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COLUMN 1146 / ネットワーク・ゼロトラスト

ファイアウォールとルーターの違いは?今のルーターで足りる会社とは

公開 2026.11.06文・ナギサコーポレーション

この記事の答え

  • ルーターは行き先を決め、ファイアウォールは通すか止めるかを決める
  • 業務用ルーターにもフィルタ機能はあるが、ウイルス検査などは機種で異なる
  • 今日は今のルーターの型番を見て、仕様表の防御機能と更新の状況を確かめる
目次

ルーターは通信を行き先へ送る機器で、ファイアウォールは通信を通すか止めるかを決める機器や機能です。業務用のルーターにはこの2つ⁠を兼ねる機種もありますが、守れる範囲は専用の機器より狭いことがあります。

今日やることは、今のルーターの型番を確かめることです。本体のラベルか保守の契約書で型番を見て、メーカーの仕様表で「フィルタ」「ファイアウォール」「アンチウイルス」⁠の欄を見てください。あわせて、ファームウェアの更新が続いているかも確かめます。

今のルーターで足りるかどうかは、この確認と、次に説明する条件で判断できます。ネットワークの守りの全体像は、ネットワークのセキュリティの解説⁠にまとめています。

ルーターとファイアウォールは何が違う?

チェック・ポイントの解説は、ルーターをネットワークどうしをつないで通信を宛先へ送る機器、ファイアウォールを定めたルールで通信を検査して通すか止めるかを決める仕組みと説明しています。

比べる点 ルーター ファイアウォール
役割 通信を行き先へ送る 通信を通すか止めるかを決める
主に見るもの 宛先のIPアドレス ルール、通信の状態、機種により中身
置く目的 ネットワークをつなぐ 不要な通信を入れない、出さない

ただし、この表のとおりに製品が分かれているわけではありません。同じ解説も、ルーターとファイアウォールを1つ⁠のソリューションとして使える場合があるとし、次世代ファイアウォールの多くにはルーティング機能があると説明しています。製品の名前より、仕様表に何が書いてあるかで判断します。

業務用ルーターの簡易機能で何ができる?

外からの不要な接続を止めるところまでは、ルーターの機能で対応できる機種があります。

NECプラットフォームズのUNIVERGE IXシリーズの機能紹介は、動的フィルタ(ステートフル・インスペクション)⁠で⁠、外部からの不正な侵入やDoS攻撃を防げると説明しています。通信の状態を見て、通信を制御する機能です。

ヤマハ RTX1300の仕様には、静的と動的のフィルタリング、IDS(IPv4の不正アクセス検知)⁠、内部データベース参照型のURLフィルターがあります。一方で、この仕様のページには「アンチウイルス」⁠の記載がありません。

ヤマハのUTMであるUTX200の仕様には、アプリケーションコントロール、侵入防止(IPS)⁠、アンチウイルス、アンチボット、アンチスパムが並びます。違いは次のように整理できます。

確かめたいこと ルーターの例(RTX1300) UTMの例(UTX200)
ルールで通信を止める 静的・動的のフィルタリング ファイアウォール
不正アクセスの検知・防止 IDS(IPv4の検知) IPS
Webの閲覧の制限 URLフィルター(内部データベース参照型) URLフィルタリング
通信の中のウイルス検査 仕様に記載なし アンチウイルス
希望小売価格(税込) 295,900円 440,000円(2年目以降のライセンスは別)

ルーターとUTMを比べる目的は、機種の優劣を決めることではありません。自社が止めたいものに対して、どこまで必要かを確かめることです。

今のルーターで足りるのはどんな会社?

次のすべてに当てはまるなら、すぐに専用の機器を買わなくても、今のルーターで続けられる可能性があります。「足りる」⁠と言い切るものではなく、見直しの優先度を下げられるという意味です。

  • 業務用のルーターで、メーカーのサポートとファームウェアの更新が続いている
  • 動的フィルタが有効で、外から受ける通信を必要なものだけに絞っている
  • 社外からの接続を受けていない、または更新と認証の管理ができている
  • 公開するサーバーを社内に置いていない
  • メールはクラウドのサービス側、端末はウイルス対策やEDRで別に守っている
  • 工場など、用途の違うネットワークの分離の検討が済んでいる

最後の項目までそろう会社は、出入口の機器に頼る範囲が小さい会社です。パソコン側の守りが前提になるので、端末の守りの製品比較で、今の対策が足りているかも見てください。

確かめないと判断できない点

設定が初期のままでは、機能があっても守れません。機能が「ある」⁠こ⁠と⁠と⁠、「有効になっている」ことは別です。保守会社に、現在の設定で外から受ける通信の一覧を出してもらってください。

専用の機器が必要になる条件は?

次のどれかに当てはまる場合は、UTMや次世代ファイアウォールを検討してください。

条件 理由
通信の中のウイルスやボットまで検査したい 機種によっては仕様にない。UTMの仕様で確かめる
アプリごとに通信を制御したい 通信先やポートでは見分けられない
社内に公開サーバーがある 公開する区画を分けて守る必要がある
社外からのVPNを多くの人が使う 入口の管理と認証の負担が増える
端末の対策やメールの対策が手薄 出入口で補う範囲が増える
取引先から出入口の対策を求められた 求められた内容に、機能と記録で答える必要がある
ログを残して異常を見つけたい 記録と通知の機能が機種で異なる

IPAの中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0⁠版は、社内と社外の境界を明確にしてファイアウォールを導入し、設定を有効にするよう求めています。ネットワーク接続の監視も挙げています。ガイドラインは専用の機器の導入までを一律に求めているわけではないので、自社の条件で決めてください。

UTMが自社に要るかどうかの詳しい判断は、UTMは必要ないと言われる理由と判断の基準⁠で扱いました。

VPNをルーターで受けている会社は何を確かめる?

ルーターか専用機かより、更新と認証の状況を先に確かめてください。

警察庁の令和8年上半期の資料では、被害組織へのアンケートで、ランサムウェアの侵入経路はVPN機器が約5割⁠を占めています。同じ資料は、インターネットに露出した箇所から遠隔操作で侵入する手口が多くを占めると説明しています。

警察庁の令和8年1月の資料は、VPN機器を利用している組織の52%⁠が最新のパッチを未適用だったとし、対策としてネットワーク機器のアップデートと多要素認証を挙げています。

確かめる項目は次の3つです。

  • ファームウェアの版と、メーカーのサポートの期限
  • 社外からの接続の認証が、ID・パスワードだけになっていないか
  • 使わなくなったアカウントが残っていないか

拠点どうしをつなぐ機能が目的なら、ルーターでも対応できます。UNIVERGE IX2235⁠はIPsec 1.3Gbpsで最大256対地、RTX1300はIPsec最大3.8Gbit/sでVPN対地数が100です(ライセンスで最大1,100まで拡張可⁠)⁠。接続の方式を比べるなら、法人向けVPNの比較が使えます。

製造業の工場ではどう考える?

たとえば、工場の生産管理の端末と事務所のパソコンが、同じルーターの下で同じネットワークにつながっている場合を考えます。

ルーターの出入口のフィルタが有効でも、社内で完結する通信は、そのフィルタを通らないことがあります。事務所のパソコンがウイルスに感染した場合に工場まで広がらないかは、出入口の機器を替えるだけでは解決しません。

IPAのガイドラインは、工場など用途の異なるネットワークを分けて運用するよう求めています。経済産業省の工場システムのガイドラインも、工場のセキュリティ対策の考え方を示す資料です。

通信を分けたあと、工場の手前で通信を見張りたい場合は、IDS・IPSの製品比較で入れ方の違いを確かめられます。

ルーターを替えるか、UTMを足すかはどう決める?

3つ⁠の形があります。

  • ルーターはそのままで、UTMを足す。ヤマハのUTXはヤマハルーターとの組み合わせに適した機種として案内されています
  • 1台⁠にまとめる。AT-AR4050S⁠は次世代ファイアウォールを搭載したUTM&VPNルーターで、一部の防御機能には別売のライセンスが要ります
  • ルーターの設定と更新を見直し、専用の機器は入れない

費用は、本体だけでなくライセンスを含めて比べてください。計算のしかたはUTMの本体・保守・ライセンスで見る5年の総額に、機種の大きさの決め方はファイアウォール機器の選び方⁠に書きました。専用の機器を並べて確かめるなら、ファイアウォール機器の製品比較⁠が使えます。

よくある質問

ファイアウォールとルーターの違いは何ですか?

ルーターはネットワークどうしをつなぎ、通信を行き先へ送る機器です。ファイアウォールは、決めたルールで通信を通すか止めるかを判断する機器や機能です。業務用のルーターには、ファイアウォールの機能を持つものもあります。

ルーターのファイアウォール機能だけで足りますか?

止めたいものによります。外からの不要な接続を止めるだけなら、動的フィルタを持つ業務用ルーターで対応できる場合があります。通信の中のウイルス検査やアプリごとの制御まで求めるなら、UTMなどの専用の機器を検討してください。

家庭用のルーターを会社で使っても大丈夫ですか?

機種の機能だけでは判断できません。更新が続いているか、設定と記録を確認できるか、拠点間の接続に必要な機能があるかを確かめ、業務に合わないなら入れ替えを検討してください。

UTMを入れたらルーターは要らなくなりますか?

構成によります。ヤマハのUTXのようにルーターと組み合わせる前提の機種もあれば、ルーターの機能も持つ機種もあります。AT-AR4050Sのように、UTMとVPNルーターを1台⁠にした製品もあるので、今の回線とVPNの要件で確かめてください。

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