CVRの改善とは、ページを訪れた人のうち、問い合わせなど目標の行動に至る割合を上げることです。直す順番は、数え方を確かめる、問い合わせが少ないページを探す、読者が止まる場所を見つける、の3段です。
ボタンの色や文言から変えたくなりますが、数え方が間違っていれば、直した効果も読めません。最初の1時間は、GA4の設定と数字の中身を見ることに使ってください。
率の計算方法や、入口のページの考え方はLPOの進め方で扱っています。ここでは、すでにサイトがあり、問い合わせが少ないページを見つけて直す手順に絞ります。
CVRは、何を何で割った数字?
GA4では、事業にとって重要な行動をキーイベントとして指定します。Googleのキーイベントの説明では、ビジネスの成果にとって特に重要な行動を測るイベントとしています。
GA4の指標の説明によると、セッション キーイベント レートは、キーイベントが発生したセッションの数を、セッションの総数で割った値です。問い合わせの率として読むなら、対象を問い合わせ完了のイベントだけに絞ります。
資料ダウンロードや電話番号のタップもキーイベントにしていると、それらがまとめて数えられます。問い合わせの率を見たいのに、資料の取得が混ざった率を見ている、ということが起きます。キーイベントの作り方はGA4の設定手順にあります。
直す前に、数え方を疑う
数字が実態とずれる理由は、だいたい次のどれかです。
| よくあるずれ |
何が起きるか |
| 入力画面の表示を数えている |
送っていない人まで問い合わせになる |
| 社内・制作の確認が混ざる |
訪問が増え、率が下がって見える |
| 二重に送られている |
1件が2件になる |
| 来た道の印が無い |
どこから来た人か分けられない |
私たちの失敗(2026年10月)
自社運営の製品比較サイトで、10月22日までのGA4には、手元の確認作業(localhost)の閲覧が、本番より多く記録されていました。localhost が11,346回、本番が959回です。計測タグを本番のドメインでだけ読むように直しました。
出典:Google アナリティクス 4。それまでの数字は、ホスト名で絞らないと読めません
この状態で率を出すと、分母の大半が自分たちの確認になります。どのページを直しても、率はほとんど動きません。ページを直す前に、ホスト名ごとの閲覧数を一度並べてください。
GA4のデータフィルタの説明では、送信元のドメインで除外するフィルタを作れます。ただし、フィルタは作った時点以降のデータにだけ効き、過去の分は変わりません。過去の期間は、レポートでホスト名を絞り込んで読みます。
もう1つ、私たちは営業のメールに書いたURLへ送り先ごとの印を付ける仕組みを、10月23日の午後まで入れていませんでした。それまでに送った分は、ページが開かれたかを一度も測れていません。印の付け方はUTMの付け方にまとめています。
問い合わせが少ないページを、どう見つける?
GA4のランディング ページのレポートか、データ探索で、ページごとのセッションとキーイベントを並べます。期間は3か月ほど取ります。BtoBのサイトでは、1か月だと件数が少なすぎるためです。
データ探索で組むなら、行にランディング ページ、値にセッションとキーイベントを置きます。キーイベントは問い合わせ完了のイベントだけに絞ります。資料請求も見たいなら、別の列として並べます。ひとつの列にまとめると、どちらが増えたのか分からなくなります。
並べたら、ページを4つに分けます。
| 訪問 |
問い合わせ |
見立て |
| 多い |
0か、ごく少ない |
最初に直す。読者と答えか、次の案内がずれている |
| 多い |
ある |
触らずに、何が効いているかを書き留める |
| 少ない |
ある |
検索や導線で訪問を増やす候補 |
| 少ない |
0 |
率を論じる段階ではない |
最初に直すのは、1行目のページです。多くは検索から来る技術記事で、読者は原因を調べに来ています。問い合わせに進む理由が本文の中に無いか、あっても見つからない状態です。
4行目のページで率を上げようとしても、変化が読めません。訪問が月に10回のページで1件増えれば、率は10ポイント動きます。それは改善ではなく、たまたまの1件です。
読者がどこで止まるかを、ファネルで見る
GA4のファネルデータ探索では、目標に至るまでの段階を順に並べ、各段階で何人が進んだかを見られます。BtoBのサイトなら、次の4段で組みます。
- 技術記事や製品ページを見た
- 相談の案内ページを開いた
- フォームのページを開いた
- 送信完了(キーイベント)
同じヘルプは、ファネルをオープン型とクローズド型に分けています。オープン型は途中の段階から入った人も数え、クローズド型は最初の段階を通った人だけを数えます。検索から直接フォームへ来る人もいるので、両方で見比べます。
数字は、段階の間で何割が抜けたかを見ます。たとえば2から3で大きく抜けるなら、相談の案内ページに原因があります。記事のボタンを増やしても、そこは直りません。
止まる場所ごとの直し方
記事で止まる
記事を読み終えた人が、相談の案内まで進んでいない状態です。読者の疑問には答えたが、自社に頼む理由が書かれていないことが多いです。
「樹脂部品 ヒケ 原因」で来た設計者なら、原因の説明のあとに「肉厚の見直しを図面の段階で相談できる」と書くと、次の一歩が見えます。ボタンの文言と置き場所はCTAの決め方にまとめています。
相談の案内ページで止まる
ここで止まる人は、頼めるかどうかを確かめに来ています。受けられる材質や数量、図面が無くても相談できるか、返事までの流れが無いと、問い合わせる前に離れます。
料金を書けないなら、何で金額が決まるかを書きます。「1個から受ける」「図面はPDFで可」のように、条件を短く言い切ります。
相談の案内ページには、これまでに受けた相談の種類を、守秘の範囲で2〜3行書いておきます。読者は、自分の相談が場違いでないかをそこで確かめられます。
フォームで止まる
フォームを開いたのに送らない人が多いなら、項目が多すぎるか、図面を添付できないかを疑います。必須の項目を、最初の返事に必要なものだけに減らします。項目の決め方と、送信の確かめ方は問い合わせ導線にあります。
送ったのに、届いていない
完了画面が出ても、受信箱に届いていないことがあります。キーイベントの数と、実際に受け取ったメールの数を月に1回突き合わせます。数が合わなければ、ページではなく送信の仕組みを直します。
電話で問い合わせる人を忘れない
BtoBでは、ページを読んだあと、フォームではなく電話をかける人がいます。GA4のキーイベントには、電話の件数は入りません。電話番号のタップを数えることはできますが、パソコンで番号を見て、別の電話からかけた人は数えられません。
受付の担当者に、電話を受けたときに「どのページを見たか」を聞いて書き留めてもらいます。月の終わりに、その件数をフォームの件数と並べます。電話の多いページを、問い合わせが少ないページと見誤らないためです。
件数が少ないとき、変化をどう判断する?
直したあとは、直す前と同じ期間の長さで比べます。率だけでなく、訪問数と問い合わせの件数を必ず並べて残します。
判断の前に、件数を見る
- 率だけを報告しない。「3件→5件、訪問400→420」のように件数を添える
- 1か月の増減で結論を出さない。3か月分で見る
- 同じ時期に別の変更をしたら、それも記録に書く
私たちの製品比較サイトでも、製品から公式サイトへ進んだクリックは28日で27回でした(GA4、2026年9月24日〜10月21日、本番のドメインだけ)。この規模では、文言を1つ変えた差を率で言い当てることはできません。
2つの案を出し分けて比べたいときは、比べられるだけの件数があるかを先に計算します。手順と注意はABテストの方法にあります。件数が足りないなら、止まる場所を1つずつ直し、記録を積み上げるほうが確かです。
直したら、何を記録する?
ページのURL、直した日、直した内容、直す前と後の訪問と件数を、1行ずつ書きます。直した理由(ファネルのどこで止まっていたか)も残します。次に同じ症状のページを見つけたとき、同じ直し方を試せます。
数字の見方そのものに迷ったら、計測と改善の記事から、Search ConsoleとGA4の役割分担を確かめてください。検索で来ている語と、問い合わせに進んだページを並べると、どの記事に答えが足りないかが見えてきます。
仕様・出典の確認日:2026年10月25日。