SOCサービスは、料金より先に「異常を見つけたあと、どこまで動いてくれるのか」で比べます。同じ24時間監視でも、通知で終わるものと端末の隔離まで行うものがあり、社内に残る仕事が変わるからです。
今日やることは、見積もりを取る前に自社の機器を1枚に書き出すことです。UTMやファイアウォール、PC、サーバーを並べ、夜間に切り離されると困るものへ印を付けます。この紙があれば、各社に同じ条件で聞けます。
「SOCサービス」の中身が会社ごとに違うのはなぜか?
SOCに決まった範囲がないからです。英国の国家サイバーセキュリティセンターは、SOCの構築指針で、SOCの範囲は大きく異なると書いています。多くは攻撃の検知と対応を受け持つ、という説明です。
IPAの中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版でも、監視・運用のサービスは2つに分かれています。検知と防御を目的とするマネージドセキュリティサービスと、ログの分析、通知、レポートを続けて行うセキュリティ監視サービスです。両方を含むサービスもあります。
名前で判断せず、作業の単位で聞く。比較はここから始まります。SOCそのものの役割分担は、SOCとCSIRTの違いと少人数での分け方で扱っています。
通知だけか、対処までするかをどう見分けるか?
各社の公式ページを見ると、対応の深さは大きく3段に分かれます。2026年11月に確かめた内容で、優劣を示すものではありません。
たとえばIIJの場合、設定を変える対象は「IIJ運用機器」と書かれています。自社で運用している機器については、IIJが設定まで変えるとは読めません。見積もりでは「自社で管理しているこの機器を、誰が止めるのか」と具体的に聞きます。
隔離まで任せるなら、「代行」の条件も確かめます。事前の許可が要るのか、緊急度が高いものだけなのか、連絡がつかないときはどうするのか、の3つです。各社の隔離と遮断の範囲は、MDR・SOC監視サービスの比較に並んでいます。
見積もりの前に、各社へそろえて聞く項目は?
各社に同じ形で聞く8項目
- 見る対象:UTM、端末、サーバー、クラウド、工場のネットワークのどれか
- 時間:分析と通知、それぞれ何時から何時までか
- 連絡:夜間は電話か、メールか。誰へ何人まで届くか
- 対処:通知、助言、設定変更、隔離のどこまでか
- 事故のあと:調査と駆け付けは料金に入っているか
- 料金:何の単位で決まり、製品のライセンスは別か
- 契約:最低利用期間と、対象を増やすときの条件
- 記録:ログを何日残し、解約時に受け取れるか
夜間の連絡手段
「24時間」が何を指すかは、注記まで読みます。SOMPO SOCは、分析とメールによる通知は24時間で、電話による通知は日中帯と案内しています。価格を抑えるためという説明です。夜間のメールを誰も見ない会社なら、その時間帯の受け方を別に決める必要があります。
見る対象
UTMのログを見るサービスと、端末のEDRを見るサービスでは、見える範囲が違います。自社にUTMしかないのにEDRの監視を選んでも、始められません。ラックのEDR監視は、EDR製品のライセンスが含まれないと明記しています。製品代を別に見積もる必要があります。
NTT Security MDRのように、ITに加えてOT(工場)やクラウドのログを集めると案内するサービスもあります。工場まで見てほしいなら、対象の機器名を挙げて対応可否を聞きます。
補償
補償が付くサービスもあります。SOMPO SOCはサイバー保険が自動で付き、1社あたり累計300万円が上限です。Sophos MDR Completeは、最大100万ドルの保証を追加料金なしで含むと案内しています。金額より、どの費用が対象で、どんな条件で支払われるのかを読みます。
料金の単位の違いをどう読むか?
公開価格は多くありません。ラックは個別見積もり、NRIセキュアは価格応相談で端末100台からです。だから単位を見て、自社の数字を入れて同じ条件で聞きます。
| 料金の単位 |
公式ページの例 |
自社で数えるもの |
| 端末の台数 |
NTT Security MDR:端末数の課金、ログ量は問わない |
PCとサーバーの台数 |
| 機器の監視 |
お助け隊のネットワーク監視:月額1万円(税抜)以下が基準 |
UTMの台数と拠点数 |
| ログの量 |
SIEMを自社で持つ場合に多い |
1日に出るログのGB |
ログの量で決まる製品の考え方は、SIEM製品の比較の見方にまとめました。監視だけでなく、社内のセキュリティ担当の仕事ごと頼みたいなら、セキュリティ運用代行・顧問サービスの比較も候補に入ります。
目安になる公開価格
中小企業向けで価格が公開されているのは、IPAのサイバーセキュリティお助け隊サービスです。サービス基準(2.1版)は、監視だけでなく次の内容を一つにまとめて提供することを求めています。
- 相談窓口
- 24時間の監視と、攻撃の検知・通知(重大な事案は60分以内が目標)
- 駆け付け支援(機器導入時の初期対応を除き、年1回以上は諸経費以外の費用負担なし。合意があればリモートも可)
- 簡易サイバー保険
価格の上限も決まっています。ネットワーク監視は月額1万円、端末監視は1台あたり月額2,000円で、どちらも税抜です。端末監視の価格一覧表(2026年10月31日時点)では、月額は1台500円から2,000円、初期費用は0円から50万円まで幅があります。
PC80台なら、月額は1台500円で4万円、2,000円で16万円です。これに初期費用と、設置を頼む場合の費用が加わります。一覧表の備考には中途解約できないサービスや対象地域の条件もあるので、あわせて読みます。
工場がある会社は、何を追加で確かめるか?
たとえば、事務所と工場が別の場所にあり、生産管理サーバーと設備につながるPCがある会社の場合です。確かめることが3つ増えます。
1つ目は、隔離してよい端末の線引きです。生産管理サーバーを夜間に切り離すと、朝のラインに影響が出るかもしれません。止めてよいもの、連絡してからにするものを、契約前に一覧で渡します。
2つ目は、監視ソフトを入れられない端末です。設備メーカーの保守条件などで入れられない端末があれば、その端末は端末監視の対象から外れます。ネットワーク側で見られるのかを聞きます。
3つ目は、夜勤の時間帯の連絡先です。事務所が閉まっている時間に工場が動いているなら、通知を受ける人は総務ではなく工場側に置くほうが動きやすいはずです。
比べたあとに、社内で決めておくことは?
どのサービスを選んでも、社内の判断は残ります。システムを止めるか、取引先に連絡するか、公表するかは、外部の監視では決められません。
通知を受ける人と、代わりの人を2人決めます。次に、通知を受けてから誰に判断を求めるかを決めます。監視を入れても被害が必ず防げるわけではなく、SOMPO SOCも全ての脅威の検知を保証するものではないと注記しています。見つかったあとの動きまで含めて1つの仕組みです。
ログを自社で集めて分析する道も検討するなら、SIEM製品の比較で置き場所と課金の単位を見ます。セキュリティ運用全体の考え方はセキュリティ運用のカテゴリにまとめています。