Trend Micro Apex One(アペックスワン)とは、トレンドマイクロの法人向けエンドポイント製品で、公式サイトではオンプレミス管理型のNGAV EPPと説明されています。現在の公式サイトの表記はTrendAI Apex Oneです。すでに使っている会社にとって大事なのは、機能よりも、自社の契約がどの形態かという点です。
今日やることは、管理画面か契約書を見て、次のどちらかを確かめることです。SaaS版なら、サポート終了日の2027年12月31日に向けて移行の予定を立てます。オンプレミス版なら、今のビルド番号のサポート期限を確かめます。
この記事は公式の情報を整理したものです。私たちがこの製品を導入や検証したわけではありません。エンドポイント対策のカテゴリにほかの製品の解説もまとめています。
Apex Oneは何をする製品か?
端末をマルウェアなどから守るEPPです。EPPの役割そのものはEPPとは何かを説明した記事に書きました。公式の製品ページでは、次のような検出の技術を組み合わせていると説明されています。
| 公式ページにある技術 |
ひとことで言うと |
| パターンマッチング |
登録された既知の特徴と照合する |
| 機械学習型検索 |
学習したデータと比べて危険かを判定する |
| 挙動監視 |
プログラムの動きを見る |
| 不正接続監視 |
不審な接続先への通信を見る |
| 未知のファイルの実行制御 |
判断できないファイルの実行を抑える |
| 仮想パッチ |
脆弱性を狙う通信を、修正の前に防ぐ |
ひとことの説明は、公式の表記をもとに私たちが短くしたものです。細かい動きはバージョンや契約で変わるので、システム要件と機能の一覧で確かめてください。
オンプレミス版、SaaS版、後継はどう違う?
名前が似た形態が3つあるので、混ざりやすいところです。公式の情報を並べると、次のようになります。
| 形態 |
管理サーバー |
今の扱い |
| Apex One(オンプレミス版) |
自社で用意して保守する |
新規販売は継続 |
| Apex One SaaS |
不要 |
新規販売終了。2027年12月31日にサポート終了 |
| Vision One Endpoint Security |
不要 |
SaaS版の後継。公式の推奨 |
オンプレミス版は、自社で保守する
公式ページには、管理サーバーの導入と、OSやアプリケーションのパッチ適用などのメンテナンスが必要だとあります。一方で、端末がインターネットに接続できない環境に対応する点も挙げられています。XDRなどのプラットフォームとの連携は、オプションの扱いです。
サポートの期限はビルドごとに決まります。公式のサポート情報では、新規インストール用プログラム、Service Pack、Patch、Critical Patchのビルドごとに、公開された月から18か月とされています。同じ情報にある表では、2026年9月公開のService Pack 1 - Patch 5(ビルド20045)のサポート終了日は2028年3月31日です。導入したまま更新していないと、製品名は現行でも、ビルドの期限が切れている場合があります。
OSの側にも期限があります。OSサポートポリシーによると、Windows 10 Home and Pro 22H2でのApex Oneのサポートは、ESUなし、またはESU1年の場合に2026年10月14日までです。MicrosoftによるWindows 10のサポート自体は2025年10月14日に終了しています。今も残っているWindows 10の端末があれば、数を出してください。
SaaS版は、移行の期限がある
経緯を公式の案内からたどると、次のとおりです。
- 2023年9月:後継のTrend Vision One Endpoint Securityの販売開始
- 2024年3月29日:Apex One SaaSの新規販売を終了
- 2025年12月29日:更新と追加の最終受注日
- 2027年12月31日:サポート終了日
同じ案内では、まず後継サービスへ移行し、保有しているライセンスの終了日までに後継のライセンスを購入する流れが示されています。後継の対応表では、Apex One SaaSにはEndpoint Security Core、Apex One SaaS with XDRにはEndpoint Security Essentialsが対応します。プランが変わると機能や金額が変わる可能性があるので、販売店には移行後の見積もりを早めに出してもらってください。
なお、SaaS版で使えたEDR機能のEndpoint Sensorは、2025年6月30日に提供終了となり、XDR Endpoint Sensorへ統合されています。古い資料で検討している場合は、この点が今の状況と違います。
個人向けのウイルスバスターとは何が違う?
違いは、会社全体を1か所で管理できるかどうかです。トレンドマイクロの法人向けと個人向けの比較は、中小企業向けのWorry-Freeファミリーとウイルスバスター クラウドを比べたものですが、考え方は同じです。
| 比較項目 |
法人向け |
個人向け |
| 導入 |
複数台をまとめて導入、設定 |
1台ずつ導入、管理 |
| 設定の変更 |
社員の変更を制限できる |
個人に任される |
| 社内の水準 |
全体で統一できる |
統一が難しい |
個人向けの製品が社内に混ざっていると、どの端末が最新か、期限が切れていないかを担当者が把握できません。Apex Oneの契約で使える法人用ウイルスバスターのシリアル(OSJF)については、発行が2026年8月14日に終了しました。既存のシリアルは2031年5月31日まで使えると案内されています。持ち出し端末などにこのシリアルを使っている会社は、Vision Oneのプランなどへの切り替えが案内されているので、対象の端末を確認してください。
中小企業はどの形態を検討する?
端末が数十台で、管理サーバーを保守する人がいない会社なら、Apex Oneのオンプレミス版が第一候補になるとは限りません。トレンドマイクロは中堅・中小企業向けに、クラウド型のウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス、Worry-Free XDR、Worry-Free Managed XDRを別に用意しています。
オンプレミス版が検討に上がるのは、次のような場合です。
- 端末やサーバーをインターネットに接続できない環境がある
- 管理サーバーを自社で持つ社内ルールや取引先の条件がある
- 管理サーバーのパッチ適用とビルド更新を続ける担当者がいる
たとえば製造業で、検査装置につないだパソコンを工場の閉じたネットワークに置いている場合は、1つ目に当てはまります。ただし、公式の説明どおりに動くかは、使っている装置のソフトとの組み合わせによります。装置のメーカーにも確認し、一部の端末で試してから広げてください。
他社の製品と比べるときは?
更新の時期は、今の製品をそのまま続けるかを考え直せる機会です。比べるときは、検出の技術の名前を並べるのではなく、誰が運用するかから確かめます。質問の項目はEDR製品の比較で見る7項目に書きました。
端末の外まで調べる必要が出てきたら、XDRとEDRの違いと切り替えの時期が判断の材料になります。候補の一覧は法人向けセキュリティソフトの比較と、EDR製品の比較で確かめられます。トレンドマイクロ製品のXDRも含めて調べたい場合は、XDR製品の比較を見てください。