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COLUMN 1208 / ネットワーク・ゼロトラスト

UTMの比較の見方は?機種名の前に確かめる社員数と保守の7項目を解説

公開 2026.11.06文・ナギサコーポレーション

この記事の答え

  • 機種名の前に、接続台数、実効スループット、保守など7項目⁠をそろえる
  • カタログ最大の数字ではなく、使う防御を入れたときの数字で比べる
  • 導入後に更新と通知を見る人を決められないなら、監視込みも比べる
目次

UTMの比較は、機種名からではなく、接続台数、防御を入れたときのスループット、使う機能、回線と拠点、保守の期限と費用、故障時の対応、監視の7項目から始めます。この7つ⁠がそろうと、複数の見積もりを同じ条件で比べられます。

今日やることは、接続している機器の数を数え、今の回線の契約速度と、今のUTMの保守期限を控えることです。機種を入れ替える予定がなくても、この3つ⁠は保守会社に聞けば分かります。

UTMは、IPAの中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0⁠版(2026年3月)⁠が⁠、ファイアウォールやIDS・IPSなどを1つ⁠のハードウェアに統合した道具と説明しているものです。ネットワークの守り⁠の中では、入口をまとめて見る機器にあたります。

比べる7項目は何か?

項目 確かめること 主に聞く相手
1 接続台数 全機器の数と数年後の増え方 自社、メーカーの仕様
2 実効スループット 使う防御を入れたときの数字と測定条件 メーカーの仕様
3 使う機能 IPS、アンチウイルス、Webフィルタ、VPN 自社、販売店
4 回線と拠点 回線速度、拠点数、VPNの同時接続数 回線会社、自社
5 保守の期限と費用 ライセンスの範囲、更新時期と更新費 販売店
6 故障時の対応 代替機の届き方、対応時間、切り替えの作業者 保守会社
7 監視 通知を誰が見るか、更新を誰が行うか 自社、保守会社

1から4は機種の大きさを決める項目で、5から7は導入後の負担を決める項目です。見積もりの比較では前半に目が行きますが、差が出やすいのは後半です。

接続台数は社員数とどう違う?

社員数はきっかけにすぎません。社員が50人でも、パソコンとスマートフォン、複合機、監視カメラ、工場の機器を足すと、つながる機器はもっと多くなります。

メーカーも人数より機器の数で示しています。サクサのSS7000Ⅲ⁠はPCの同時接続の推奨台数を15台⁠と60台⁠の2機種で示し、シスコのMeraki MX67・MX68⁠は50台までの小規模拠点向けとしています。

数えるときは、今の台数に、導入後の数年で増える分を足します。推奨台数の上限ぎりぎりの機種を選ぶと、数年後に機器を足せる余地がなくなります。

スループットはどの数字で比べる?

カタログでいちばん大きい数字は、防御を入れていない状態の値であることが多いので、そのままでは比べられません。公式の仕様を見ると差がはっきりします。

機種 ファイアウォールの値 防御を入れたときの値
ヤマハ UTX200 6.4Gbps NGTP 650Mbps(Smart Accel有効)⁠、500Mbps(無効)
FortiGate 71F 10Gbps(1518バイトのUDP) Threat Protection 800Mbps
サクサ SS7000Ⅲ 3.00Gbps IPS 1.36Gbps、アンチウイルス 700Mbps

この表で機種の優劣は決められない

測定の条件はメーカーごとに違います。FortiGateの資料では、Threat Protectionはファイアウォール、IPS、アプリケーション制御、マルウェア対策を有効にした値で、すべて上限の値とされています。同じ条件で並べた数字ではありません。

見るべき点は、同じ機種でも防御を入れると桁が変わることです。自社の回線速度と、防御を入れたときの値を見比べます。回線が1Gbpsの契約でも、実際の通信量はそれより少ないことがあるので、今の通信量を保守会社か回線会社に聞いてください。

暗号化された通信の中身まで調べる設定にすると、さらに負荷が変わる場合があります。使う設定での値を、販売店に書面で確認しておくと後で困りません。

使う機能と拠点の数はどう数える?

UTMに付いている機能のうち、実際に使うものを決めます。ライセンスの範囲が機能ごとに分かれている製品なら、ここで費用が変わります。IPSの役割が分かりにくければ、IDS・IPSとWAFの違いで、守る場所を先に確かめてください。Webサイトの守りはUTMの外で考えることになります。

拠点がある会社は、拠点間のVPNと、社外から入る人の同時接続数も数えます。社外から使う人が増えたり、拠点ごとに回線を持ったりしているなら、機器を増やす形だけでなく、クラウドでまとめる形とも比べられます。SASEの製品比較がその入口で、言葉の整理はSASEとゼロトラストの違い⁠に書いています。

保守と故障時の対応では何を聞く?

見積もりの総額より先に、次の点を見ます。

  • ライセンスの期間と、期限が来たときの更新費用
  • ソフトの更新は誰が行い、費用は保守に含まれるか
  • 故障したとき、代替機がいつどこに届くか
  • 設定の復元と切り替えは誰の作業か
  • 機器の販売終了後、いつまで更新が提供されるか

ライセンスが切れた状態は見えにくい問題です。サクサの製品ページは、セキュリティ機能の有効期限が過ぎると機能が止まったり定義ファイルが更新されなくなったりして、防御の効果が著しく下がると注意しています。同じページには、脅威を完全に取り除くことを保証するものではないとの断りもあります。

機器の寿命も確かめます。IPAの注意喚起(2025年10月)⁠は⁠、サポートが終了した古い機器について更新か廃棄を検討するよう求めています。警察庁の令和7年⁠の情勢報告では、ランサムウェアの被害組織へのアンケートで、侵入経路はVPN機器が6割以上でした。VPNの機能を持つUTMでは、更新の担当者を決めることが機種選びと同じくらい大事です。実際に脆弱性が出たときの動きは、FortiGateの脆弱性の確認と対処の順番⁠が具体例になります。

監視は自社で持つか任せるか?

IPAのガイドラインは、ファイアウォールなどの通知を設定して監視するよう求めています。問題は、その通知を誰が見るかです。兼任の担当者が1人なら、休暇中や夜間の扱いまで決めておかないと、通知は読まれないままになります。

決められない場合は、監視まで含む保守を見積もりに入れてもらいます。次の点で範囲が変わるので、サービス名ではなく中身をそろえて聞いてください。

  • 通知を受けて見るだけか、一次対応まで行うか
  • 夜間と休日も対象か
  • 機器のソフトの更新まで行うか
  • 異常があったとき、誰にどの手段で連絡するか

監視を任せても、最後に判断する人は社内に必要です。通信を止めてよいか、工場に影響が出てよいかは、社外の人には決められません。

製造業の場合はどう数える?

たとえば、本社に40人⁠、工場に30人⁠がいて、工場には生産管理の端末とネットワークにつながった設備がある会社の場合で考えます。

  • 接続台数は、70人分のパソコンとスマートフォンに、複合機や設備の端末を足して数えます。人数より多くなるのがふつうです
  • 拠点が2つなら、本社と工場の間のVPNの要否と、それぞれに機器を置くかを決めます
  • 工場の機器を切り替える作業は、停止できる日を先に確かめます。夜間も動くラインなら、故障時の許容時間も短くなります
  • 工場の設備のネットワークは、UTMを置く前に分離の状況を確かめます。IPAのガイドラインは、用途の違うネットワークの分離を求めています

見積もりの依頼には何を書く?

販売店ごとに違う前提で見積もりが出ると、比べられません。依頼には次の内容をそのまま書くと、答えがそろいます。

見積もりの依頼に書く内容

  • 接続台数と、3年後の見込み
  • 回線の契約速度、拠点の数、VPNの同時接続数
  • 有効にする機能と、その状態でのスループット
  • 5年間のライセンス更新と保守の総額
  • 故障時の代替機の届き方と、切り替えの作業者
  • 監視の範囲と時間帯

機種の候補は、このあとで十分に絞れます。公開されている仕様と価格は、UTM・ファイアウォール機器の製品比較⁠で確かめられます。IPSを専用の機器として分ける形も考えるなら、IDS・IPSの製品比較も見てください。

よくある質問

社員数からUTMの機種を選べますか?

社員数だけでは決まりません。パソコン、スマートフォン、複合機、工場の機器まで含めた接続台数を数え、メーカーの推奨台数と照らします。

UTMのスループットはどの数字を見ればよいですか?

ファイアウォールだけの最大値ではなく、使う防御機能を有効にしたときの数字を見ます。測定の条件はメーカーごとに違うので、数字だけを横に並べず条件も確かめてください。

UTMのライセンスが切れるとどうなりますか?

製品によりますが、機能が止まったり定義ファイルが更新されなくなったりします。導入時の価格だけでなく、更新の時期と費用を見積もりに入れてもらいます。

UTMの見積もりでは何を伝えればよいですか?

接続台数、回線の速度、拠点の数、使いたい機能、VPNの同時接続数、故障時に許せる停止時間、監視を誰が担うかを伝えると、見積もりの条件がそろいます。

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