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COLUMN 1020 / Webサイト・サーバー防御

WAFとは?Webサイトの攻撃を防ぐ仕組みと自社に必要かの判断基準

公開 2026.11.06文・ナギサコーポレーション

この記事の答え

  • WAFは通信の中身を検査し、Webアプリの脆弱性を悪用した攻撃の影響を減らす
  • 脆弱性の修正の代わりにはならず、すべての攻撃は防げない
  • 要否は入力欄、ログイン、保有データ、修正のしやすさの4点⁠で判断する
目次

WAFとは、Webアプリケーションの脆弱性を悪用した攻撃などから、Webアプリケーションを保護するソフトウェアまたはハードウェアです。Web Application Firewallの略で、定義はIPAのWeb Application Firewall読本(2011年12月の改訂第2版)⁠によります。

今日やることは、自社サイトの入力欄を数えることです。問い合わせ、資料請求、会員ログイン、検索窓、見積もり依頼を書き出し、それぞれのデータがどこに保管され、誰が修正できるのかを1行ずつ埋めます。

この表が埋まると、WAFの要否はかなり判断しやすくなります。

WAFはどんな仕組みで攻撃を防ぐ?

WAFは、Webサイトと利用者の間の通信の中身を、設定した検出パターンに沿って機械的に検査します。IPAの読本は、期待できる効果として次の3つ⁠を挙げています。

  • 脆弱性を悪用した攻撃からWebアプリケーションを防御する
  • 脆弱性を悪用した攻撃を検出する
  • 複数のWebアプリケーションへの攻撃をまとめて防御する

現在の製品でも基本の役割は同じです。たとえばAWS WAFの公式文書は、利用者がアプリケーションに送るWebリクエストを監視し、アクセスを制御するために使うものと説明しています。

読本は2011年⁠の資料なので、製品の種類や価格の話はそのまま今に当てはめないでください。判断の考え方と留意点を読む資料として使えます。

ファイアウォールとは何が違う?

ファイアウォールが見るのは、IPアドレスやポート番号など、通信の送信元と送信先の情報です。社内のファイル共有にインターネットから入れないようにする、といった使い方をします。

WAFは通信の中身を見ます。公開しているWebサイトへの通信は、ファイアウォールを通る必要があるので、中身の検査は別の役割になります。社内ネットワークの出入口の機器を見直すなら、ファイアウォール機器の製品比較⁠が別に要ります。

WAFで防げないことは?

この点を先に押さえないと、導入したあとに判断を誤ります。

IPAの読本は、WAFを脆弱性の修正といった根本的な対策ではなく、攻撃による影響を低減する対策と位置づけています。安全なウェブサイトの作り方も、原因を無くす根本的な解決と、影響を軽減する保険的対策を分けています。同書の本文では、保険的対策のみに頼る設計は推奨されないとしたうえで、すぐに直せないときの暫定対策になると説明しています。

具体的には、次の3点⁠が残ります。

残る問題 中身 手当て
すべての攻撃は防げない 脆弱性を狙った攻撃の種類によっては防御できない可能性がある 防ぎたい攻撃に対応しているかを事前に確認する
正常な通信を止めることがある 機械的な検査のため、偽陽性で利用者の通信を遮断する場合がある 導入後にログを見て設定を調整する担当を置く
盗まれたIDでの侵入 正しいIDでのログインは別の対策の領域 多要素認証、IDの棚卸し

最後の行は、読本の記述ではなく私たちの整理です。入口全体の順番は不正アクセスの入口と防ぎ方⁠で見られます。

製造業のサイトで起きやすい偽陽性の例で考えます。たとえば、問い合わせフォームに図番や型番、記号の多い仕様をそのまま入力してもらう場合です。文字列によっては検出パターンに当たる可能性があるので、試験期間を設けて、実際の入力例で確かめる必要があります。

自社サイトにWAFは要る?判断の基準は?

次の4つ⁠を順に確かめます。IPAの読本の「WAFが有効な状況」⁠を⁠、中小企業のサイトに当てはめて整理した私たちの基準です。法令や公的機関が決めた線引きではありません。

サイトの状況 判断
会社案内だけで入力欄もログインもなく、更新の担当もいる 更新と管理画面の守りを先に整える。WAFは急がない
問い合わせや資料請求のフォームがあり、受信データをサーバーに保管している 検討する。保管をやめられるなら、それも比べる
フォームやCMSの改修を頼める相手がいない、サポートが切れている 検討する理由が強い。並行して作り替えの計画も立てる
会員ログイン、取引先向けの見積もりや図面、注文情報を扱う 導入を前提に比べる。脆弱性診断も合わせて考える

入力欄とログインの有無を見る

入力欄もログイン機能もないサイトでも、CMSで動いていれば公開中のアプリケーションがあります。WAFが要らないと決めるのは、静的なHTMLで管理画面も外に出ていないなど、構成を確かめたあとにします。

修正のしやすさを見る

読本は、WAFが有効な状況として、開発会社に改修を依頼できない場合や、直接管理できないアプリケーションに対策したい場合、攻撃をすぐに防御する必要がある場合を挙げています。

中小企業に多いのは、開発を依頼した会社が保守をやめている、改修費用が予算に収まらないという場面です。たとえば、機械部品メーカーが10年前に作った会員向けの図面ダウンロード機能を、社内の誰も直せない場合です。WAFで時間を稼ぎながら、作り替えや閉鎖を決めるという順番が考えられます。

費用を比べるときの注意

読本は、WAFには製品価格や設置の費用だけでなく、保守、ログの確認、検出パターンの更新などの運用費用がかかるとしています。改修やほかの対策の費用と比べるときは、導入費と運用費の合計で見てください。

種類は自社の構成で絞る

読本は、ネットワークの構成を変えられないならサーバーに入れる型やサービスとして提供される型、サーバーの構成を変えられないならネットワーク設置型を選べると説明しています。

選ぶときに聞く項目は次のとおりです。

  • 防ぎたい攻撃に対応しているか
  • 導入でサイトの速度や可用性にどんな影響が出るか
  • 設定変更とログの確認を誰がするか
  • 検出パターンの更新はどちらが担当するか
  • WAFが止まったときに、サイトがどうなるか

各社の仕様はWAFの製品比較で並べて見られます。

導入したあとは何をする?

入れて終わりにはなりません。読本によると、検出した通信をそのまま通す「通過処理」⁠は⁠、一般に導入時の検証や記録のために設定します。最初は通信を止めずに記録だけを取り、正常な問い合わせが検出されていないかを確かめる、という進め方ができます。

本番で遮断を始めたあとに見るものは、主に2つです。

  • ログ:どの通信を不正と判定したか。接続元のIPアドレス、接続先のURL、判定した箇所などを記録する機能があります
  • 問い合わせの減少:フォームが急に静かになったら、正常な通信を止めていないかを疑います

社内に見る人がいない場合は、商用のWAFなら運用を外部に委託することもできます。委託するときは、遮断の設定を誰の判断で変えるのか、誤って止めたときに誰へ連絡するのかを、契約前に決めておきます。

WAFと一緒に考える対策は?

WAFを入れても、根本の確認は残ります。脆弱性が実際にあるかを調べるのが診断で、脆弱性診断サービスの比較で範囲と方法を見比べられます。

改ざんされたことに気づく手段も別に要ります。Webサイト改ざん検知の製品比較が該当します。

中小企業の基準としては、IPAの中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0⁠版⁠があります。「5分⁠でできる!情報セキュリティ自社診断⁠」⁠に「ウェブサイトを安全に運用する」という項目が加わったので、WAFの検討の前に自社の状態を確かめる材料になります。

WAFで手当てできる範囲を見きわめるには、ほかの攻撃との違いも知っておくと役立ちます。アクセスを集中させてサイトを止める攻撃はDDoS攻撃への備えの決め方⁠、通信の暗号化はSSL証明書の確かめ方⁠で扱っています。Webサイト全体の守り方はWebサイト・サーバー防御のカテゴリ⁠にまとめています。

よくある質問

WAFとは何ですか?簡単に教えてください。

Webサイトと利用者の間の通信の中身を検査し、Webアプリケーションの脆弱性を悪用した攻撃などから守るソフトウェアまたはハードウェアです。脆弱性そのものを直すものではなく、攻撃の影響を減らす対策です。

WAFとファイアウォールの違いは何ですか?

ファイアウォールはIPアドレスやポート番号など、送信元と送信先の情報で通信を制限します。WAFは通信の中身を検査します。役割が違うので、片方がもう片方の代わりにはなりません。

問い合わせフォームだけのサイトにWAFは必要ですか?

一律には決まりません。フォームの作りと更新の状況、受信データをどこに保管しているかで判断します。ソフトの更新が止まっている、修正を頼める相手がいない場合は、検討する理由が強くなります。

WAFを入れれば脆弱性診断は要りませんか?

要ります。IPAの資料は、WAFを導入してもすべての脆弱性を悪用した攻撃を防げるわけではないとしています。診断で弱い箇所を見つけて直すことと、WAFで影響を減らすことは別の役割です。

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