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COLUMN 1153 / 監視・運用・社内体制

会社のパソコンのログで何がわかる?管理者の範囲と社員への説明を解説

公開 2026.11.06文・ナギサコーポレーション

この記事の答え

  • 何が残るかは、Windowsの設定と入れている管理ソフトで大きく変わる
  • 製品によってはメールの本文の一部やコピーした内容まで記録できる
  • 目的、責任者、社内規程、確認の4つ⁠を決めて、先に社員へ伝える
目次

会社のパソコンのログからは、ログオンの時刻、使ったアプリ、見たサイト、ファイルの操作、印刷、USB機器の接続などがわかります。どこまで残るかは、Windowsの設定と会社が入れている管理ソフトで大きく変わります。

今日やることは2つです。自社の管理ソフトが何を集めているのかを設定画面で確かめること。そして、就業規則か情報セキュリティの規程に、モニタリングの目的と責任者が書いてあるかを見ることです。

Windowsだけで残るログには、何があるのか?

管理ソフトを入れていないパソコンでも、Windowsの記録はあります。ただ、設定しなければ残らないものも多くあります。

記録 既定の扱い 確認した資料
ログオンの成功と失敗 Windows 10 バージョン1809以降は既定で有効 監査ポリシーの推奨事項
プログラムの起動 表の既定値は空欄で、推奨設定に有効化が入っている 同上、プロセス作成の監査
ファイルへのアクセス 監査の対象に設定したファイルだけ ファイルシステムの監査

プログラムの起動の記録には、プログラム名や起動したユーザーが残ります。一方、ログオンの記録は、ログオンを受けたそのパソコンの上で生成されます⁠。管理者が別の場所からまとめて見るには、集める仕組みが要ります。

このため、「Windowsの標準のままでも何でもわかる」⁠と⁠は言えません。社内のパソコンの設定を確かめずに説明すると、話がずれます。

管理ソフトを入れると、どこまでわかるのか?

操作ログの製品を入れると、記録の範囲は大きく広がります。2026年11月⁠に公式ページで確かめた例です。

区分 記録できる内容 製品の例
起動と稼働 ログオン、ログオフ、電源、操作の開始と終了の時刻 SKYSEA Client View
アプリ 実行ファイル名、稼働時間、開いていたウィンドウのタイトル SKYSEA、QND ClientLog
Web アクセスしたURL(SKYSEAはアップロードしたファイル名も) SKYSEA、QND ClientLog、MaLionCloud
ファイル 作成、上書き、削除、コピー、名前の変更 SKYSEA、QND ClientLog
印刷と機器 印刷の枚数やタイトル、USB機器の接続 SKYSEA、MaLionCloud
メールなど 宛先、件名、本文の一部、添付ファイル名、コピーした内容 SKYSEA
画面 画面操作の録画、スナップショット SKYSEA(録画はオプション)⁠、QND ClientLog

出典はSKYSEA Client Viewのログ管理、QND ClientLog、MaLionCloudの情報漏洩対策です。製品の版やオプションで変わります。ほかの製品は内部不正対策・操作ログ監視の製品比較で見られます。

パソコンの台数やソフトの一覧を管理するだけの製品もあり、操作の記録は別の機能という場合もあります。IT資産管理ツールの比較を見て、自社のものがどの範囲かを確かめてください。

クラウドの操作はパソコンのログとは別に残る

メールやファイルをクラウドで使っていると、記録はサービスの側にも残ります。Microsoft 365の場合、監査ログの標準の保持期間は180日です。E5などのライセンスがあれば、ExchangeやSharePointなどの記録は1年残ります。

ログだけではわからないこと

ログに残るのは「このアカウントでこの操作があった」ことです。誰かが他人のアカウントを使っていれば、本人の操作とは限りません。ウィンドウのタイトルと稼働時間が残っても、仕事をしていたかどうかまではわかりません。ログを見て何かを決めるときは、本人に確かめる手順を置きます。

社員に説明するとき、何を決めておくのか?

個人情報保護委員会のQ&Aは、従業者のモニタリングの留意点を挙げています。中小企業向けには、中小機構のJ-Net21にも同じ趣旨の解説があります。

始める前に決める4つ

  • 目的:何のために取得するのかを特定し、社内規程に定めて従業者に明示する
  • 責任者:実施の責任者と、その権限を定める
  • 規程:実施の決まりを規程案にして、事前に社内へ徹底する
  • 確認:決まりどおりに行われているかを確かめる

同じQ&Aは、重要な事項を決めるときは、あらかじめ労働組合などに通知し、必要に応じて協議することが望ましいとしています。決めたあとに従業者へ周知することも望ましいとされています。

対象には派遣社員も入ります。法第24条⁠の「従業者」⁠は⁠、雇用契約の有無を問わず、事業者の指揮監督を受けて業務に従事する人を指すとQ&A⁠にあります。委託先の人が社内のパソコンを使うなら、その説明の仕方も決めます。

なお、厚生労働省の労働者の個人情報保護に関する行動指針(2000年)⁠は⁠、実施理由、時間帯、収集する内容を事前に通知するとしていました。自動処理やモニタリングの結果だけで評価や雇用の決定をしない、という原則もあります。法律の施行前の考え方で、現在は別の指針を見るよう注記があります。それでも、説明に入れる項目を考える材料になります。

ここまでの内容は法律の助言ではありません。規程を作るときや、特定の社員を調べるときは、弁護士か社会保険労務士に確かめてください。

説明文に入れる項目

社内への案内は、次の形にすると質問が減ります。これは私たちが整理したひな形で、公的な様式ではありません。

  • 目的:情報の持ち出しとサイバー攻撃の早期発見、事故の原因調査
  • 対象:会社が貸与するパソコン、社内ネットワーク、業務用クラウド
  • 記録する内容:起動と終了、アプリ、Web、ファイル、印刷、外部機器
  • 記録しない内容:決めたものがあれば明記する
  • 見る人:責任者とその権限。普段は誰も中身を読まないなら、その旨も書く
  • 見る場面:異常の警告が出たとき、事故の調査のとき
  • 保存期間と、この決まりの確認方法
  • 質問の窓口

労働時間の確認に使うときは、何が違うのか?

目的が別なので、説明も別にします。厚生労働省の労働時間の適正な把握のためのガイドラインは、始業と終業の確認方法の一つに、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を挙げています。

自己申告の時間とパソコンの記録の差が大きいときは、実態を調べて補正することも求めています。セキュリティのために取ったログを勤怠に流用すると、社員に伝えた目的から外れます。勤怠にも使うなら、規程の目的に書いてから使います。

製造業では、どんな場面で使うのか?

たとえば、図面を扱う製造業で、社外に図面が出ていないかを確かめたい場合です。全員の操作を読むのではなく、見る範囲を先に絞ります。

  1. 図面サーバーへのアクセスを記録する
  2. 大量のコピーやUSB機器の接続があったら警告を出す
  3. 警告が出たら、責任者が該当の記録だけを見る
  4. 本人に事情を聞いてから、判断する

この順なら、普段は誰も個人の操作を読まずに済みます。社員に説明するときも「全部を見ている」ではなく「警告が出たときに、この人だけが見る⁠」⁠と言えます。

集めたログをどこに置くかは別の検討になります。長く残すなら統合ログ管理ツールの比較の保管期間と改ざん対策を見ます。攻撃の検知まで考えるなら、SIEM製品の比較の見方⁠に続きます。

事故が起きたときにログを誰が読むのかは、SOCとCSIRTの役割分担⁠で決めておきます。運用全体はセキュリティ運用のカテゴリ⁠にまとめています。

よくある質問

会社のパソコンのログで何がわかりますか?

ログオンとログオフの時刻、使ったアプリ、見たサイトのURL、ファイルのコピーや削除、印刷、USB機器の接続などです。どこまで記録するかは、Windowsの設定と、会社が入れている管理ソフトで変わります。

会社はパソコンの操作を社員に黙って監視できますか?

個人情報保護委員会のQ&Aは、モニタリングの目的を特定して社内規程に定め、従業者に明示することや、責任者と権限を決めることなどを留意点に挙げています。黙って始めるのではなく、規程を作って周知してから始めます。個別の判断は弁護士や社会保険労務士に確かめてください。

管理ソフトを入れるとメールの中身まで見られますか?

製品と設定によります。SKYSEA Client Viewの案内では、送信メールの宛先、件名、本文の一部、添付ファイル名を記録できます。自社の製品で何を集めているかは、管理画面と設定の一覧で確かめます。

パソコンのログはどのくらいの期間残りますか?

製品と設定で決まります。Microsoft 365の監査ログは標準で180日です。SKYSEA Client Viewは最大10年間の保存を設定できます。調査で使う期間に合わせて決めます。

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