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COLUMN 1154 / サイバー攻撃の基本と最新動向

サイバーセキュリティ対策の電話が会社に来た時の見分け方と断り方を解説

公開 2026.11.06文・ナギサコーポレーション

この記事の答え

  • その場で決めず、公式サイトの代表番号へかけ直せば本物か確かめられる
  • メールアドレスを教えない、ソフトを入れない、番号を押さないを社内の決まりにする
  • 本物の営業なら、後日書面で提案を受けても困らない
目次

サイバーセキュリティ対策を名乗る電話は、その場で判断せず、用件を聞いて一度切り、公式サイトで調べた代表番号へかけ直せば確かめられます。相手が教えた番号へはかけません。

今日やることは、電話を受ける人全員に、次の3つ⁠を社内の決まりとして伝えることです。電話口でメールアドレスを教えない。言われたソフトを入れない。自動音声で番号を押さない。

この記事は公的機関の注意喚起をもとに整理したものです。電話をかけてくる会社の全部が詐欺だという話ではありません。営業の電話と詐欺は、声や話し方では区別できないので、確かめ方を決めておきます。ほかの基本は情報セキュリティの基礎のカテゴリ⁠にあります。

どんな電話が来ている?

総務が受ける電話は、大きく5つ⁠に分かれます。

種類 電話での言い方の例 公的機関の説明
銀行をかたる ネットバンキングの更新が必要 警察庁が法人口座の被害を報告
省庁をかたる 通信が止まる 経済産業省が注意喚起
認定をかたる 国の認定を受けた会社 中小企業庁が注意喚起
統計調査をかたる 調査の確認で売上を聞く 沖縄県が報告
普通の営業 対策製品の案内 確かめたうえで判断する

被害の数字が公表されているのは銀行をかたる電話です。警察庁の令和7年の報告は、犯罪グループが企業に電話し、ネットバンキングの更新手続などをかたる手口を説明しています。メールアドレスを聞き出し、フィッシングメールを送って法人口座から不正送金する流れです。

警察庁の資料を引いた神奈川県警の資料⁠によると、令和7年11月⁠は77件⁠、23億1千万円の被害でした。令和8年上半期の報告は、令和8年5月⁠に遠隔操作ソフトをインストールさせる新しい手口が急増したと書いています。

省庁の名前も使われます。経済産業省は、部署や職員を名乗り「電話が使えなくなる」「通信が止まる」などと言って個人情報を聞き出そうとする電話を確認しています。東北経済産業局⁠のページでは、電話や通信の停止について個人あてに電話をすることはないと説明しています。

中小企業庁の注意喚起は、補助金や助成金の勧誘を電話やメールなどで行うことは一切ないとしています。「中小企業庁の認定」⁠と称していても、事実と異なる場合があるとも書いています。

沖縄県の報告では、令和8年5月⁠中旬ごろ、経済センサスの確認だとして事業所の開設時期や売上を聞き出そうとする電話が発生しました。「電話による調査は行っておりません⁠」⁠と説明されています。

聞き返す質問はこの5つ

声や丁寧さでは判断せず、次を順に聞きます。答えは紙に書き取ります。

  1. 「会社名と部署、お名前を教えてください」
  2. 「当社のどの情報を確認して、お電話をくださったのですか」
  3. 「資料は郵送か、御社の公式サイトのお問い合わせから受け取れますか」
  4. 「担当者に確認して、御社の代表番号へこちらからかけ直します」
  5. 「今日中に決めないといけない理由はありますか」

「メールで資料を送ります」に注意

普通の営業でもよくある言葉ですが、ボイスフィッシングでは、通話中にメールアドレスを聞き出してリンク付きのメールを送ります。電話口では教えず、公式サイトの問い合わせ先から受け取ります。

警察庁の令和7年⁠の報告は、この手口の特徴を3つ挙げています。発信元が国際番号、自動音声の後に人の声に切り替わる、通話中にメールアドレスを聞かれてリンク付きメールが送られる、の3つです。どれか1つでも当てはまれば、そこで切って構いません。

どこで電話を切ればいい?

次の言葉が出たら、質問を続けずに切って、社内に共有します。

  • 番号を押してください、と自動音声で案内された
  • セキュリティ強化のためのソフトを入れてください、と言われた
  • 画面を遠隔で確認します、と言われた
  • 社内の誰にも相談しないでください、と言われた
  • インターネットバンキングのIDやパスワードを聞かれた
  • 今日中に手続きしないと止まります、と言われた

愛知県警の資料は、銀行をかたるメールやSMSのリンクへのアクセスを禁止し、銀行から電話があれば営業店か代表電話へ折り返して確かめるよう求めています。インターネットバンキングは銀行の公式サイトやアプリから開く決まりにします。

国際番号からの電話に用がなければ、国際電話の着信ブロック⁠もあります。警察庁のページが案内する国際電話不取扱受付センターは0120-210-364です。海外の取引先と電話で話す会社は、業務への影響を確かめてから申し込みます。

受付はどう断ればいい?

丁寧に断れば十分です。説明や議論はいりません。

  • 営業かどうか分からないとき:「担当者が不在です。ご用件と御社名を承ります。必要な場合は代表番号へこちらからご連絡します」
  • 営業だと分かったとき:「当社では電話でのご案内はお受けしていません」
  • しつこいとき:「今後のお電話はご遠慮ください。失礼します」

「情シスの担当者の名前を教えてください⁠」⁠と聞かれても、答えなくて構いません。担当者の名前や使っている製品、保守会社の名前は、電話で伝えない情報として決めておきます。

たとえば、部品工場の総務が経理も兼ね、法人口座のネットバンキングを1台⁠のパソコンで扱っている場合です。電話を受ける人と送金する人が同じだと、確認する相手が社内にいません。かけ直しの確認と、振込の承認を別の人が行う決まりにします。工場の現場に電話が回る会社は、現場の事務所にも同じ紙を貼ります。

本物の営業だったらどう判断する?

本物の会社なら、後日の提案を求めても困りません。電話の場で決めず、次を書面で確かめます。

確かめること 見るところ
何を守る製品か 自社の点検で足りない所に合うか
費用の総額 初期費用、月額、最低契約期間
解約の条件 契約書に書いてあるか
根拠として挙げた制度 IPAや経産省のページで確かめる

「国の制度で必須になった」⁠と言われたら、制度の名前を聞いて公式ページで確かめます。たとえばSCS評価制度は、IPAの2026年3月の案内では令和8年度末に開始予定とされています。

価格の目安を持っておくと比べやすくなります。サイバーセキュリティお助け隊サービス基準では、ネットワーク監視は月額1万円(税抜)⁠を超えないこと、端末監視は1台あたり月額2,000円(税抜)⁠を超えないことと定めています。これは基本の類型の話で、別途、初期費用の上限や、価格要件を緩めた2類もあります。

契約面では、消費者向けの決まりを前提にしません。消費者庁の特定商取引法ガイドは、電話勧誘販売の適用除外に「営業のため、又は営業として締結するもの⁠」⁠を挙げています。会社の契約で後から解約できるとは考えず、契約前に確かめます。個別の判断は弁護士に聞きます。

提案を比べるなら、電話で聞いた製品名だけで決めず、ファイアウォールの製品比較⁠やセキュリティコンサルティングの比較で他社と並べます。

話してしまったら、どうする?

情報を教えただけで止まっていれば、届いたメールのリンクを開かず、社内で共有します。次の場合は、すぐ動きます。

  • IDやパスワードを入れた:取引銀行へ連絡し、パスワードを変える
  • 遠隔操作ソフトを入れた:パソコンをネットワークから切り、担当者へ連絡する。不用意に電源を切ると記録が消えることがあるので、IPAの手引きも確かめる
  • お金が動いた:銀行と最寄りの警察署へ連絡する。相談先は警察庁の窓口一覧にある

判断に迷うときは、IPAの企業組織向け相談窓口⁠へメールで相談できます。

電話の話は短い題材にして、朝礼で共有できます。セキュリティ教育サービスの比較や社員のセキュリティ教育の進め方⁠を使うと、受付以外にも広げられます。社内全体の点検は半日で見るチェックリスト⁠にまとめました。公開資料で確かめた攻撃の事例⁠と併せて読むと、電話以外の入口も確かめられます。

よくある質問

サイバーセキュリティ対策の電話が会社に来ました。詐欺ですか?

電話だけでは分かりません。普通の営業の場合もあれば、銀行や官公庁をかたる場合もあります。その場で答えず、用件と会社名を聞いて一度切り、公式サイトで調べた代表番号へかけ直して確かめます。

経済産業省や中小企業庁からセキュリティの電話が来ることはありますか?

経済産業省は、電話や通信の停止について個人あてに電話をすることはないとしています。中小企業庁は、補助金や助成金の勧誘を電話やメールで行うことは一切ないとしています。それ以外の用件も、担当部署へ確認してから対応します。

ボイスフィッシングとは何ですか?

偽のメールやSMSに電話などの音声を組み合わせた手口です。警察庁によると、企業に電話をかけてネットバンキングの更新手続などをかたり、メールアドレスを聞き出してフィッシングメールを送り、法人口座から不正送金する被害が出ています。

電話で勧められたセキュリティ契約にクーリング・オフは使えますか?

消費者庁の特定商取引法ガイドは、営業のため、または営業として締結するものを適用除外に挙げています。会社の契約では、後で取り消せる前提で考えないほうが安全です。個別の判断は弁護士に確認します。

不審な電話でメールアドレスを教えてしまったらどうすればいいですか?

届いたメールのリンクを開かず、社内に共有します。銀行をかたる電話なら、取引銀行の営業店か代表電話へ確かめます。IDやパスワードを入れた、遠隔操作ソフトを入れた、送金されたといった場合は、銀行と警察へすぐ連絡します。

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