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COLUMN 1189 / サイバー攻撃の基本と最新動向

サイバー保険の価格はいくら?保険料が変わる要素と見積もりの取り方

公開 2026.11.06文・ナギサコーポレーション

この記事の答え

  • 公開例では売上5億円⁠の製造業で月7,180円⁠、条件を変えると数倍の差が出る
  • 保険料は売上高、業種、セキュリティ状況と補償の範囲で決まる
  • 見積もりは補償の条件をそろえ、利益損害の有無を分けて取る
目次

サイバー保険の保険料は、公開されている例では売上5億円⁠の製造業で月7,180円⁠、売上10億円⁠の製造業で年6万円から約34万円です。同じ製造業でも幅があるのは、前提の売上だけでなく補償の範囲が違うからです。

今日やることは、見積もりに使う数字を1枚⁠にまとめることです。直近の年間売上高、海外売上の有無、業種、1日止まったときの粗利、セキュリティ対策の現状を書き出します。この紙があれば、2社以上⁠に同じ条件で頼めます。

公開されている保険料はいくら?

金額を公開している2社⁠の例を載せます。損保ジャパンは12分割の月額、三井住友海上は一時払いの年額で、限度額や割引の前提も違います。2社⁠を比べる表としては使えません。

損保ジャパンの例(売上と業種で動く)

損保ジャパンの案内ページ⁠に載っている月額保険料です。

業種 売上5億円 売上30億円
製造業 7,180円 14,590円
卸売業 6,460円 13,130円
建設業 6,460円 13,130円
小売業 9,880円 20,060円
飲食業 13,110円 25,360円
物流業 14,370円 27,790円

試算の条件は、賠償1億円⁠、費用3,000万円⁠、自己負担額10万円⁠、2026年2月1日以降の始期、保険期間1年⁠、12分割払い、海外売上なしです。任意で申告するセキュリティ対策を、項目の半分程度行っている想定になっています。

月額を12倍すると、売上5億円⁠の製造業は年8万6,160円です。

この表から読めるのは2つです。製造業では、売上が6倍⁠になっても保険料は約2倍です。売上5億円⁠で見ると、物流業は製造業の約2倍です。

三井住友海上の例(補償の範囲で動く)

三井住友海上のサイバープロテクター⁠の年間保険料の例です。売上10億円⁠、割引60%適用、賠償1億円⁠、費用1億円⁠、利益損害1,000万円⁠、免責なしの条件です。

業種 エコノミー ベーシック ワイド
製造業(食料品) 60,000円 68,160円 104,240円
製造業・利益損害あり 付けられない 303,820円 339,900円
小売業(スーパー) 60,000円 141,910円 224,570円
受託開発ソフトウェア業 60,820円 202,910円 312,790円

いちばん大きく動くのは、利益損害を付けるかどうかです。 食料品製造業のワイドプランでは、10万4,240円⁠が33万9,900円⁠になり、約3.3倍です。逆に言えば、「年10万円で足りる」⁠と考えていた会社が止まった間の利益まで補償に入れると、予算の前提が変わります。

受託開発ソフトウェア業は、IT業務特約を付けるとワイドプランで180万8,170円⁠になります。自社の開発業務が原因の事故まで補償する場合は、別の水準になると考えてください。

保険料を決める要素は何か?

日本損害保険協会の資料は、保険料は年間売上高、業種、セキュリティ状況により決まるとしています。2019年⁠の資料ですが、上の2社⁠の案内とも合っています。これに、会社が選ぶ条件が加わります。

要素 動き方 確認すること
年間売上高 大きいほど上がるが比例はしない 直近の決算か申告値か
業種 業種区分で差が出る 複数事業の扱い
セキュリティ状況 申告で割引の例がある 回答に根拠があるか
補償の範囲 利益損害を付けると大きく上がる プランと特約
支払限度額 金額で保険料が変わる 費用と賠償で別か
免責、自己負担 設定できる商品がある 事故ごとの金額

割引は大きな要素です。三井住友海上は、情報管理体制を全25項目⁠のシートで答えると最大60%⁠の割引としています。損保ジャパンも、対策状況の申告を条件に最大60%⁠の割引を案内しています。先の三井住友海上の表は、この60%⁠を適用したあとの金額です。自社で割引が同じだけ付くとは限らないので、表の金額だけで予算を決めないでください。

回答するときは、実態を書きます。「できているはず」⁠で答えると、事故のときに説明に困りかねません。告知の扱いは代理店に確かめてください。社内で答えられない項目が多ければ、セキュリティコンサル・CSIRT支援の比較で外部の手を借りる道もあります。取引先から見た自社の状態を外から確かめるならセキュリティ評価サービスの比較があります。ただし、こうしたサービスを使えば保険料が下がると約束されているわけではありません。

補償の金額はどう決める?

保険料だけ見て限度額を低くすると、事故のときに足りません。費用の相場を見て決めます。

JNSAの2025年⁠の講演資料では、事故原因の調査が300万〜400万円⁠、コールセンターが3か月⁠の委託で700万〜1,000万円⁠とされています。同じ資料のアンケートでは、ランサムウェア被害の中央値が3,260万円⁠、平均が4,959万円です。警察庁の2026年上半期の資料では、復旧に総額1,000万円以上⁠を要した組織が6割⁠を占めます。

費用の限度額が3,000万円⁠の条件なら、中央値に近い金額で頭打ちになる計算です。これで足りるかは、自社のサーバーの台数や、外部に委託している範囲で変わります。

製造業で判断が分かれるのは利益損害です。東京海上日動と損保ジャパンは、システムの中断による利益の損失をオプションとして案内しています。

たとえば、売上10億円⁠、1日⁠の粗利が100万円⁠の部品工場が、1か月⁠のうち20営業日にわたって出荷を大きく減らしたとします。粗利の減少だけで最大2,000万円⁠の計算です。三井住友海上の例の利益損害1,000万円では、半分しかカバーできません。粗利の額は説明のための仮の数字です。自社の数字で計算し、限度額をいくらにするか決めてください。

計算の考え方はサイバー攻撃を受けると会社はどうなるかにも書きました。

見積もりはどう取る?

手順は5つです。

  1. 補償の案を1つ決める。 賠償、費用、利益損害の限度額と自己負担額を決めます。最初は仮の金額でかまいません
  2. 数字をそろえて渡す。 売上高、海外売上の有無、業種を同じ内容で各社へ渡します。損保ジャパンは、見積もりに要るのは売上高と業種のみとしています
  3. 利益損害ありとなしの2通りを頼む。 差額を見てから付けるかどうかを判断します
  4. 対策状況の回答を1通作る。 同じ根拠で各社の様式に写します。割引の前と後の金額を両方もらいます
  5. 同じ質問をする。 下の質問への回答を、保険料と並べて表にします

取扱い会社は日本損害保険協会のサイバー保険のページから探せます。サイバー保険の比較でも商品の違いを見られます。すでに火災保険や賠償責任保険を頼んでいる代理店があれば、そこにも声をかけると話が早く進みます。

見積もりで聞く質問

保険料が近いときは、次の回答で差が出ます。

  • サイバー攻撃の「おそれ」⁠の段階で頼んだ調査の費用も対象か
  • 委託先やクラウドサービスの事故で自社に生じた損害は対象か
  • 利益損害は、どんな条件で、停止から何日目の分から補償されるか
  • 身代金の扱いはどうなっているか
  • 事故のときに使える相談窓口や専門業者の紹介はあるか
  • 海外拠点や海外の取引先からの請求は対象か

調査費用の「おそれ」⁠の補償は、東京海上日動が特長に挙げています。身代金は、損保ジャパンが対象に含まないと明記しています。三井住友海上は、契約者が24時間365日使える専用コールセンターを案内しています。このように各社の書き方が違うので、案内だけで判断せず、約款と代理店の回答で確かめてください。

保険は被害を防ぐものではありません。対策の基本はサイバーセキュリティの基礎⁠にまとめています。

よくある質問

サイバー保険の保険料はいくらですか?

損保ジャパンの公開例では、売上5億円⁠の製造業で月7,180円です。三井住友海上の例では、売上10億円⁠の食料品製造業で年6万〜約34万円です。どちらも条件つきの試算で、実際の金額は見積もりで確かめます。

サイバー保険の保険料は何で決まりますか?

日本損害保険協会の資料では、年間売上高、業種、セキュリティ状況で決まるとされています。これに支払限度額、免責金額、利益損害を付けるかどうかが加わります。

セキュリティ対策をしているとサイバー保険は安くなりますか?

商品によっては割引があります。三井住友海上は全25項目⁠のシートへの回答で最大60%⁠、損保ジャパンも申告により最大60%⁠の割引を案内しています。回答は実態どおりに書いてください。

サイバー保険の見積もりには何が必要ですか?

損保ジャパンは売上高と業種だけで見積もれると案内しています。割引の適用には対策状況の申告が要ります。比べるなら、限度額と自己負担額、利益損害の条件をそろえて複数社に頼みます。

サイバー保険で身代金は補償されますか?

損保ジャパンの案内では、攻撃の実行者に支払う身代金は補償の対象に含みません。ほかの商品の扱いは、申込み前に約款と代理店で確かめてください。

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