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COLUMN 1178 / 監視・運用・社内体制

ネットワーク監視ツールの選び方は?無料と有料で変わる運用の手間を解説

公開 2026.11.06文・ナギサコーポレーション

この記事の答え

  • 無料か有料かより、構築と更新を誰が担うかで選ぶ
  • 通知は、受ける人と夜間の動きまで決めて初めて役に立つ
  • 機器の稼働を見る道具と、攻撃を見つける道具は別物
目次

ネットワーク監視ツールは、無料か有料かより、誰が構築し、誰が通知を受け、更新を誰が続けるかで選びます。ネットワーク監視ツールとは、スイッチやルーター、サーバーなどの状態を定期的に確かめ、異常があれば担当者に知らせる道具のことです。

今日やることは2つです。止まると困る機器を紙に書き出し、夜中に通知が鳴ったときに誰が出るのかを決めてください。機器の数と受ける人が分かれば、無料で足りるかどうかの見当がつきます。

「ネットワーク監視」⁠に⁠は2つ⁠の意味がある

製品を比べる前に、何を見たいのかを分けます。同じ言葉で別の道具を指していることが多いからです。

見たいこと 道具の例 答えてくれる問い
機器の稼働 Zabbix、Nagios Core、PRTG 機器は動いているか。回線は混んでいないか
通信の異常 UTMの監視、NDR 外から不審な接続はないか。社内から不正な通信はないか
端末の異常 EDR パソコンやサーバーで不審な動きはないか

この記事で主に扱うのは、1行目の稼働監視です。稼働監視で機器が正常と表示されていても、攻撃を受けていないという意味にはなりません。

警察庁の令和8年上半期の報告は、ランサムウェアの被害報告が123件で、半期として最多だったとしています。被害組織へのアンケートでは、侵入経路はVPN機器が約5割です。VPN機器が正常に動いたまま侵入される場面は、稼働の監視だけでは見分けられません。

社内の通信の異常まで見たいなら、NDRの製品比較で検知の仕方と止め方を確かめます。IPAの情報セキュリティ10大脅威2026でも、組織向けの1位⁠はランサム攻撃、4位⁠はシステムの脆弱性を悪用した攻撃です。稼働監視とは別に、攻撃への備えを考える理由がここにあります。

無料と有料は何が違うのか?

公式サイトで確かめられる範囲を並べます。価格は2026年11月⁠に確認したもので、変わることがあります。

製品 費用の形 公式に書かれていること 運用で気にかける点
Zabbix ソフトはオープンソース(AGPLv3) 商用利用では技術サポートの購入で開発を支えてほしいとしている サーバーの用意と更新は自前
Nagios Core ライセンス費用なし(GPL v2) Linuxに入れ、プラグインで広げる プラグインと設定の管理が要る
PRTG 無料版と年払いの契約 無料版は100センサーで機器約10台⁠。PRTG 500は月200ドル相当で機器約50台 センサーの数で費用が変わる

Zabbixの有料サポートも、公式の料金表に載っています。最も下のSilverは年払いで月325ドル相当で、窓口は8x5(1日8時間、週5日)⁠、応答は1日以内です。ソフトが無料でも、困ったときの窓口まで欲しければ費用が発生します。

PRTGの契約には、最新版の提供とメールのサポートが含まれる⁠と書かれています。PRTG 500を年で見れば2,400ドル相当です。「無料か2,400ドルか」ではなく、担当者の時間をどちらに使うかの比較になります。

担当者の手間はどこで変わるのか

次の表は、公式情報をもとに私たちが整理した目安です。会社の環境によって変わります。

作業 無料のソフトを自前で 有料製品を自前で 監視を外注
構築 サーバーの用意から自社 導入の案内あり 委託先と決める
更新 自社で計画して実施 自社で実施 契約の範囲を確認
困ったとき 社内かコミュニティ、または有償契約 製品の窓口 委託先の窓口
通知の一次対応 自社 自社 委託先と分担

更新の計画は、無料で続ける場合に見落としやすい作業です。Zabbixのサポート方針では、標準版は6か月ごとに出て12か月⁠のサポート、LTS版は1年半ごとに出て5年⁠のサポートです。兼任の担当者が回すなら、LTS版を選び、サポートが切れる年を台帳に書いておきます。

通知の仕組みはどこを見るべきか?

監視ツールの価値は、画面より通知で決まります。比べるのは次の3つです。

1つ目は、届く手段です。Zabbixの通知手段は、メール、プッシュ通知、SMS、独自のスクリプト、Webhookです。PRTGの説明には、メールやSMS、スマートフォンのアプリ、TeamsやSlackが挙がっています。社内のメールサーバーが止まると、メールだけの通知は届かないおそれがあるので、経路を2つ持たせます。

2つ目は、対応されないときの動きです。Zabbixには通知の段階を上げる機能⁠があり、解決するまで繰り返す、遅らせる、上の担当へ回す、といった設定ができます。担当者が1人しかいない会社ほど、この設定が効きます。たとえば、30分反応がなければ工場長にも届く、という形です。

3つ目は、夜に鳴らさない設定です。PRTGの説明にも、優先度の低い通知を夜間に送らない例があります。全部の通知を鳴らすと、担当者は通知を見なくなります。夜に鳴らすのは、生産や出荷が止まるものだけにします。

製造業の工場ではどう考えるか?

たとえば、金属加工の工場で、事務所のサーバーと現場の生産管理端末がスイッチでつながっている場合です。夜勤の最中にスイッチが止まると、端末が使えないことに現場が先に気づき、原因が分からないまま朝を待つことになります。

このとき監視する候補は、基幹のスイッチ、ルーター、サーバー、無停電電源装置です。ZabbixのSNMPの説明にも、OSや専用ソフトを入れにくいプリンター、スイッチ、ルーター、UPSはSNMPで見る、とあります。買う前に、これらの機器がSNMPに対応しているか、設定を誰が変えられるかを保守会社に確かめます。

現場の製造設備まで同じ道具でつなぐかどうかは、別に考えます。設備の保守契約や、メーカーの指定に触れることがあるためです。最初の監視の対象は、事務所側のネットワーク機器までにとどめ、設備側はメーカーと相談しながら広げる順番のほうが、止めてしまう心配が少なくなります。

選ぶ順番はどうするか?

価格表を見るのは最後で足ります。次の順に決めます。

  1. 止まると困る機器を書き出す。台数が約10台⁠に収まるなら無料版の範囲も比べられます
  2. Linuxのサーバーを更新し続ける人がいるかを確かめる。いなければ、無料の自前運用は外します
  3. 通知を受ける人と、不在時の代わりを決める
  4. 夜間に動けないなら、外注の範囲を見積もる
  5. 機器の情報を一覧にする。台帳が古いと、監視の抜けに気づけません

5番の台帳は、VPN機器の版の確認にも使います。パソコンまで含めて管理するならIT資産管理ツールの比較を見ます。Zabbixにも機器を自動で見つける機能⁠がありますが、見つけた機器をどう扱うかを決めるのは人の仕事です。

監視ツールを入れても残る仕事

監視ツールは知らせるまでが仕事です。通知を受けて機器を止めるか、取引先に連絡するかは人が決めます。攻撃が疑われるときの動きは、社内に配れるインシデント対応フロー⁠に書いておきます。

ログの監視まで同じ道具でやるのか?

稼働監視の道具でログまで見たくなることがあります。Zabbixにはその機能があり、無料で始められます。ただし、調査に使うログの保管は別の話です。どこまで任せられるかはZabbixのログ監視でできる範囲と限界⁠で分けました。ログを長く保管して検索したい場合は、統合ログ管理ツールの比較で保存期間と検索のしやすさを見ます。

監視を社内の誰が見るかで迷うなら、役割の分け方から決めます。セキュリティ人材を採用せずに回す組み立てに、社内に残す判断と外へ出す作業を整理しました。そのほかの運用の話はセキュリティの運用と体制⁠にまとめています。

無料のツールが悪いわけでも、有料なら安心というわけでもありません。入れたあと1年間、誰がどの作業をするのかを書き出し、その時間と価格を並べて決めるのが確実です。

よくある質問

ネットワーク監視ツールは無料でも使えますか?

使えます。ZabbixやNagios Coreはライセンス費用がかからず、PRTGには100センサーまでの無料版があります。ただし、構築や更新、夜間の対応にかかる人の手間は別に残ります。

無料の監視ツールと有料製品の違いは何ですか?

監視の機能より、サポートと運用の手間に差が出ます。無料で自前運用するなら、サーバーの用意、更新、障害時の調査を社内か外部の誰かが担います。

ネットワーク監視ツールでサイバー攻撃は検知できますか?

稼働監視は、機器が動いているかを見る道具なので、攻撃を見つける役割は別に考えます。通信の異常を見るならUTMの監視やNDR、端末の異常を見るならEDRなどを比べます。

情シスが兼任の会社でも監視ツールを運用できますか?

台数が少なければできますが、通知を受ける人と不在時の代わりを決めることが条件です。夜間に動けないなら、通知の範囲を絞るか、監視の外注を比べます。

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