Pマークに意味があるかは、取引先や入札で求められているかと、預かる個人情報の量で分かれます。
今日やることは、過去2年の見積依頼、入札資料、取引先のチェックシートから「プライバシーマーク」の文字を探し、件数と売上を書き出すことです。次に、次回の有効期間の満了日を登録証で確かめます。この2つの数字がないまま続けるかどうかを話しても、感想の言い合いになります。
「意味ない」と言われるのはなぜ?
マークは、取得した会社の情報が漏れないことまで保証するものではないからです。制度は、JIS Q 15001に準拠した指針に基づき、個人情報を適切に保護する体制を整えた事業者を評価するものです。体制を評価する仕組みなので、期待がそれ以上だと「意味がない」という感想になります。
やめた会社の理由を集計した公的な統計は、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。そこで理由の推測ではなく、比べられる材料を見ていきます。
付与事業者数は、2026年9月30日時点で17,749社です。2025年3月末の17,793社、2026年3月末の17,788社と、大きく増減していません。この数字は合併や中止を除いた後の数で、やめた会社の数そのものは分かりません。
求められる場面はどこにある?
取引の条件になっている会社では、更新をやめると受注の機会に直接響きます。JIPDECのメリットの説明によると、官公庁などの入札の参加条件になっている案件があり、件数は増えているとのことです。付与事業者からは、取引先の監査が簡略化されたという声も紹介されています。消費者の78%が取得企業を信頼できると答えた調査(2025年・1,449人)もあります。いずれも制度を運営するJIPDECの調査で、自社の取引にそのまま当てはまるとは限りません。
業種の偏りも判断の材料です。2026年3月末の業種別の表では、製造業の中で出版・印刷・同関連産業が1,140社あり、電気機械器具製造業は47社、一般機械器具製造業は15社、プラスチック製品製造業は6社です。
たとえば、顧客の名簿を預かってダイレクトメールを印刷する会社と、法人へ部品を納める機械部品メーカーでは、同じ判断にはなりません。前者では、預かる個人情報が仕事そのものです。後者で主に守るのは図面や技術情報で、個人情報は社員や取引先の担当者のものが中心かもしれません。
更新を続けるといくらかかる?
費用は2年で1回かかります。2026年10月1日からの料金は次のとおりです。
| 更新のとき(税込) |
小規模 |
中規模 |
大規模 |
| 申請料 |
57,200円 |
57,200円 |
57,200円 |
| 審査料 |
134,200円 |
345,400円 |
749,100円 |
| 付与登録料 |
52,800円 |
115,500円 |
231,000円 |
| 合計 |
244,200円 |
518,100円 |
1,037,300円 |
料金改定のお知らせによると、値上げは約10%、小規模は約6.53%です。現地審査の交通費や宿泊費は別に請求されます。
1年あたりに直すと、小規模で122,100円、中規模で259,050円、大規模で518,650円です。
比べるときは、この料金だけでは足りません。社内で使っている時間も入れます。教育、内部監査、マネジメントレビュー、台帳の確認、審査の対応、外部の支援があればその契約料です。年間で何時間かけているかを担当者に聞き、人件費に直して足します。
続けて得られるものは何?
外の審査員が2年ごとに現場を見に来ること自体が、続ける理由になる会社もあります。構築・運用指針は、教育、内部監査、台帳の確認を年に1回以上行うよう求めています。規約(PMK500)は、事故の防止措置や報告の義務も定めています。担当者が1人で個人情報の管理を抱えている会社では、期限のある外部の審査が、社内の作業を止めない理由になります。やめるなら、この役割を社内の誰が引き継ぐかまで決めておきます。
判断の基準は?
上の行から順に見ます。
| 確かめること |
続ける理由が強い |
見直す余地がある |
| 契約や入札の条件 |
条件に書かれている |
書かれていない |
| この2年の引き合い |
指定された案件がある |
聞かれたことがない |
| 預かる個人情報 |
顧客の名簿を預かる業務がある |
社員と担当者の情報が中心 |
| 取引先の説明 |
代わりの説明が通らない |
別の認証や資料で通る |
契約や入札の条件に書かれていなくても、主な取引先の担当者に聞いてから決めます。購買部門の評価項目に入っている場合があるためです。
やめると何が起きる?
マークが使えなくなり、取引先への説明が変わります。法律の義務はそのまま残ります。
JIPDECの注意情報は、中止事業者を、付与契約が終わりマークを使えない事業者と説明し、掲載を続ける事業者を不正使用として載せています。ウェブサイト、名刺、会社案内、提案書、採用資料など、マークを置いた場所を先に一覧にしてから外すと、漏れを防げます。
更新は満了の8か月前の日から4か月前の日までに申請します。やめるかどうかは、遅くとも満了の8か月前までに決めておくと、申請期間を丸ごと判断に使わずに済みます。後で取り直す場合の費用は、新規の料金で税込336,600円から1,382,700円です。手続きの扱いは、やめる前にJIPDECへ確かめてください。
やめても残るもの
個人情報保護委員会のガイドラインが定める安全管理措置と委託先の監督は、マークの有無に関係ありません。本人の数が千人を超える漏えいなどが起きたときの報告も同じです。
そのため、やめる場合も社内の規程、台帳、委託先の一覧は捨てないでください。法律への対応にそのまま使えます。教育や委託先の確認を続ける担当と頻度を決めておくと、審査がなくなった途端に止まる事態を避けられます。
代わりの認証はあるのか?
守る情報が違えば、別の認証のほうが合うことがあります。JQAのFAQの説明では、Pマークは個人情報に特化し、全社が対象で、国内で使われる制度です。ISO/IEC 27001は組織のすべての情報を対象にし、範囲を組織全体か一部に決められ、世界共通で使われます。
図面の管理を問われる製造業なら、ISMSの監査と審査の準備の負担と比べる価値があります。2027年3月に受付開始予定のSCS評価制度も、取引先から求められる可能性があります。IPAはISMSと相互補完の制度と位置づけており、どちらかがPマークの代わりになるとは書いていません。発注元に、どの認証で説明が通るかを確かめてから決めます。
ISMSへの切り替えや併走を検討するなら、ISMS・Pマーク取得支援ツールの比較で文書と記録の手間を見ます。規程づくりから頼むなら、セキュリティコンサル・CSIRT支援の比較を見ます。自社が取引先の対策を確かめる側に回るなら、セキュリティ評価サービス(取引先チェック)の比較も関係します。
続けると決めた会社は、プライバシーマークの更新の手順で年間の予定を立ててください。認証全体の考え方はサプライチェーンと認証のカテゴリにまとめています。