、ChatGPT、Gemini、Deepseek、Copilot、Grokなどから来た訪問の経路と説明されています。
ここで見落としやすいのが、GoogleのAI Overviews と AIモードは、このチャネルに入らないと明記されている点です。GoogleのAI機能から来た訪問は、通常の検索と同じ扱いになります。
ChatGPTが付ける目印
OpenAIは出版社と開発者向けのFAQで、ChatGPTが紹介先のURLに utm_source=chatgpt.com という目印を付けると説明しています。GA4の「参照元」でchatgpt.comを探すと、ChatGPTから来た訪問が見られます。
確かめられていないこと
AIサービスのすべてが、紹介先に参照元を渡しているとは限りません。スマートフォンのアプリからリンクを開いた場合に参照元が渡らず、「直接」の訪問として数えられることがある、と言われることがあります。私たちは、どのサービスがどの場合に参照元を渡すかを、各社の公式の説明で確かめられていません。PerplexityやClaudeから来た訪問がAI Assistantチャネルに入るかも、上の説明には名前が挙がっておらず、確かめられていません。
そのため、GA4のAIからの訪問の数は「少なくともこれだけはある」という下限として見てください。チャネルの分類だけに頼らず、参照元の一覧に、知っているAIサービスの名前が出ていないかも、月に1回見ておくと安心です。
GoogleのAI機能だけは、表示回数まで分かる
GoogleのAI Overviews と AIモードについては、Search Consoleの生成AI機能のパフォーマンスレポートで、AI機能の中で自社へのリンクが表示された回数を見られます。2026年8月31日に、世界中のすべてのサイトへ提供が広がりました。
ただし分かるのは表示回数だけで、クリックの数や検索語は出ません。AI機能から来たクリックは、GoogleのAI機能についての説明にあるとおり、パフォーマンスレポートの「ウェブ」の検索の中に含めて集計されます。AI Overviewsから来たクリックだけを切り出す方法は、公式には用意されていません。
Microsoft CopilotやBingのAIによる要約については、Bing Webmaster ToolsのAI Performanceで、出典として示された回数が見られます。こちらもクリックの数は出ません。
3つを並べて読む
月に1回、3つの数字と、AIの答えを記録した星取り表を同じ時間軸に並べます。読み方の例を挙げます。
- 星取り表で名前が出る問いが増え、同じ時期に社名検索の表示回数が増え、「知ったきっかけ」でAIを選ぶ人が出てきた。この3つがそろえば、AIの答えが相談につながっている可能性が高い
- 星取り表では名前が出ているのに、社名検索も相談も動かない。その問い自体があまり聞かれていないか、答えの中の説明が相談したくなる内容になっていない。答えの全文を読み直す
- AIからの訪問は少ないのに、「知ったきっかけ」でAIを選ぶ人がいる。リンクを押さずに社名で検索して来ている可能性がある
どの読み方も「可能性」までです。AIの答えの揺れも、社名検索の匿名化も、自己申告の偏りもある中で、1か月の数字から因果を言い切ることはできません。数か月続けて同じ傾向が出るかを見ます。
星取り表の付け方はAIでの推薦を記録する、毎月の星取り表に、そもそもどの問いで記録するかはAIに聞かれる「問い」の決め方にまとめています。Search Consoleの基本の見方はSearch Consoleで最初に見る4つの数字で、測るもの全体の整理はAIでの見え方の測り方で説明しています。