SIEM製品は、1日のログの量で費用を試算し、次に「警告を誰が見るのか」で絞ると比べやすくなります。機能表から入ると違いが読み取りにくく、費用の見込みも立ちません。
今日やることは、保守会社か社内の担当者に「UTM、VPN、社内の認証のログは1日に何GB出ていますか」と聞くことです。最初の試算はこの3つで十分です。答えが出なければ、ログをどこに残しているのかから確かめます。
なぜログの量から比べるのか?
公式に課金の単位を書いている製品を見ると、ログの量で決まるものが目立つからです。NIST(米国立標準技術研究所)のログ管理の指針 SP 800-92(2006年)も、設計で考える要素として、処理するログの量、通信の帯域、保存先、分析する人の時間を挙げています。古い文書ですが、考える材料は今も同じです。
米国CISAとオーストラリアの機関などは、2025年5月27日にSIEMとSOARの導入の指針を公開しました。製品を調達しようとする組織に向けた文書です。社内で詳しく検討するなら、経営者向けと実務者向けに分かれているので、読む人を分けて渡せます。
どのログを入れるかは、何を基準に決めるか?
小さく始めるなら、IPAの中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版が手がかりになります。不審なアクセスを把握するために、通信ログと認証ログを取得・保管し、改ざんを防いだうえで定期的に確認するよう書いています。
優先して試算に入れるログ
- 外との出入口:UTM、ファイアウォール、VPN
- 認証:社内の認証サーバー、クラウドのログイン
- 大事なデータの置き場:ファイルサーバー、生産管理や基幹のサーバー
- 端末:EDRの検知ログ
端末の操作ログまで全部入れると、量は増えます。SIEMに入れず、統合ログ管理ツールの比較にあるような製品へ保管だけする分け方もあります。ためて探すのがログ管理、突き合わせて攻撃を見つけるのがSIEMです。
たとえば、図面サーバーと海外拠点へのVPNを持つ製造業の場合です。守りたいのは図面なので、図面サーバーへのアクセスと、VPNの認証のログを最初に入れます。設備側のネットワークは、ログを出せる機器があるのかを確かめてから、次の段階で考えます。
料金の仕組みは、何種類あるのか?
2026年11月に公式ページで確かめた例を並べます。製品の良し悪しではなく、仕組みの違いを見るための表です。
上限を超えたときの扱い
ここは見落としがちです。ALogは、月間平均の容量が契約の上限を2か月続けて超えると、収集が止まると明記しています。攻撃や障害でログが急に増える月もあるので、余裕を見て契約するのか、超えたら止まってよいのかを決めます。
ALogの容量は、翻訳変換に対応したOSでは変換後の量で数えます。元のログのGBと同じとは限らないので、試用で確かめます。
保管期間の費用
取り込み料金だけで比べると、保管の費用を見落とします。Microsoft Sentinelのデータの層の説明では、分析層の既定の保持は30日で、Sentinelのテーブルは無料で90日まで延ばせます。それを超えると費用がかかります。長期保管用のデータレイク層は低コストですが、リアルタイムの分析には使えません。
ALogのクラウド版は1年間の保管が0円で、1年延長は1日5GBごとに月額10,000円です。Datadogの上の価格は12か月の分析と保持を含む表記です。自社が何か月残したいのかを決めないと、正しく比べられません。
自社設置の費用
Logstorage-X/SIEMのような自社設置型は、サーバーの費用と手間が別にかかります。公式の要件は、CPU 8コア以上、メモリ32GB以上です。ログの保管領域は別に必要で、メモリは64GB以上が勧められています。ライセンスの額だけ比べると、この分が抜けます。
実際に計算すると、どのくらいの差が出るのか?
価格を公開している2製品で、仮の量を入れて計算します。5GBと20GBは計算のための仮定で、一般的な目安ではありません。
| 1日のログの量 |
ALog クラウド版(月額) |
Datadog Cloud SIEM(月額) |
| 5GB |
150,000円 |
750ドル(150GB分) |
| 20GB |
300,000円 |
3,000ドル(600GB分) |
ALogは基本料金100,000円に、5GBごとの50,000円を足しています。Datadogは30日分のログをすべて分析すると仮定し、1GBあたり5ドルで計算しました。税の扱いと為替は含めていません。両者は通貨も機能も違うので、高い安いを判断する表ではありません。
見てほしいのは、増え方の違いです。ログが4倍になると、ALogは基本料金があるので2倍、分析量で決まるDatadogは4倍になります。ログが少ないうちと増えたあとで、順番が変わることがあります。だから自社の数字で計算します。
Microsoft Sentinelは、価格ページに割引は従量課金より最大52%とありますが、割引の入口が1日100GBです。5GBや20GBの会社は従量課金で見積もることになります。単価は同じページと見積もりツールで確かめます。
実際の量は試用で測る
最初の試算は推測なので、試用で実際の量を測ります。Microsoft Sentinelは分析用のログが1日10GBまで31日間無料で、ALogには30日間の無料トライアルがあります。繁忙期と月末を含めて測ると、ぶれが見えます。
運用を誰がするかで、どう絞るか?
SIEMは、警告を出すところまでが仕事です。SOAR(対応の自動化)の比較を考える前に、まず誰が見るのかを決めます。社内の人数と重ねると、選び方は次の3つになります。
| 社内の状況 |
比べるもの |
理由 |
| 警告を見て判断できる人がいる |
SIEM製品そのもの |
検知の条件を調整しながら自分たちで使える |
| 判断できる人はいるが夜間がいない |
SIEMと監視の外注の組み合わせ |
時間帯で分けられるかを聞く |
| 見る人がいない |
MDR・SOC監視サービスやログの保管 |
製品だけ入れても警告が放置される |
3つ目の会社は、無理に製品を選ばなくてかまいません。外注先の選び方はSOCサービスの比較の見方にまとめ、サービスの並びはMDR・SOC監視サービスの比較で見られます。NTT Security MDRのようにログ量を問わない定額と案内するサービスもあり、料金の考え方自体が変わります。
ログを集めることには、社員の操作が記録に残る面もあります。端末のログまで入れる場合は、会社のパソコンのログでわかる範囲と社員への説明を先に確かめてください。
見積もりの依頼で伝えることは?
次の5つを書いて依頼すると、各社の回答を横に並べられます。
- 集めたいログの種類と、機器の台数
- 1日のログの量(試用で測った値か、推測か)
- 残したい期間(検索できる状態で何か月、保管だけで何か月)
- 警告を見る人と時間帯
- 上限を超えた月の扱いと、減らせる時期
割引の約束には縛りもあります。Microsoft Sentinelの場合、増やすのはいつでもできますが、下げられるのは31日ごとです。契約の長さと、減らせる条件まで聞きます。
製品の一覧はSIEM製品の置き場所と課金の単位の比較で確かめられます。セキュリティ運用の全体像はセキュリティ運用のカテゴリに置いています。