今のウイルス対策の会社にEDRやMDRのプランがあり、台数の条件に合うなら、乗り換えの前に追加を検討するのが筋です。
今日やることは、契約書か管理画面で3つを確かめることです。契約中のプラン名、ライセンス数、次の更新日です。この3つで、検討できる選択肢がかなり絞られます。ESETを使っている会社は、台数が26に届くかが最初の分かれ目になります。
足すか乗り換えるかは、何で決まる?
決め手は4つです。価格を比べる前に、次の順に見てください。
- 今の会社に、自社の台数で契約できるEDRのプランがあるか
- 夜間と休日に誰が見るか。今の製品のまま監視を頼める会社があるか
- 対象の端末とサーバーが、そのプランの対応OSに入るか
- 更新日まで何か月あるか。新旧を併用する費用はいくらか
2番は見落とされがちです。EDRを足しても、夜間に見る人がいなければ通知は朝まで残ります。製品と人の関係はEDRとMDRの違いで先に整理しておくと、ここで迷いません。
| 比べる点 |
同じ会社で足す |
別の製品へ乗り換える |
| 入れ替えの手間 |
少ない傾向。追加の部品は要ることがある |
全端末の入れ替えが要る |
| 管理画面 |
1つにまとまりやすい |
新しい画面を覚え直す |
| 監視を頼める先 |
その製品に対応する会社に限られる |
対応する会社が多い製品を選べる |
| 費用の見え方 |
上位プランとの差額で比べられる |
重複期間と作業費も加わる |
| 向く会社 |
今の製品に不満がなく、台数の条件に合う |
今のプランに合う規模がない、監視先を広げたい |
ESETのEDRとMDRは、どのプランに入っている?
ESETを例に、公式の情報で確かめます。国内の法人向けはキヤノンマーケティングジャパンが案内しています。
ESET PROTECT Advancedの機能一覧には、XDR(侵入検知)がありません。ESET PROTECT Eliteの機能一覧には載っています。XDRはキヤノンMJの説明で「EDRの進化形」とされており、EDRの役割を求めるならここが該当します。
ESET PROTECT MDRは24時間365日の監視を含むプランです。Lite(最小26ライセンス)とUltimate(最小100ライセンス)の2種類があります。MDRの機能紹介によると、MDRには「ESET Inspect」というXDRツールが必要です。そのため、EI Connectorという部品を端末に入れます。
希望小売価格は次のとおりです。いずれも1ライセンスあたりの税抜き年額で、2026年12月1日からの価格改定の案内とMDRの価格ページで確かめました。
| 26〜49ライセンスの場合 |
11月30日まで |
12月1日から |
| Advanced |
5,820円 |
6,240円 |
| Elite |
13,410円 |
14,400円 |
| MDR Lite |
14,300円 |
変更なし |
Advancedを30ライセンス使っている会社で計算します。12月1日以降の価格で、Advancedは年187,200円、Eliteは年432,000円、MDR Liteは年429,000円です。Eliteとの差額は年244,800円です。プランの機能は同じではないので、金額だけで比べず、機能一覧を並べて見てください。
25台以下の会社はどうなる?
上の価格表で、Eliteは26〜49から、MDR Liteも26〜49からです。25台以下だと、ESETの中でこの2つを選ぶ道は台数の条件で閉じます。製品の案内でも、Advancedの最小ライセンス数は6、Eliteは26です。
残る道は2つです。ライセンスをまとめて買って条件に合わせるか、別のサービスを探すかです。台数以上に買う場合は、差額も費用に入ります。IPAのサービス基準の説明資料では、サイバーセキュリティお助け隊サービスは端末1台から契約できる決まりです。IPAの価格一覧で端末監視の価格が見られます。お助け隊の監視製品が今のソフトとどう並ぶかは、サービスごとに確認してください。
ESET以外の製品でも、同じ考え方でよい?
考え方は同じです。プランの区切りと、追加できる条件を見ます。
トレンドマイクロの場合、TrendAI Vision One Endpoint Securityのライセンスの説明に、Core(EPP)、Essentials(EPP+EDR)、Pro(EPP+EDR)の区分があります。CoreではEDR/XDRはオプションです。記事の更新は2024年5月なので、最新の条件は販売店に確かめてください。
使っている製品の価格表で、「EDR」「XDR」「侵入検知」の語がどのプランから出てくるかを探すと、今の契約との差が分かります。製品ごとの違いはEDR製品の比較で確かめられます。ウイルス対策も含めて並べるならセキュリティソフトの比較が使えます。
今のソフトを残して、別の会社のEDRを足せる?
組み合わせによっては可能です。ただし制限があるので、事前の確認が欠かせません。
Microsoftの互換性の説明によると、Microsoft Defender for Endpointに登録した端末では、Microsoft以外のウイルス対策を主に使えます。このとき、Microsoft Defenderウイルス対策はパッシブモードで動かせる場合があります。Windowsの版によって動作は変わります。
このとき、ブロックモードのEDRの説明にあるとおり、この機能はPlan 2が対象で、パッシブモードでは利用できない保護もあります。リアルタイム保護やネットワーク保護などが例として挙げられています。
逆の見方もあります。キヤノンMJのMDRのページは、EPPとXDRが別製品だと機能が競合し、不具合が多くなる場合があると説明しています。これはESETを売る側の説明ですが、確かめる価値はあります。並行して動かすなら、両社に組み合わせの可否を聞き、一部の端末で試してください。
乗り換えを選ぶのはどんなとき?
次のどれかに当てはまるときは、乗り換えも検討します。
- 頼みたい監視会社が、今の製品に対応していない
- 自社の台数に合うプランが今の会社にない
- Microsoft 365をすでに広く使っていて、管理をまとめたい
- 今のソフトで動作や管理に具体的な不満がある
1番は、公式の対象製品の一覧で分かります。たとえばラックのEDR監視・運用の対応製品は3つです。Microsoft Defender for Endpoint、CrowdStrike Falcon、Trend Vision One - Endpoint Securityで、他製品は個別に相談できる場合があります。BBSecのEDR-MSSの対象は、SentinelOne、VMware Carbon Black、Microsoft Defender for Endpointです。これらの一覧にESETの名前はありません。ESETのまま監視を頼むなら、最初にESET PROTECT MDRを当たります。
3番の例として、Microsoft Defender for Businessは、掲載価格が1ユーザー月額449円相当(年払い、税別)です。最大300ユーザーで、1人あたり5台までとされています。Microsoft 365 Business Premiumにも含まれているので、契約中のプランを先に確かめてください。すでに含まれていて、使っていないだけという場合もあります。
監視を頼む会社はMDR・SOC監視サービスの比較で、使える製品から逆に探せます。形の違いはMDRとSOCの違いを参照してください。
工場のある会社で、切り替え前に確かめることは?
たとえば、事務所のパソコン30台に加えて、工場に検査装置や生産管理の端末がある会社の場合です。事務所の分は移せても、工場の端末で同じようには進まないことがあります。
確かめる点は4つです。
- 古いWindowsや組み込みの端末が、新しい製品の対応OSに入るか
- 装置メーカーが、セキュリティソフトの入れ替えを認めているか
- 検査装置の動作や通信に影響しないか。夜間や連休に試せるか
- 入れられない機器を、どう分けて守るか
台帳で「入れ替えられる端末」と「触らない端末」を分けてから台数を数えると、見積もりの条件がはっきりします。
判断の進め方
更新日の3か月前を目安に動くと、併用の期間を取りやすくなります。次の順に進めます。
- 契約のプラン、ライセンス数、更新日、対象外の機器を一覧にする
- 今の会社に、上位プランの条件と差額を聞く
- 別の製品の見積もりを1社か2社から取る。作業費と併用期間の費用も書いてもらう
- 一部の端末で試し、誤検知と業務への影響を見る
費用の組み立てはEDRの1台あたりの費用と総額の見方で扱いました。カテゴリの全体像は端末のセキュリティの解説にあります。