メールセキュリティ製品は、契約中のメールサービスの標準機能を確かめ、足りない所を具体的に書き出してから比べます。
今日やることは、契約中のプラン名を調べ、管理画面の設定を見ることです。Microsoft 365かGoogle Workspaceを使っていて、この確認をしないまま製品を比べると、すでに持っている機能に費用を払うおそれがあります。自社サーバーやレンタルサーバーのメールなら、標準で何があるかを契約先に問い合わせます。
Microsoft 365の標準機能はどこまで?
Microsoftの文書によると、すべてのクラウドメールボックスには、マルウェア対策、スパム対策、フィッシング詐欺対策(スプーフィング)の保護が組み込まれています。これがMicrosoft 365の出発点です。
その上に2段階の追加があります。公式のサービス説明と概要の文書で確かめた内容は次のとおりです。
| 段階 |
主に増えるもの |
含まれるプランの例 |
| 組み込みの機能 |
マルウェア、スパム、なりすましの基本の保護 |
すべてのクラウドメールボックス |
| Defender Plan 1 |
Safe Attachments、Safe Links、ユーザーとドメインのなりすまし保護 |
Business Premium、2026年7月1日以降のE3 |
| Defender Plan 2 |
攻撃シミュレーション、調査、自動対応 |
E5、A5、G5 |
変更点として、Microsoftは2026年7月1日からOffice 365 E3とMicrosoft 365 E3にPlan 1を含めると説明しています。以前の情報で「E3には無い」と判断している場合は、見直してください。含まれるかどうかの最終確認は、自社の契約画面で行います。
Google Workspaceの標準機能はどこまで?
Googleの文書によると、Gmailはデフォルトで、信頼性に欠けるメールに警告を表示し、迷惑メールフォルダに移します。管理者はさらに、添付ファイル、リンク、なりすましと認証について、高度な保護を設定できます。動作も、警告の表示や迷惑メールへの移動などから選べます。
つまり、製品を足す前に設定で強められる範囲があります。確かめる項目は次の3つです。
サンドボックスは、対応エディションがFrontline Plus、Business Standard、Business Plus、Enterprise Standard、Enterprise Plusに限られ、すべての添付を調べる設定はデフォルトでオフです。Googleのルール設定の文書によると、スキャンによりメールの配信が最大3分遅れることがあります。
追加の製品が要るのはどんなとき?
足りない所を1つ挙げられるときです。IPAの情報セキュリティ10大脅威2026で、組織の脅威に機密情報を狙った標的型攻撃(5位)とビジネスメール詐欺(10位)が入っていても、それだけでは製品を選ぶ理由になりません。自社で何が抜けているかが先です。
| 足りない所 |
まず確かめる標準機能 |
比べる製品の種類 |
| 添付の検査が足りない |
Safe Attachments、サンドボックス |
クラウド型のメールセキュリティ |
| 文書のマクロを社内に入れたくない |
標準機能の一覧にあるか |
ファイル無害化(CDR) |
| 自社サーバーのメールを守りたい |
契約先の機能 |
ゲートウェイ型か自社設置型 |
| メールを残して探したい |
契約プランの保存機能 |
アーカイブ型 |
| 社員が見抜けるか確かめたい |
Plan 2の攻撃シミュレーション |
標的型メール訓練 |
ファイル無害化(CDR)は、外から届いたファイルのマクロやスクリプトなどの危険な部分を取り除き、作り直して社内に渡す仕組みです。検査して止める考え方とは別の守りです。
たとえば、取引先から図面や見積書の添付が毎日届く製造業の場合です。サンドボックスで調べると配信が遅れることがあり、無害化ではマクロ入りのExcelの動きが変わる可能性があります。営業や購買が困らないか、製品を決める前に実際のファイルで試します。マクロ付きの帳票を使う取引が多いなら、無害化の対象を部署や送信元で分けられるかも確かめます。
標準機能では足りないと判断する前に、自社の名前を使ったなりすましの対策も分けて考えます。これは受信の製品では解決しません。SPF・DKIM・DMARCの確認方法で、自社のドメインの状態を見ておきます。
メールセキュリティ製品はどう比べる?
足りない所が決まったら、次の5つで比べます。
導入の形
メールセキュリティ製品の比較では、クラウド型、自社設置型、アーカイブ型に分けています。クラウド型には、メールサーバーに届く前に調べるゲートウェイの形と、クラウドメールとAPIでつなぐ形があります。自社設置型は、サーバーの用意と保守を自社で受け持ちます。情シスが兼任の会社では、保守を誰が担当するかが決め手になります。
自社のメールサービスとの相性
Microsoft 365とGoogle Workspaceのどちらに対応しているかを確かめます。ゲートウェイの形では、メールの流れを変えることになるため、切り替えの作業と、障害時の扱いまで聞きます。送信の経路を変える場合は、SPFとDKIMの設定に影響しないかも確かめます。
足りない機能を埋められるか
書き出した穴に対して、製品のどの機能が当たるかを1対1で書きます。機能の一覧が長くても、標準機能と重なる部分には価値がありません。Plan 1を含むプランを使っている会社が、Safe AttachmentsやSafe Linksと同じ役割の機能を中心に買うと、重複の割合が大きくなります。
誤検知の扱い
止めたメールを誰が確かめて、どう戻すのかを見ます。Microsoft 365では、マルウェアとして検疫されたメッセージは既定で管理者だけが操作できます。製品を足す場合も同じように、取引先からの重要なメールが止まったときの動きを確かめます。兼任の担当者が毎日確認できない体制なら、利用者が自分で確かめられる仕組みがあるかも見ます。
費用
1人あたりの月額で揃え、最低の契約人数と期間を確かめます。追加の製品だけでなく、Business Premiumのように上位プランへ変える方法も並べて比べます。上位プランはメール以外の機能も含むので、メールの費用だけで比べられない点には注意します。
検知率の数字は、そのまま並べて比べないでください。各社で対象のメールや測り方が揃っているとは限らないからです。
比べる前に標準機能の設定を確かめる
プランに機能が含まれていても、設定がオフなら働きません。先に見たとおり、Googleのサンドボックスはデフォルトでオフです。契約の確認と設定の確認は、別の作業として進めます。
進め方は次の順番です。
- 契約中のプラン名と、対応する機能を書き出す
- 管理画面で、その機能が有効かを確かめる
- 自社のドメインの送信側の設定を確かめる
- 足りない所を1〜3個に絞る
- その穴を埋められる種類の製品だけを比べる
添付の無害化に絞るならファイル無害化(CDR)の比較が近い比較です。社員の対応を確かめるなら、標的型メール訓練の自作と委託の違いと標的型メール訓練サービスの比較を見てください。メールの対策の全体はメールのセキュリティ対策にまとめています。