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COLUMN 1021 / ネットワーク・ゼロトラスト

SASEとは?UTMやVPNの何を置き換えるのかを中小企業向けに解説

公開 2026.11.06文・ナギサコーポレーション

この記事の答え

  • SASEは接続と守りの機能をクラウドで一体で提供する仕組み
  • 置き換えは社外接続のVPNが先、拠点のUTMは最後に判断するのが無理がない
  • 工場の中の守りや端末の対策、バックアップはSASEに替わらない
目次

SASE(サシー)⁠と⁠は⁠、拠点や社外からの接続と守りの機能を、クラウドのサービスとしてまとめて提供する仕組みです。Secure Access Service Edgeの略で、Zscalerの解説⁠によれば、調査会社のGartnerが2019年⁠に定義しました。

今日やることは、UTMとVPN機器の保守期限を1つ⁠の表に書くことです。SASEを検討するかどうかの時期は、製品の比較より先に、この日付でおおよそ決まります。

順番の答えも先に書きます。拠点が少ない会社なら、社外からのVPN接続を先に移し、拠点のUTMは保守期限が来たときに判断します。一度に全部を替える必要はありません。

SASEの中身は何?

複数の機能の集まりです。米CISAなどの2024年6月⁠の共同文書は、SD-WAN、SWG、CASB、次世代ファイアウォール、ZTNAなどを組み合わせたクラウドの仕組みと説明しています。フォーティネットの解説でも、同様の機能の統合として書かれています。

名前が並ぶと難しく見えるので、今ある機器との対応で読み替えます。

今あるもの SASE側の機能 役割 置き換えの順番
社外接続のVPN ZTNA 用途ごとに接続を許可する 1番目
UTMのURLフィルタ SWG 危険なサイトへの接続を減らす 2番目
管理していないクラウド利用 CASB クラウドの利用を見て制御する 3番目
拠点間のVPN SD-WAN 拠点の接続を管理する 4番目
UTMのファイアウォール FWaaS 境界の制御をクラウドで行う 最後に判断

CISAなどの文書は、守りの機能をクラウドにまとめたものをSSE、そこにネットワーク機能を合わせたものをSASEと書き分けています。Zscalerの解説も、SSEをSASEのうち守りの部分に絞ったものと位置づけています。

拠点が1か所の会社なら、SD-WANが要らないのでSSEで足りる場合があります。見積もりを取るときは、どちらの範囲を頼んでいるのかを確かめてください。

拠点が少ない会社はどの順で置き換える?

説明のため、社員40人⁠、本社と工場の2拠点、それぞれにUTMが1台⁠、営業はVPNで社外から接続する、という会社を例にします。実在の会社の話ではありません。

1番目:社外接続のVPN

最初に動かす理由は、効果と影響のつり合いです。使う人が限られているので試しやすく、社外に面した入口を減らせます。

警察庁の2026年上半期の資料では、ランサムウェア被害組織へのアンケートで、侵入経路の約5割⁠がVPN機器でした。

営業の数人を先に切り替え、社内システムへ問題なくつながるかを見ます。やめるかどうかの判断そのものは、VPNをやめるべき会社と続けてよい会社の違い⁠で整理しました。ZTNAだけを比べるなら、ZTNAの製品比較が使えます。

2番目:社外で使うパソコンのWebの守り

社外のパソコンの通信は、会社のUTMを通りません。UTMの守れる範囲⁠の外にある部分です。SWGを使えば、会社の外でも同じルールでWebの接続を制御できます。

CISAなどの文書は、SWGを利用者とインターネットの間でURLの選別などを行う仕組みと説明しています。機能の違いはSWGの製品比較で確かめられます。

3番目:クラウドサービスの利用

CASBは、クラウドサービスの利用を見えるようにして制御する機能です。使っているサービスの数が少なければ、後回しでかまいません。各サービスの管理画面と、IDの管理で足りる範囲もあります。

4番目:拠点間の接続

本社と工場の間の接続です。ここは止まると業務に響くので、急ぎません。回線の更新やUTMの保守期限に合わせて検討します。候補を見るならSD-WANの製品比較があります。

拠点が2つで、回線の悩みがない会社なら、今あるVPNのまま様子を見る判断もあります。

最後:拠点のUTM

UTMを外せるかは、拠点に残る通信で決まります。社内に公開サーバーがある、社内のサーバーに社外から接続する必要がある、といった場合は、拠点に機器を残す判断も自然です。

ここまで移行してUTMの役割が減ったなら、更新の時期に、機能を絞った機器へ替えるか、外すかを選びます。機器を残す場合の比較はUTM・ファイアウォール機器の比較⁠で確かめられます。導入の多い機種の更新の注意はFortiGateの解説⁠にまとめました。

SASEに替わらないものは?

SASEは接続と、その途中の守りをまとめる仕組みです。次のものは別に残ります。

  • 工場の中のネットワークの分離と、設備の管理
  • パソコン本体の更新やEDR
  • バックアップと復旧の訓練
  • IDの棚卸しと退職者の処理

特に工場は注意が必要です。たとえば、加工機や検査装置に専用の端末があり、ソフトを入れられない場合、クラウド接続用のソフトを前提とした方式はそのまま使えません。こうした設備は、拠点側で分離して守る設計が残ります。

IPAの中小企業向けガイドライン第4.0⁠版も、工場など用途の異なるネットワークの分離を求めています。

今はSASEを検討しなくてよい会社は?

次の条件がそろう会社は、急いで動く理由が薄いです。

  • 社員のほとんどが出社して働いている
  • 業務のデータは社内のサーバーが中心で、クラウドの利用が少ない
  • UTMとVPN機器の保守期限まで数年ある
  • 更新と警告の確認を担当する人がいる

この場合に優先するのは、新しい仕組みより今の機器の更新と、多要素認証の設定です。SASEは入口の悩みを減らす手段の1つで、導入そのものが目的ではありません。

逆に、VPN機器の保守期限が1年以内⁠に来る、社外で働く人が増えた、クラウドの利用が増えてUTMを通らない通信が多くなった、といった変化があれば比較を始める時期です。

移行の間は何が起きる?

切り替えの途中は、古い仕組みと新しい仕組みが並びます。先ほどの2拠点の会社なら、次のような動きになります。

時期 動かすもの 確かめること
検討の開始 保守期限の表、接続先の一覧 残す用途と移す用途
試行 営業数人の社外接続 社内システムにつながるか
拡大 社外で使う全端末 問い合わせの量、遅さ
VPN停止 使わなくなった入口 機器の設定と外部公開の停止
UTM更新の前 拠点に残る通信の洗い出し 残す、絞る、外すの判断

費用の面では、VPN機器やUTMの保守契約と新しいサービスの料金を同時に払う期間ができます。保守の更新日の半年ほど前に試行を始めると、更新するかどうかを判断する材料がそろいやすくなります。

全社で一斉に切り替える計画は避けてください。社外接続が止まっても、営業の数人なら元のVPNに戻して業務を続けられます。

Zscalerの解説は、SSEのほうがSASEより早く導入できるとしています。拠点間の接続を今は変えない会社なら、守りの部分だけを先に入れて、ネットワークの部分はあとで判断する進め方も選べます。

契約の前に何を確かめる?

製品の比較表に出にくい項目を挙げます。営業担当に書面で答えてもらってください。

確かめること 聞く理由
料金は人数か、拠点か、通信量か 工場の共用端末の数え方で費用が変わる
ソフトを入れられない機器の扱い 設備や複合機が使えなくなると困る
サービス障害時の接続の扱い 全社の接続が同じ1社⁠に頼る形になる
国内の接続拠点と遅延 CADなど大きなファイルの業務に響く
設定と監視の担当範囲 社内で誰が動くかが決まる

3つ目はUTMと同じ構造です。1台⁠に集める代わりに、1つ⁠のサービスに集めます。止まったときの手順を、切り替えの前に決めておいてください。

CISAなどの文書も、組織ごとに事情が違うので、自社の必要と現状を分析してから選ぶよう注記しています。比較の前に、接続先と利用者の一覧を作ることが、最初の準備になります。

社外とのつなぎ方の全体はネットワークの守り方のまとめ⁠で確かめられます。

よくある質問

SASEとは何ですか?

SD-WAN、SWG、CASB、ファイアウォール機能、ZTNAなどの接続と守りの機能を、クラウドのサービスとしてまとめて提供する仕組みです。

SASEを入れるとUTMは要らなくなりますか?

構成によります。社外接続やWebの守りはSASEへ移せますが、拠点内の機器や工場のネットワークは別に考える必要があります。UTMの保守期限が来た時点で、残すかどうかを判断するのが現実的です。

SSEとSASEの違いは何ですか?

SSEは守りの機能をクラウドにまとめたもので、SASEはそれにSD-WANなどのネットワーク機能を加えたものです。拠点が1か所なら、SSEで足りる場合もあります。

拠点が2つ⁠の中小企業でもSASEは検討する価値がありますか?

社外で働く人が多い、データがクラウド中心である、VPNやUTMの保守期限が近いといった条件があれば検討の価値があります。全部を替えず、社外接続から始める方法もあります。

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