ChatGPTの情報漏えいを防ぐ設定の基本は、個人向けなら学習をオフにすること、会社で使うなら法人プランにそろえて管理者が設定を握ることです。
今日やることは、社内でChatGPTを使っている人に、アカウントの種類と学習の設定を聞くことです。個人向けのアカウントで業務に使っている人がいれば、その人の設定をその場で確認し、下の手順で統一する準備に入ります。
この記事の内容は、2026年11月に確認したOpenAIの公式ヘルプをもとにしています。画面の名前や料金は変わることがあるため、設定の前に公式の表示で確かめてください。
個人向けの学習オフはどこで設定する?
個人向けのFree、Plus、Proは、初期状態でデータ共有がオンです。設定の手順は次のとおりです。
- 自分のプロフィールから「設定」を開く
- 「データコントロール」を開く
- 「すべてのユーザー向けにモデルを改善する」をオフにする
OpenAIの日本語ヘルプによると、この方法なら履歴を残したまま学習への利用を止められます。
一度だけ履歴を残したくない作業には、一時チャットがあります。一時チャットは学習に使われません。ただし、安全のために最長30日コピーが保管される場合があり、保存すると通常のチャットになります。
学習オフで止まらないものは何か
学習オフで止まるのは、モデルの学習への利用です。次の4つは残ります。
評価を送ると会話全体が使われる場合がある
OpenAIのヘルプによると、個人プランで回答に評価を送ると、学習を止めていても、その会話全体が改善に使われる場合があります。業務の内容を入れた会話で評価ボタンを押さないよう、社内で伝えておく必要があります。
共有リンクは学習の設定と別
共有のヘルプによると、学習の設定を変えても、作成済みの共有リンクは消えず、開ける人も変わりません。個人アカウントのリンクは、知っている人なら誰でも見られ、有効期限はありません。作成済みのものは、データコントロールの共有リンクの管理画面で確認して消します。
連携アプリの読み取り
連携アプリのヘルプによると、アプリが読める範囲は接続時の権限などで決まります。学習を止めても、接続先の情報を読む動きそのものは止まりません。
アカウントの守り
パスワードの使い回しや多要素認証の有無は、学習の設定と関係がありません。個人アカウントでは、会社から確かめる方法もありません。
3つの経路の全体像は、生成AIの情報漏えいの経路で説明しています。
法人プランで何が変わるのか
法人向けのChatGPT Businessと Enterpriseは、初期状態で学習に使われません。一人ひとりの設定に頼らずに済むのが、個人向けとの大きな違いです。
個人向けと Business、Enterprise の違いを、公式ヘルプで確かめられた範囲で表にしました。
| 項目 |
個人向け(Free、Plus、Pro) |
Business |
Enterprise |
| 学習への利用 |
初期状態でオン、本人が変更 |
初期状態で使わない |
初期状態で使わない |
| 共有リンクの全員停止 |
本人が消すのみ |
管理者は不可 |
管理者が可能 |
| 連携アプリの管理 |
本人が接続を管理 |
管理者が全体の利用を変更 |
管理者が管理 |
Businessの料金と席数は、Businessの概要で確かめられます。確認時点では、標準の席が1人あたり月25ドル(月払い)または月20ドル(年払い)です。有料席は原則2席からで、国や通貨によって料金が変わる場合があります。
Businessの注意点は、共有リンクを全員分まとめて止められないことです。全社で止める機能はEnterpriseにあります。Businessでは、社内ルールで扱いを決めるほかありません。
SSOのヘルプにも確認点があります。SSOはログインの方法を管理するもので、招待や席の割り当ては別に行います。単独のBusinessにはSCIM(社員情報を自動で同期する仕組み)が含まれません。社員の入退社の管理は、手順として決めておきます。
管理者が会話を見られるかは導入前に確かめる
OpenAIの法人向けプライバシーのページには、ワークスペースの管理者が会話を閲覧、出力、削除できるとの記載があります。一方、Businessのヘルプでは、非公開の会話は他のメンバーから見えないことや、利用分析から会話本文は見られないことが説明されています。自社の契約と管理画面で、何ができるのかを確かめてから社員に説明してください。
保存期間も確認します。法人向けプライバシーのページでは、管理者が保存期間を管理でき、削除した会話は法令などの例外を除いて30日以内に消えるとされています。プランごとに設定できる範囲は、管理画面で確かめます。
会社で統一する手順
統一は6段階で進めます。担当が1人でも、順に進めれば回せます。
1. 利用状況を聞く
誰が、どのアカウントで、何に使っているかを聞きます。責めない形で聞かないと、正直な答えが返りません。
2. プランを決める
人数が少なく、共有リンクの全員停止や社員情報の自動同期が要らなければBusinessから検討できます。全社で強く管理したい場合はEnterpriseの条件を問い合わせます。
3. 管理者と席を決める
管理者を2人置きます。1人だと、不在時に誰も設定を変えられません。席は業務で使う人から割り当てます。
4. ログインを整える
会社のメールドメインを確認し、可能ならSSOにつなぎます。SSOにつなぐと、退職者のログインを社内のID側で止めやすくなります。ID管理の仕組みがまだなければ、IDaaS(ID管理サービス)の製品比較で種類を確かめられます。Businessのヘルプは、IDプロバイダー側のメールアドレスが違うと別のアカウントができる場合があるとしているので、切り替え前に揃えます。
5. 機能の初期値を見直す
Businessではアプリが初期状態で有効です。つないでよいアプリだけを残します。メモリはワークスペースの所有者が全体の利用可否を決められます。全体で切ると保存済みのメモリが消えるので、切り替える時期を周知します。
6. 個人アカウントでの業務利用をやめてもらう
移行の日を決めて、個人アカウントでの業務利用をやめてもらいます。残っている共有リンクも、この時に本人に消してもらいます。
使ってよい情報の範囲は、設定とは別に決めます。個人情報の線引きの表をルールの土台にできます。
工場や現場がある会社で気をつけることは?
たとえば、機械メーカーの設計部門がBusinessを契約し、工場の班長は個人のスマートフォンで翻訳に使っている、という分かれ方は起こり得ます。設計だけ統一しても、海外工場とのやり取りが個人アカウントに残ります。
席をどこまで配るかは、部門でなく「業務の文章を入れる人」で決めるのが筋です。パソコンが1人1台でない現場は、共用端末からのログイン方法も決めておきます。共用端末でログインしたままにすると、次の人が履歴を読めます。
海外拠点や協力会社の社員に席を渡す場合は、契約の範囲に入るかも確かめておきます。
設定の外をどう見るか
法人プランにそろえても、社員が個人アカウントを開く操作そのものは設定だけで止まりません。
どのクラウドサービスが使われているかを把握したい場合は、CASBの製品比較があります。入力内容まで見たい場合は、AIセキュリティ製品の比較が調べる先になります。実際に何が起きたのかを社内で説明するときは、公式発表で確かめたChatGPTの事例が使えます。カテゴリ全体はAIセキュリティの記事一覧から見られます。
ChatGPT以外の生成AIを使っている場合も、確かめる項目は同じです。学習の初期値、共有の範囲、連携の権限、管理者の権限の4つを、提供元の公式資料で確認してください。