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COLUMN 1017 / メールセキュリティ

PPAPとは?パスワード付きZIPをやめる理由と取引先への伝え方

公開 2026.11.06文・ナギサコーポレーション

この記事の答え

  • PPAPは、パスワード付きZIPとパスワードを別々のメールで送る手法の通称
  • 宛先を誤ると2通とも届き、攻撃に悪用されると検知をすり抜けやすい
  • 取引先には、相手の手間と、受け取れない時の別の方法を先に伝える
目次

PPAPとは、パスワード付きZIPファイルとパスワードを別々のメールで送る手法の通称です。

今日やることは、自社がいつPPAPで送っているかを書き出すことです。メールソフトや送信サーバーの自動暗号化で送っているのか、担当者が手で作っているのか、どの取引先に送っているのかが分かれば、変更の範囲と伝える相手が決まります。

なぜPPAPをやめる動きが広がった?

JIPDECの講演記録は、PPAPを「ファイルを安全に相手へ送信する方法として一時普及した⁠」⁠と説明し、利点とされてきた誤送信対策や盗聴防止について「どれも効果が高いとは言い切れない」としています。問題は主に3つあります。

誤った宛先に2通とも届く

総務省の事例は、別送するパスワードのメールも同じ誤った宛先へ送ってしまうケースが多いと指摘しています。1通目の宛先をそのまま使って返信や転送で送れば、誤りごと引き継がれます。自動で2通送る仕組みでも同じです。

攻撃に悪用されると検知をすり抜けやすい

暗号化された添付は、配送の途中で中身を確かめにくくなります。IPAの2020年9月⁠の注意喚起は、パスワード付きZIPを添付したEmotetの攻撃メールについて、メール配送経路上のセキュリティ製品の検知・検疫をすり抜け、受信者に届く確率が高いと説明しています。JPCERT/CCも同じ時期に⁠、パスワードを本文に書いたケースと検知のすり抜けについて注意を呼びかけました。

受け取る側にとっての問題でもあります。普段からパスワード付きZIPをやり取りしている会社では、同じ形の添付が届いても違和感を持ちにくくなりかねません。

受け手の手間が増える

JIPDECの記録は、パスワードが書かれたメールを探す、同じ人から複数届いたメールと照らし合わせる、といった手間も問題に挙げています。スマートフォンで確認する担当者や、1日⁠に何件も図面を受け取る担当者には小さくない負担です。

国はどう動いた?

2020年11月17日⁠の記者会見で、当時のデジタル改革担当大臣が内閣府・内閣官房での廃止の検討を公表しました。11月24日の会見では、ZIPファイルと同じ経路でパスワードを自動で送る方式を11月26日⁠に廃止する予定と述べています。セキュリティと受け取る側の利便性の両面で適切ではない、という説明でした。

この発言は「ZIPファイルそのものが禁止になった」⁠と⁠い⁠う意味ではありません。同じ会見で、機密性の高いファイルはパスワードをかけたうえで全く別の経路で知らせることに触れています。問題の中心は、同じ経路で続けて送ることです。

代わりにどの方法を選ぶ?

JIPDECの記録は「最適な方法は確立していない」⁠としたうえで、複数の案を比較しています。万能の1つ⁠を探すより、ファイルの重要度と相手で使い分けるほうが現実的です。

方法 向いている場面 気をつける点
アクセス権限を設定できるクラウドストレージ 図面、見積など日常のやり取り 権限の設定と、終わった後の共有解除
ファイル転送サービス 大きなファイル、単発の受け渡し 誰でも開けるURLにしない
別の経路でパスワードを伝える 外部サービスが使えない相手 中身の確認の問題は残る
S/MIME 証明書を運用できる相手 双方に証明書と対応ソフトが要る

総務省の事例も、クラウドストレージの利用と、電話などメール以外での伝達を予防法に挙げています。リンクを誤送信しても、権限がなければ閲覧できない機能を持つサービスがあるという説明です。逆に、JIPDECの記録が示すとおり、アクセス制御のないサービスではURLを知った人が開けてしまうため、機密性の高い文書には向きません。

パスワードをSMSで別送する方法は、同じ記録によれば、経路が別なので不正の発生確率は下がるものの、ウイルスチェックが行われない課題が残ります。

サービスを選ぶ段階では、法人向けファイル転送サービスの比較で、受け手に会員登録が要るか、ダウンロードの履歴が残るかを確かめます。

履歴は判断の材料になります。IPAの中小企業向けガイドライン第4.0⁠版は、取引先との間でも、履歴が残らない情報の送信方法を禁止するルールを定めることを挙げています。ファイル自体を守る仕組みは、ファイル暗号化製品の比較に分けて考えます。

長年の取引先にどう伝える?

先方のルールでPPAPを求められている、担当者が新しい方法を嫌がるかもしれない、といった心配で手が止まりがちな場面です。伝え方は次の5点⁠で組み立てます。

  1. 相手のやり方を評価しない。「貴社の方法は危険です」ではなく「当社の送付方法を変えます」と書く
  2. 理由は短く、公的機関の情報に寄せる。自社の判断だけに見えると、相手も社内に説明しにくい
  3. 相手がすることを具体的に書く。「リンクを押して、メールで届く確認コードを入れるだけ」⁠の⁠よ⁠う⁠に
  4. 受け取れない場合の別の方法を先に示す。社内の規則で外部のサービスを開けない会社はある
  5. 開始日と問い合わせ先を書き、切り替えの猶予を取る

たとえば、金型メーカーが、発注元と図面や見積をZIPでやり取りしている場合、変更を1通のメールで済ませようとしないほうが進みます。付き合いの長い相手には担当者が電話で一言添え、発注元の情報システム部門が関わるなら、その窓口を聞きます。図面の受け渡しは先方の規定で決まっていることがあるので、変更をお願いする前に規定の有無を尋ねます。

文面は、次の形を土台に自社の言葉へ直してください。

文面の例

件名:ファイル送付方法の変更のご案内(○月○日から)

平素よりお世話になっております。○○の△△です。

当社では○月○日より、図面・見積書などのファイルをお送りする際の方法を変更いたします。これまでのパスワード付きZIPファイルでの送付をやめ、○○(サービス名)⁠の共有リンクでお送りします。

パスワードを別のメールでお送りする方法は、宛先を誤った場合に防ぎにくいことや、受け取る側のウイルス確認が難しくなることが、公的機関の資料でも指摘されています。当社でも見直すことといたしました。

お手数ですが、届いたメールのリンクを開き、確認コードを入力してダウンロードをお願いいたします。

貴社の規定により外部サービスをご利用いただけない場合は、別の方法を相談させてください。電話でも承ります(窓口:○○)⁠。

根拠を聞かれたときのために、総務省の事例とIPAの注意喚起のURLを手元に置いておくと、説明が短く済みます。

自動で暗号化する仕組みはどう外す?

メールの送信サーバーやサービスの機能で自動的にZIP化している会社は、担当者の努力では止まりません。止める前に、次を確かめます。

  • 自動暗号化の設定を誰が管理しているか
  • 社内規程に「添付は暗号化する」⁠と書かれていないか
  • プライバシーマークなどの取引先への説明で、暗号化に触れていないか

規程と説明の文言を先に直さないと、現場は設定が変わっただけで違反をしている形になります。

相手からPPAPで届いたらどうする?

自社がやめても、受け取り続けることはあります。すぐに全部を断る必要はありませんが、受け取り方は決めておきます。

JPCERT/CCは、業務に関係がありそうで取引先から届いたように見える添付でも、感染につながる可能性を念頭に置くよう呼びかけています。IPAの解説(2026年8月)⁠も⁠、少しでも不審に感じたら、メール以外の方法で相手に直接確かめることを挙げています。心当たりのないZIPは開かず、電話で確認して、社内の報告先へ回します。

受信側の守りはメールセキュリティの3方向の整理に、開いてしまったときの流れは標的型攻撃メールを開いた時の社内の動き⁠にまとめました。受信の製品を比べるならメールセキュリティ製品の比較があります。メールのほかの論点はメールセキュリティの一覧から読めます。

よくある質問

PPAPとは何ですか?

パスワード付きZIPファイルとパスワードを別々のメールで送る手法の通称です。安全にファイルを送る方法として一時広まりましたが、効果が高いとは言い切れないと指摘されています。

なぜPPAPは問題なのですか?

同じ誤った宛先へ2通とも送ると防げないこと、暗号化された添付は配送経路のセキュリティ製品で検知しにくいこと、受け手の手間がかかることの3点⁠が主な理由です。

PPAPの代わりに何を使えばいいですか?

アクセス権限を設定できるクラウドストレージやファイル転送サービスが第一の選択肢です。使えない取引先には、パスワードを電話やSMSなどメール以外で伝える方法があります。

取引先にPPAPをやめると伝えるときの注意点は?

相手のやり方を否定せず、自社の送付方法を変えると伝えます。開始日、相手の手間、受け取れない場合の別の方法、問い合わせ先を1通にまとめます。

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