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COLUMN 1096 / メールセキュリティ

PPAP対策は何に替える?共有リンクとメール暗号化の違いと選び方

公開 2026.11.06文・ナギサコーポレーション

この記事の答え

  • 代わりは1つ⁠に絞らず、相手の環境と情報の重さで2〜3通りに分ける
  • 共有リンクは相手を指定し、期限を切って、取引が終われば止める
  • 今日は1か月分の送信先を、リンクを開けるかどうかで分ける
目次

PPAPの代わりは、1つ⁠の製品に決めるより、相手が開ける方法から選びます。リンクを開ける相手には相手指定の共有リンク、開けない相手には暗号化メールかファイル転送サービス、という形で2〜3通りに分けるのが現実的です。

今日やることは、過去1か月⁠にパスワード付きZIPを送った相手を書き出し、「共有リンクを開けそう」「開けるか分からない」「開けない」⁠に分けることです。全社の製品選びより先に、この表があると話が早く進みます。

この記事は公開情報を整理したものです。私たちが各製品を導入や検証したわけではありません。メール全体の対策はメールセキュリティのカテゴリから見られます。

なぜ替えるのか、短く言うと?

パスワード付きZIPをメールで送り、続けてパスワードを同じメールの経路で送るやり方がPPAPです。2020年11月⁠、当時のデジタル改革担当大臣は記者会見で、この方式は「セキュリティ対策の観点からも、受け取る側の利便性の観点からも、適切なものではない⁠」⁠と述べ、内閣府と内閣官房で廃止するとしました。

受け取る側の問題もあります。JPCERT/CCは、マルウェアEmotetの注意喚起で、パスワード付きZIPに悪意のあるファイルを入れて送る形を挙げています。社内で「パスワード付きZIPは普通に届くもの⁠」⁠となっていると、偽物も同じ顔で届きます。

4つ⁠の方法はどう違う?

守る場所と、相手に求めることが違います。

方法 向いている場面 相手に求めること 気をつける点
相手指定の共有リンク 続きのある取引、版の変わる資料 社外の共有サービスを開ける 誰でも開ける設定にしない
メール暗号化 本文も守りたい連絡 専用の画面を開く、または鍵のやり取り 開き方の案内が要る
ファイル転送サービス 大きいファイル、単発の受け渡し ダウンロードのURLを開ける 送信先の間違いは別に防ぐ
共用の受け渡し場所 決まった相手と長く続く取引 アカウントの登録 取引終了時に消す担当を決める

メールの暗号化という言葉には、2つ⁠の意味が混ざっています。GoogleのGmailの暗号化の説明⁠によると、TLSは配送の途中を守るもので、受け取る側のサービスも対応している場合に保護されます。S/MIMEは鍵を持つ受取人だけが開けるもので、仕事用や学校用のアカウントが対象です。「うちのメールは暗号化されている⁠」⁠と聞いたら、どちらの話かを確かめてください。

共有リンクはどう設定する?

共有リンクの強みは、送った後でも権限を外せることです。ただし設定次第で弱くもなります。

Microsoft 365では、外部共有の設定⁠に「リンクを知っているすべてのユーザー」⁠と⁠い⁠う種類があります。Microsoftの説明では、このリンクは認証なしで開けて、転送されても動き、誰がアクセスしたかを追跡できなくなります。社外に図面や見積もりを渡すなら「特定のユーザー」⁠にして、相手に確認コードやサインインを求める形にします。「すべてのユーザー」⁠のリンクを使う場合は、管理者が有効期限を強制できます。

Google Workspaceでは、管理者が許可していれば、ビジターとの共有⁠でGoogleアカウントのない相手にも共有できます。相手はPINで本人確認をして、確認後7日間ファイルを扱え、期間が過ぎたら元のメールのリンクから確認し直します。

どちらでも、決めておくのは次の3つです。

  • 社外共有は相手を指定する形を基本にする
  • 期限を決める。続く取引なら、見直す月を決める
  • 取引や案件が終わったら、誰が権限を外すかを決める

メール暗号化が合うのはどんなとき?

本文にも機密がある連絡や、相手の会社がクラウドの共有を止めている場合に候補になります。

Microsoft Purview Message Encryptionは、社外の相手にも暗号化したメールを送れます。Outlookで読むMicrosoft 365の利用者は、同じ組織でなくても特別な操作なしで読めます。Gmailなどの相手には案内のメールが届き、専用のポータルで本人を確かめて開きます。管理者がメールフロールールを作り、条件に合うメールを自動で暗号化することもできます。使えるかどうかは契約のプランで確かめてください。

GmailのS/MIMEは、相手も対応していて鍵を交換できる場合に合います。毎回の相手が変わる中小企業どうしのやり取りでは、最初の設定が負担になるかもしれません。相手が決まっている少数の取引に絞って考えます。

専用の製品を検討するなら、メールセキュリティの製品比較から、送信時の暗号化を扱うかどうかを製品ごとに確かめられます。

取引先の事情別に、どう選ぶ?

製造業の図面を例に考えます。たとえば、部品メーカーが加工図面を協力工場へ、仕様書を大手の取引先へ送っている場合です。相手によって条件がかなり違います。

大手の取引先へ送るとき

大手は独自の受け渡しの仕組みを持っていたり、外部のクラウドを社内から開けなかったりします。自社の方法を提案する前に、相手の情報システム部門の指定を聞きます。指定があるなら、それに従うのが一番早い方法です。

数人の協力工場へ送るとき

工場の事務所のパソコン1台⁠でメールを見ている相手もいます。アカウントの登録を求めると止まりやすいので、ダウンロードのURLで受け取れるファイル転送サービスの比較から探します。図面は版の間違いが事故になるので、続く案件では相手指定の共有フォルダに切り替え、最新版の置き場を1か所にします。

個人情報や未公開の情報を送るとき

相手が誰でも、送り先を二重に確かめる手順を入れます。送信前に上長が承認できるかどうかは、製品を比べるときの質問に加えてください。

どうしても替えられない相手には?

大臣は同じ会見で、機密性の高い情報は、パスワードをかけて全く別の経路で知らせるのが「まずは適切な対応ではなかったのか⁠」⁠と述べています。電話やショートメッセージで伝える方法です。件数が増えると続かないので、相手と期限を決めた例外にして、一覧に残します。

受け取る側は何を変える?

自社が送るのをやめても、相手からは届き続けます。パスワード付きZIPを一律に止めると仕事が止まるなら、届いた時の扱いを決めます。

  • 普段やり取りのない相手からのものは、開く前に別の連絡手段で確かめる
  • 開いた人を責めず、報告の手順を訓練で確かめる
  • 添付の中身を無害にしてから渡す方法を検討するなら、ファイル無害化の比較を見る

自社のメールのなりすましを防ぐ設定は別の話です。代わりの方法でURLの案内メールを送るなら、相手から本物と分かることも欠かせません。DKIMの設定とDMARCの設定も、順に確かめてください。

移行はどの順番で進める?

一度に切り替えると問い合わせが集中します。

  1. 送信先の一覧を作り、3つ⁠に分ける
  2. 情報の重さで、使ってよい方法を決める。社外秘の図面は相手指定のみ、など
  3. 件数の多い相手5社⁠に連絡し、1件試して開けるか確かめる
  4. 自動でZIPにする仕組みがあれば、例外の相手を決めてから外す
  5. 例外の一覧を四半期ごとに見直す

取引先への連絡は、「セキュリティの方針変更のため」⁠と理由を書き、試しのファイルを1つ付けると、相手の情シスも判断しやすくなります。残った例外の数を社長に毎回報告すると、放置されにくくなります。

よくある質問

PPAPの代わりになる方法は何ですか?

主な候補は、相手を指定する共有リンク、メール暗号化、ファイル転送サービス、取引先と共用する受け渡しの場所です。どれが合うかは、相手の会社がクラウドの共有を開けるかと、送る情報の重さで決まります。

共有リンクとメール暗号化はどちらが安全ですか?

どちらかが常に上ではありません。共有リンクは送った後に権限を外せる点が強みで、メール暗号化は本文まで守れる点が強みです。誰でも開ける設定のリンクは、誰が見たかを追えなくなるので、設定で差が出ます。

取引先がクラウドの共有リンクを開けないときはどうすればいいですか?

相手の会社が使っている受け渡しの方法を先に聞きます。それがなければ、暗号化メールやファイル転送サービスを試し、1件送って開けるか確かめます。どれも難しい相手に限り、期限を決めて別の経路でパスワードを伝える方法を残します。

パスワードを別のメールで送るだけではPPAP対策になりませんか?

なりません。同じメールの経路でパスワードを送るなら、問題は変わりません。別の経路で伝えるなら電話やショートメッセージなどにしますが、件数が増えると続かないので、移行までのつなぎと考えてください。

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