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COLUMN 1115 / 情報漏えい・内部不正

個人情報の取り扱いについての例文 社内書類とWebに書く項目を整理

公開 2026.11.06文・ナギサコーポレーション

この記事の答え

  • 本人から書面で直接集めるときは、利用目的を前もって示す
  • 「事業活動に用いるため」では具体的な利用目的とされない
  • Webには保有個人データの項目も載せ、社内の実態と合わせる
目次

個人情報の取り扱いの文面は、集める場面に合わせて、利用目的、第三者への提供、問い合わせ先を書きます。本人から書面やフォームで直接集めるときは、利用目的を前もって示すことが個人情報保護法の第21条⁠で決まっています。

今日やることは、社内で個人情報を集めている紙とフォームを全部並べ、何に使っているかを横に書くことです。申込書、展示会のアンケート、採用の応募フォーム、問い合わせフォーム、名刺の管理表。実際の使い方が書かれた文面と合っていないものから直します。

この記事の例文は形を示すための見本で、法律相談の代わりにはなりません。実際に使う文面は、自社の業務に合わせて書き換え、必要に応じて弁護士などの専門家に確かめてください。情報の守り方は情報漏えい対策のカテゴリ⁠にまとめています。

場面ごとに何を書くのか?

法律と個人情報保護法ガイドライン(通則編)から、場面別に整理すると次のようになります。

場面 求められること 書く場所
申込書、契約書 利用目的を前もって明示 記入欄の近く
アンケート 利用目的を前もって明示 用紙やフォームの中
問い合わせ、応募のフォーム 利用目的を前もって明示 入力画面の中
名刺交換 目的が明らかな範囲なら通知等は不要 Webでの公表で補う
採用の応募 目的を明らかにして必要な範囲で集める 募集要項、応募フォーム
会社全体 保有個人データの項目を本人が知り得る状態に Webサイト

通則編は、申込書や契約書、アンケート、自社サイトの入力画面に入力された情報を、本人から直接取得する事例として挙げています。つまり、紙かWebかは関係ありません。

利用目的はどこまで具体的に書くのか?

本人が想定できる程度までです。第17条⁠は利用目的をできる限り特定することを求め、通則編は次の例を分けて示しています。

  • 具体的に特定している例:〇〇事業における商品の発送、関連するアフターサービス、新商品やサービスに関する情報のお知らせ
  • 具体的に特定していない例:「事業活動に用いるため」「マーケティング活動に用いるため」

自社の文面に「業務上必要な範囲で利用します」⁠とだけあるなら、見直す候補です。

第三者への提供を想定しているなら、その旨が明確に分かるように書くことも求められています。提供するつもりなのに書いていない状態は避けます。

申込書にはどう書くのか?

本人から直接紙で集める形なので、記入の前に見える場所に置きます。

【個人情報の取り扱いについて】
ご記入いただいた個人情報は、次の目的で利用します。
1. お申し込みいただいた商品の発送とご連絡
2. 商品に関するアフターサービス
3. 新商品やサービスのご案内(ご希望の方のみ)

法令に基づく場合などを除き、ご本人の同意なく第三者に提供しません。
配送などの業務を委託する場合は、委託先を適切に監督します。

お問い合わせ先:株式会社〇〇 〇〇担当 〇〇@example.com

委託の一文を入れているのには理由があります。通則編は、業務の委託に伴う提供は第三者への提供に当たらない例として、宅配業者への提供などを挙げています。ただし第25条⁠により、委託先の監督の責任は残ります。

展示会のアンケートにはどう書くのか?

製造業でよく使う場面です。たとえば、展示会のブースで製品資料の送付を希望する人にアンケートを書いてもらう場合、次の形が考えられます。

ご記入いただいた情報は、次の目的で利用します。
1. ご希望の資料の送付
2. 製品についてのご連絡
3. 当社の製品や展示会のご案内メールの送付

配信を希望されない場合は、下記の連絡先までお知らせください。
お問い合わせ先:株式会社〇〇 〇〇部 〇〇@example.com

注意したいのは、代理店へ情報を渡す場合です。購入の窓口が代理店で、見込み客の情報を共有する運用なら、第三者への提供に当たるのか、委託などに当たるのかを整理します。文面には実態を書きます。

名刺については、通則編は、今後の連絡や広告宣伝の冊子やメールの送付が目的の場合を、取得の状況から利用目的が明らかな事例に挙げています。ただ、名刺の情報を表計算ソフトで整理すると、個人データとしての管理が求められる例も示されています。集めた後の扱いは別に考えます。

採用の応募者にはどう書くのか?

個人情報保護法に加えて、職業安定法が関わります。厚生労働省(新潟労働局)⁠の⁠案⁠内⁠が示す第5条⁠の5は、募集を行う者に、業務の目的に必要な範囲で、目的を明らかにして個人情報を集め、その範囲で保管や使用をすることを求めています。

同じ案内の指針の抜粋は、次の情報を原則として集めてはならないとしています(特別な職業上の必要性があり、目的を示して本人から集める場合を除く⁠)⁠。

  • 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地など社会的差別の原因となるおそれのある事項
  • 思想および信条
  • 労働組合への加入状況

応募フォームや募集要項には、次のように書きます。

ご提出いただいた個人情報は、採用選考と、選考に関するご連絡のために利用します。
採用に至らなかった方の応募書類は、選考の終了後、当社が責任をもって廃棄します。
お問い合わせ先:株式会社〇〇 採用担当 〇〇@example.com

廃棄の時期や返却の有無は、実際の運用に合わせます。書いたのに守れていない状態は避けてください。採用メールの宛先の間違いも実際に公表されている形で、流出事例の原因別の分類⁠でいくつか取り上げています。

Webサイトには何を書くのか?

保有個人データがある会社は、第32条⁠と政令第10条⁠により、次の項目を本人の知り得る状態に置く必要があります。本人の求めに応じて遅滞なく回答する形でも足ります。

  1. 事業者の名称と住所、法人の場合は代表者の氏名
  2. すべての保有個人データの利用目的
  3. 利用目的の通知や開示等の請求に応じる手続き(手数料を定めた場合はその額)
  4. 安全管理のために講じた措置(支障を及ぼすおそれがあるものを除く)
  5. 苦情の申出先(認定個人情報保護団体の対象事業者の場合はその名称と申出先も)
【保有個人データに関する事項】
事業者:株式会社〇〇(所在地:〇〇、代表者:〇〇)

利用目的:
・お客様情報:商品の発送、アフターサービス、製品のご案内
・お取引先の担当者情報:取引のご連絡、請求業務
・採用応募者の情報:採用選考とご連絡
・従業員の情報:人事労務、給与の管理

開示等のご請求:下記の窓口で受け付けます。手続きをご案内します。

安全管理のために講じた措置:
・個人データの取扱いの基本方針と取扱方法を定めています
・従業員に定期的に研修を行っています
・個人データを扱う機器へのアクセスを制御しています

苦情の申出先:株式会社〇〇 〇〇窓口 〇〇@example.com

安全管理の措置には、実際にやっていることだけを書きます。通則編には中小規模事業者向けの記載事例もあり、責任者による確認、報告連絡の体制、従業者への定期的な研修などが挙げられています。中小規模事業者は、従業員100人以下で、個人情報の数が5,000⁠を超えないなどの条件に当たる事業者です。詳しくは通則編を確かめてください。

Cookieやアクセス解析はどうするのか?

総務省の外部送信規律の案内は、一定の電気通信役務を提供する場合に、外部へ送信される情報の内容、取り扱う者、利用目的を通知または公表することを求めています。

同じ案内は、ニュースサイトなどのホームページ運営を対象に含める一方、自社の商品のオンライン販売や、企業のホームページの運営は対象外の例に挙げています。自社のサイトがどちらに当たるかは、提供する内容を案内と照らし合わせて確かめます。対象外でも、解析ツールの利用を書いておくと、問い合わせに答えやすくなります。

文面を書いた後に何を確かめるのか?

文面はあくまで約束です。守れなければ意味がありません。4つ確かめます。

  1. 書いた目的以外に使っていないか。展示会の名簿を別の製品の案内に流用していないか
  2. 実際の提供先や委託先が抜けていないか
  3. 問い合わせ窓口のメールを誰かが実際に見ているか
  4. 廃棄すると書いたものを、期限どおりに捨てているか

1と4は、書類だけでは防げません。持ち出しや誤送信を仕組みで抑えるならDLPの製品比較、社員の理解を揃えるならセキュリティ教育サービスの比較で手段の違いを見られます。規程や管理策を一元管理したいときはISMS運用ツールの比較が参考になります。

個人データをメールで送る部署があるなら、ファイル暗号化の方法の違い⁠も確かめてください。ログインの管理はIDaaSの仕組みと導入の条件⁠に書きました。

法律が変わるなら書き直しが必要か?

2026年7月に、改正法の公布がありました。e-Govの法令情報⁠によると、令和8年法律第56号「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律⁠」⁠が7月17日⁠に公布され、施行は2027年1月⁠と2028年7月⁠の段階で予定されています。

今の時点で、この記事の条文番号と項目は現行の法律に基づいています。施行が近づいたら、個人情報保護委員会の案内で、自社の文面に関わる変更があるかを確かめてください。文面を一度に全部直すより、書類の一覧を作っておくほうが、改正のときの手間は減ります。今日作る一覧が、そのまま使えます。

よくある質問

個人情報の取り扱いについての例文はどう書けばいいですか?

誰が、何の目的で使い、第三者へ提供するか、問い合わせ先はどこかを、集める場面に合わせて書きます。申込書なら記入欄の近くに利用目的を明示します。例文は形の参考なので、社内の実際の使い方に合わせて書き換えてください。

利用目的は「事業活動のため」⁠と書いてもいいですか?

個人情報保護委員会のガイドラインは、「事業活動に用いるため」「マーケティング活動に用いるため」⁠を⁠、⁠具⁠体⁠的⁠に特定していない事例に挙げています。商品の発送、アフターサービス、新商品のお知らせのように、本人が想定できる程度に書きます。

採用の応募者の個人情報では何に注意すればいいですか?

職業安定法第5条⁠の5により、業務の目的に必要な範囲で、目的を明らかにして集めます。指針は、本籍や出生地、思想や信条、労働組合への加入状況などを原則として集めてはならないとしています。応募フォームや募集要項に利用目的を書きます。

名刺交換のときも利用目的を伝える必要がありますか?

ガイドラインは、今後の連絡や広告宣伝の冊子やメールの送付が目的の名刺交換を、取得の状況から利用目的が明らかな事例に挙げています。この範囲を超えて使うなら、別に通知や公表が必要です。Webサイトでの公表があると説明しやすくなります。

個人情報の取り扱いにCookieのことも書く必要がありますか?

取得する情報が個人情報に当たるかと、電気通信事業法の外部送信規律の対象かで変わります。総務省の案内では、自社の商品のオンライン販売や企業のホームページの運営は対象外の例に挙げられています。提供する内容によるので案内で確かめてください。

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