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COLUMN 1084 / サイバー攻撃の基本と最新動向

マルウェア対策は何をする?ウイルス対策ソフトの次に足す4つ⁠の手を解説

公開 2026.11.06文・ナギサコーポレーション

この記事の答え

  • ウイルス対策ソフトだけでは、新種の検知も壊れたファイルの復旧もできない場合がある
  • 足す順は更新、権限、バックアップ、メール。入口と被害の広がりから塞ぐ
  • 感染が疑われたら、ネットワークから切り離し、慌てて電源を切らない
目次

マルウェア対策とは、悪意のあるソフトウェアの侵入と動作を防ぎ、被害を受けても業務を戻せるようにする取り組みです。ウイルス対策ソフトを入れたあとは、更新、権限、バックアップ、メールの順に手を足します。

今日やることは2つです。社内のパソコンのうち、普段から管理者権限で使っているものを数えることと、バックアップから最後にファイルを戻した日を確かめることです。答えられなければ、そこが最初の穴です。

この記事は公開資料を整理したものです。優先順位は資料をもとにした私たちの判断で、製品や環境を試した結果ではありません。セキュリティの基本のカテゴリから全体を見られます。

ウイルス対策ソフトだけでは何が足りないのか?

総務省の用語辞典は、マルウェアを「悪意のあるソフトウェア」⁠の略としています。総務省の解説では、ウイルスのほか、遠隔操作に使われるボットや、ファイルを暗号化するランサムウェアなどを扱っています。

足りない点は、IPAの情報セキュリティ6か条 解説編(2026年9月)⁠がはっきり書いています。ウイルス対策ソフトは新種のウイルスを検知できない場合があり、破壊されたファイルやシステム環境をソフトだけで元に戻すことはできません。そのうえで、「防ぐ」⁠対⁠策⁠と「復旧する」対策の組み合わせを求めています。

入り方の変化もあります。警察庁の令和7年⁠の情勢資料⁠によると、企業へのランサムウェア攻撃は、インターネットに露出した箇所から遠隔操作で侵入する手口が多くを占めます。添付ファイルによる感染は少なくなっています。被害組織へのアンケートでは、侵入経路はVPN機器が6割以上でした。

つまり、パソコンの中だけを見ていても、入口のほとんどは見えません。

ウイルス対策ソフトそのものは、外さないでください。IPAの6か条でも導入が基本に入っており、定義ファイルが自動で更新される設定にしておくことを求めています。製品を見直すなら、エンドポイントセキュリティの製品比較⁠を見られます。

足す順番はどう決めるのか?

「侵入の入口を減らす」「入られた後の広がりを抑える」「最悪のときに戻せる」⁠の順で考えます。

順 足す手 効く場面 今日の確認
1 更新 脆弱性を使った侵入 VPN機器の版とサポート期限
2 権限 盗まれたIDの悪用、被害の広がり 管理者権限の人数
3 バックアップ 暗号化や破壊からの復旧 最後に戻せた日
4 メール 添付やリンクからの感染 社員が報告する先

バックアップが無いと戻れないので、もっと先にやるべきだという考え方もあります。別の担当者が同時に動けるなら、1と3は並行してください。順番を問うより、4つとも1年以内⁠に一巡させることを目標にします。

1番目:更新はどこまでやるのか?

パソコンの自動更新で終わりにしないことです。6か条の解説編は、サポートのあるOS、ソフトウェア、ネットワーク機器を使うことを求めています。

IPAの10大脅威2026 解説書は、脆弱性の発見から悪用までの時間が短くなっているとしています。対策情報が公表されたら、早急な対応が必要です。とくに、VPN機器やCMSのようにインターネットから直接アクセスできるものが危ないとされています。

見落としやすいのは次のものです。

  • VPN機器、ルーター、UTMのファームウェア
  • 複合機やネットワークカメラ
  • 会社のWebサイトのCMSとプラグイン
  • パソコンに入っている業務ソフトやブラウザ

パソコンのソフトの版は、6か条の解説編で紹介されているIPAの無償ツール「MyJVNバージョンチェッカ」⁠で確認できます。機器は、購入元に更新の担当とサポート期限を聞くのが早いです。保守契約に更新作業が含まれているかは、契約書で確かめてください。含まれていると思い込んでいて、誰も更新していなかったという状態が起きやすいからです。

2番目:権限はどう絞るのか?

マルウェアや侵入者は、乗っ取った人の権限でできることをします。警察庁の資料でも、攻撃者はより広い領域にアクセスするために管理者権限の奪取を試みるとされています。解説書が挙げる対策は次のとおりです。

  • 作成したアカウントに過剰な管理者権限や更新権限を与えない
  • 同じアカウントを複数人で共用しない
  • 離任時にアカウントを削除し、定期的に棚卸しする
  • 共有サーバーなどのアクセス権を最小にする

パスワードについて、6か条の解説編は英数字記号を含めて10文字以上にし、使い回さないよう求めています。可能なら多要素認証やパスキーも使います。

普段の仕事を管理者権限のパソコンでしている社員がいるなら、一般の権限のアカウントに切り替えます。ソフトの導入が必要な業務だけ、担当者が対応する形です。不便は出ますが、費用はほとんどかかりません。

3番目:バックアップは何を分けるのか?

取っているだけでは足りません。警察庁の資料は、復旧を妨害するためにバックアップも一緒に暗号化される場合が多いとしています。常時つながっている共有ディスクにコピーしているだけなら、同じ被害に遭う可能性があります。

解説書と6か条の解説編から、押さえる点を4つ⁠にまとめます。

  • ネットワークから切り離して保管する。取得時と復元時以外はつながない
  • 3-2-1ルールで持つ。コピーは本体を含めて3つ以上、2種類のメディアに置き、1つ⁠は別の拠点に保存する
  • 古い世代も残す。破損に気づくまでの間に、最新の版が壊れている場合があるため
  • 業務データだけでなく、システムの設定ファイルやプログラムも対象にする

解説書は、バックアップは取得だけで終わらず、いかに早く復旧させるかまで含めて設計するよう求めています。年に1度は、実際に戻して何時間かかるかを測ってください。

4番目:メールでは何を足すのか?

添付ファイルによるランサムウェアの感染は少なくなったとはいえ、メールの経路がなくなったわけではありません。総務省の解説では、添付ファイルやOfficeのマクロが感染経路に挙げられています。

足す手は3つです。

  • 技術で減らす:受信時に不審なメールや添付を検査する仕組みを入れる。メールセキュリティの製品比較で候補を見られます
  • 社員に手口を知らせる:IPAの共通対策にある「安易に添付ファイルの開封やリンク、URLのクリックをしない」⁠を⁠、自社の実例を交えて伝える
  • 報告しやすくする:開いてしまった人が、すぐ言える相手を1人決める

開いてしまった社員を責めると、報告が遅れます。報告が早いほど切り離しも早くなるので、報告したことを評価する形にしてください。

感染したかもしれないときは何をするか?

警察庁の資料は、被害が疑われたときの初動を次のように整理しています。

  • 感染した端末をネットワークから切り離す
  • 慌てて電源を切らない。ログなどの痕跡が失われ、調査が難しくなる可能性がある
  • 被害の拡大防止とデータの保全をしてから、調査と復旧に入る
  • 早めに警察や関係機関へ通報する

連絡先は、平時に1枚⁠の紙にしておきます。社内の担当者、機器の保守会社、ウイルス対策ソフトの窓口、加入していればサイバー保険の窓口、所轄の警察です。

EDRはいつ足すのか?

EDRは端末の中の動きを常に見て、不審な挙動を検知する仕組みです。お助け隊サービス基準(2.1版)⁠は⁠、端末監視の例としてEDRを挙げています。1類サービスの端末監視の価格は、1台あたり月額2,000円(税抜き)以下が要件です。

上の4つ⁠が一巡し、通知を誰が見るかを決められるなら、EDRの製品比較で検討する段階です。通知を誰も見られないなら、製品だけ入れても働きません。監視まで任せる形で探すのが筋です。

製造業の工場では何に気をつけるか?

たとえば、工作機械につないだパソコンや、検査装置のパソコンが古いOSのまま動いている工場の場合です。装置のメーカーの保証や動作条件の都合で、すぐには更新できないことがあります。

この場合、4つ⁠の手を次のように置き換えて考えます。

  • 更新:当てられない機器を一覧にして、メーカーに更新の可否と時期を聞く
  • 権限:現場の共用アカウントを減らせないか検討する
  • バックアップ:図面やNCプログラムなど、再作成に時間がかかるものから分離して保管する
  • メール:装置のパソコンでメールを読まない、持ち込みのUSBメモリの扱いを決める

総務省の解説でも、USBメモリは感染経路の一つに挙げられています。

何から手をつけるかを広く見直すときは、情報セキュリティ10大脅威2026を中小企業向けに読み直した記事⁠で全体の順番を確認できます。被害の形で考えたいときは、サイバー攻撃の種類の逆引き表⁠を使ってください。

よくある質問

マルウェアとウイルスの違いは何ですか?

マルウェアは悪意のあるソフトウェアの総称で、ウイルスはその一種です。総務省の解説では、ウイルスのほかにトロイの木馬、ボット、ランサムウェアなども扱っています。日常では同じ意味で使われることもあります。

ウイルス対策ソフトを入れていれば十分ですか?

十分ではありません。IPAの情報セキュリティ6か条の解説編は、新種のウイルスを検知できない場合があり、破壊されたファイルは元に戻せないとして、複数の対策の組み合わせを求めています。

マルウェア対策で最初に足すものは何ですか?

OS、ソフトウェア、ネットワーク機器の更新です。警察庁の令和7年⁠の資料では、ランサムウェアの侵入経路は被害組織のアンケートでVPN機器が6割以上で、未修正の脆弱性などが悪用されるとされています。

中小企業にEDRは必要ですか?

通知を見て判断する人や委託先を用意できるなら検討の価値があります。先に更新、権限、バックアップを整えてください。IPAのお助け隊サービス基準では、1類サービスの端末監視は1台あたり月額2,000円(税抜き)以下が要件の一つです。

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