SSL証明書が期限切れになると、閲覧者のブラウザに警告が出て、サイトを開く人も問い合わせも減るおそれがあります。サーバーは動いていても、閲覧者からは安全を確かめられないサイトに見えます。
今日やることは、警告が出ているなら、発行元か契約先へ連絡する前に有効期限の日付を確かめることです。そのうえで、直るまでの電話とメールの窓口を決めて、社内で共有します。まだ切れていないなら、SSL証明書の更新手順と台帳の決め方のほうが役に立ちます。
閲覧者には何が表示される?
Chromeでは、証明書のエラーとして「この接続ではプライバシーが保護されません」という表示が案内されています。期限切れの場合のエラー名は、NET::ERR_CERT_DATE_INVALID です。
ブラウザの種類で文言は変わります。社内から問い合わせが来たら、使っているブラウザと、画面に出ているエラー名をそのまま送ってもらってください。
Chromeの設計資料であるChromiumのエラー一覧は、このエラーを次のように説明しています。ブラウザの時計で見て、証明書がまだ有効でないか、期限が切れている状態です。考えられる原因として3つを挙げています。
- 秘密鍵を手に入れた攻撃者が、古い証明書を見せている
- サーバーの設定に誤りがあり、有効な証明書を見せていない
- 閲覧者の端末の時計がずれている
ここが閲覧者にとっての問題です。担当者には「更新を忘れただけ」と分かっていても、閲覧者には攻撃との区別がつきません。 取引先のパソコンで同じ画面が出れば、ページを閉じる判断は自然です。
端末の時計も疑う
1人だけ、または1台だけ警告が出るなら、サイトではなくその端末の問題かもしれません。Chromeのヘルプは、ウイルス対策ソフトのHTTPSを検査する機能や、カフェなどのWi-Fiのログイン画面でも証明書のエラーが出ることがあると案内しています。
問い合わせにはどう響く?
影響が大きいのは、入力を求めるページです。Chromeのヘルプは安全性を示すアイコンの説明で、保護されていない通信や危険と示されたページには個人情報を入力しないよう案内しています。警告の出たフォームは、社名やメールアドレスを入れてもらいにくくなります。
| 閲覧者の場面 |
起きそうなこと |
会社側の備え |
| 検索や名刺からサイトを開く |
警告で閉じる |
トップの確認を最初に行う |
| 見積もりや図面の問い合わせを送る |
入力の前にやめる |
電話とメールの窓口を社内で共有 |
| 社内のパソコンで開く |
情シスの設定で止まる |
取引先に別の連絡手段を伝える |
| 採用サイトを開く |
応募をやめる |
求人媒体の連絡先を確認する |
たとえば、機械部品の会社のフォームで期限が切れた場合、設計者は警告を見て、次の候補の会社へ移るかもしれません。問い合わせが来ないので、会社側には苦情すら届かないことがあります。件数が急に減ったときに、証明書も確かめる項目に入れてください。
HSTSを設定しているサイトでは、影響はさらに強くなります。HSTSの規格RFC 6797の12.1節は、証明書のエラーで接続に失敗した場合に、先へ進む選択肢を利用者に見せない扱いを勧めています。閲覧者は例外的に進むこともできず、サイトが見られない状態に近づきます。
サイトと連携した外部のサービスがある場合は、そちらが動いているかも確かめます。予約、決済、受発注などのつなぎ先では、相手が証明書のエラーを理由に接続を止める作りのことがあります。
切れたあとはどの順番で直す?
慌てて買い直す前に、次の順番で進めます。
- 本当に期限切れかを確かめる。社外の回線とスマートフォンで開き、警告の詳細に出る期限を見る
- どのドメインが切れたかを洗い出す。トップは正常で、フォームだけ切れていることもある
- 入り方を確かめる。無料SSLの自動更新か、購入した証明書か、制作会社の管理か
- 発行元か販売店に、切れたあとの扱いを聞く
- 発行を受けたら、証明書と中間証明書をサーバーへ入れ、再読み込みする
- 社外の回線で確認する。トップ、フォームの送信、画像が欠けていないか
- 復旧の知らせを社内と、必要なら取引先へ伝える
入れ替えを担当する人が分からない場合は、請求書を探すのが近道です。サーバー、ドメイン、制作保守のどの請求に証明書が含まれているかで、頼む先が決まります。
無料SSLの自動更新が止まったとき
レンタルサーバーの無料SSLなら、サーバー側の条件を直せば戻ることがあります。エックスサーバーの案内は、自動更新が繰り返し失敗する原因として次を挙げています。
- 設定したドメインのネームサーバーやDNSレコードが、そのサーバーを向いていない
- 設定したドメインにリダイレクトを設定している
ほかのレンタルサーバーでも、まずマニュアルで同じ項目を探します。サイトの移転や、URLの統合をした時期と重なっていないかを思い出してください。
購入した証明書が切れたとき
発行元によって、受付の期間や書類の扱いが違います。JPRSの更新発行の受付は有効期限日の2カ月前の1日からです。切れたあとは更新と新規のどちらになるかを、契約先に確かめます。
審査の軽さは種類によります。ドメインの確認だけのDVに比べて、組織の実在を確かめるOVやEVは審査の分だけ時間がかかります。急ぐなら、DVで先に復旧してから組織認証へ戻せるかも合わせて聞いてください。ただしサイトの方針や取引先の条件で組織認証が必要なこともあるので、自社の決まりを先に確かめます。
SSLサーバー証明書の製品比較を見ると、聞く先の見当がつけられます。
直ったあとに確かめることは?
警告が消えても、次の確認が終わるまで復旧とは言いません。
- 社外の回線とスマートフォンで、警告が消えたか
- ブラウザに表示される証明書の期限が、新しい日付か
- フォームを実際に送信でき、社内に届いたか
- サイトで使う別のドメインでも、警告が出ないか
- 警告が出ていた間の問い合わせが、失われていないか
中間証明書を入れ忘れると、パソコンでは開くのに一部のスマートフォンで警告が出ることがあります。そのため確認は1台で済ませません。
サーバーの設定を触ったついでに、OSや管理画面の更新状況も見ておくと、後の手間が減ります。サーバーセキュリティの製品比較は、保護の範囲を見直すときの参考になります。
期限切れではない警告もある?
警告の種類で、対応は変わります。証明書の期限に問題がなければ、別の原因を調べます。
Chromeのヘルプは、ページ全体に赤い警告画面が出る場合、Googleセーフブラウジングが安全でないサイトと認識したものだと説明しています。受け取った情報の不正使用や、有害なソフトのインストールのおそれがあるという案内です。期限切れとは別の問題なので、更新では直りません。
この場合は、サイトが書き換えられていないかを調べます。Webサイトの改ざん検知の仕組みと選び方にある初動の順番を確かめ、早めに制作会社やサーバーの契約先へ連絡してください。見張りを置くならWeb改ざん検知の製品比較で調べ方と間隔を比べられます。
次に切らさないために何を決める?
切れた原因を1行で書いて、残しておきます。通知が届かなかったのか、届いても担当がいなかったのか、自動更新が失敗したのかで、直す先が違います。
有効期間も短くなっています。2026年3月15日以降に発行する証明書は最長200日、2027年3月15日以降は100日です。これから取り直す証明書は、次の更新が以前より早く来ます。
台帳、共有のアドレスの通知、担当者の引き継ぎは更新手順の記事にまとめました。サイトの守りの全体はWebサイトのセキュリティの一覧で確かめられます。