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COLUMN 1277 / 脆弱性診断・セキュリティ診断

セキュリティ診断の訪問営業が来たら?会社として確かめる点と断り方

公開 2026.11.06文・ナギサコーポレーション

この記事の答え

  • その場で契約せず、機器に触らせず、資料と連絡先だけを受け取って社内で決める
  • 名刺と証明書を見て、相手の番号でなく公式サイトの窓口へ自分でかけて確かめる
  • 事業のための契約は、特定商取引法の適用除外にあたる場合があると見ておく
目次

セキュリティ診断の訪問営業が来たら、その場で契約せず、機器にも触らせず、相手が名乗った会社の公式窓口へ自分で確かめます。

今日やることは、受付に置く1行⁠の決まりを作ることです。「診断や回線の勧誘は、その場で決めない。機器を見せない。名刺と資料だけ受け取り、総務へ回す⁠」⁠。これだけで、誰が対応しても同じ断り方ができます。

本物かどうかを、名乗りで判断してはいけないのはなぜ?

本物の案内も、名前をかたる勧誘も、入口の言葉は似ているからです。

NTTを例に取ると、NTT東日本の法人向けページには、無料のセルフ診断のほかに、訪問調査のセキュリティ診断が1回55,000円(税込)⁠で載っています。NTT西日本の法人向けページにも、無料診断の案内があります。また、NTT東日本は2025年7月25日付で、利用者の一部にセキュリティ診断センタから電話で連絡している⁠と案内しました。つまり、NTT関連の診断の案内がすべて偽物というわけではありません。

ただ、NTT東日本もNTT西日本も、関係のない会社がお客さまサポートセンターや工事担当などの名を使って電話勧誘をした例の申告があると公表しています。NTT西日本は2017年⁠の注意喚起で、事実に反する説明で契約を迫る勧誘や訪問販売⁠に注意を呼びかけています。

私たちが確かめた範囲では、セキュリティ診断の訪問に絞ったNTTの注意喚起は見つかりませんでした。回線や電話料金の勧誘の例を手がかりにしています。ですから、この記事は相手を偽物と決めつけるものではなく、本物でも偽物でも同じ手順で確かめるためのものです。これはNTT以外の会社名を名乗る場合も同じです。

玄関や電話で確かめることは?

その場で受け取るもの

  • 名刺(会社名、担当者名、連絡先電話番号)
  • 社員証や委託を示す証明書の確認
  • サービス名、料金、解約の条件が書かれた資料

公式の案内が、確認の手がかりになります。

名乗る立場 NTT東日本の案内 NTT西日本の案内
グループの社員 社員証・名刺 名刺+社員証または業務委託証明書
情報機器の特約店 特約店証または取扱店証・名刺 名刺+情報機器取扱証明書
販売代理店 会社名・担当者名・連絡先を確認 名刺+販売代理店証明書

出典はNTT東日本の案内と、先のNTT西日本の2017年⁠の案内です。証明書を見せられても、それだけで確認を終えないでください。券面が本物かを受付で判断するのは難しいからです。

手順の中心は「相手の番号でなく、自分で調べた番号へかける」ことです。

  1. 会社名、担当者名、用件をメモする
  2. 相手が名乗った会社の公式サイトを、検索やブックマークから開く
  3. 公式サイトの問い合わせ先へ、自分からかける
  4. 「この担当者が、この用件で来ることになっているか」を聞く

受付の場で相手が渡した番号や、案内のQRコード、資料に印刷された番号は使いません。折り返しを急かされても、社内で確かめる時間を取ります。

電話の勧誘も同じです。NTT東日本は、販売かどうか不明な場合、会社名、担当者名、連絡先電話番号を確かめるよう案内しています。

見せない、渡さない、触らせないものは?

本物の営業でも、確認が終わる前に応じる理由はありません。

  • PCやサーバー、ルーターを触らせない
  • ソフトの導入や遠隔接続を許可しない
  • 社内のWi-FiやLANにつながせない
  • ID、パスワード、認証コードを伝えない
  • 機器の型番、使っている製品名、構成図を渡さない
  • 契約書、申込書、「確認だけ」⁠の書類に署名や捺印をしない

機器の型番や構成図は、聞かれるとつい答えてしまう情報です。ただ、どんな機器を使っているかは、社外に出さないに越したことはありません。

製造業なら、たとえば「工場のネットワークも無料で点検します⁠」⁠と言われた場合です。生産設備につながるネットワークの図や設備の機種は、受付で渡すものではありません。「設備の担当者を通します」⁠と答えれば話を止められます。

どう断ればいい?

理由を説明する必要はありません。短く、次の行動を相手に預けないのがこつです。

  • 「その場では決めません。資料は会社宛てに送ってください」
  • 「担当の者でないとお答えできません。必要があればこちらから連絡します」
  • 「機器は社内の手続きを通さないと見せられません」

次のような言葉が出ても、対応は変えません。

  • 「今日中でないと」「すぐ止まります」⁠と急がせる
  • 「法律が変わった」「皆さんやっています」と言う
  • 「確認のサインだけ」「無料だから契約ではない」と言う

NTT西日本も、「NTT法が改正されたので回線の切替が必要になった」⁠と⁠い⁠っ⁠た話を事実に反する例として挙げています。ほんとうに必要な連絡なら、確認に1日かかっても説明がつくはずです。

繰り返し来る、帰らないなどで困るときは、社内で1人⁠で対応せず、複数で対応します。NTT西日本は、名前をかたる連絡で被害にあった場合の相談先として、最寄りの警察を案内しています。

「契約してもクーリング・オフできる⁠」⁠と思っていないか?

会社として契約した場合は、消費者と同じように解約できるとは考えないでください。

消費者庁の特定商取引法ガイドは、訪問販売のクーリング・オフを説明したうえで、「営業のため、又は営業として締結するもの⁠」⁠を適用除外に挙げています。消費者庁のQ&A⁠は個人の例について、取引の種類や利益活動との関連などを総合的に検討するとしています。自社の契約がどう扱われるかは、弁護士に確認してください。

だからこそ、契約の前に確かめます。NTT東日本の案内も、事業者名と連絡先、サービス内容、料金その他の費用、契約解除の条件の確認を求めています。社内では次の決まりを作っておきます。

  • 契約書と申込書には、決められた人しか署名や捺印をしない
  • 一定の金額を超えるものは、社長の判断に回す
  • リース契約は、中途解約の条件を先に読む

すでに署名してしまったなら、書類一式を集めて解約の条件を確かめ、弁護士など法律の専門家に早めに相談します。

機器に触らせてしまったら、どうする?

慌てて機器の設定を変える前に、いつ、誰が、どの機器に何をしたかを書き出します。ソフトの導入や遠隔接続を許した、ID やパスワードを伝えたといった心当たりがあれば、IPAの不正アクセス特別相談窓口⁠に相談してください。不正アクセスの被害を受けている、またはその可能性がある全国の企業・組織が対象です。

必要だと思ったら、こちらから選ぶ

話を聞いて診断の必要を感じたなら、訪問してきた相手に頼む前に、自分で候補を集めて比べます。

無料で現状を確かめる方法は無料のセキュリティ診断の確かめ方に、外部へ有料で頼むときの比べ方は脆弱性診断の会社の選び方に、発注の条件に使える公的資料は脆弱性診断のガイドラインの使い方⁠に書きました。候補は脆弱性診断サービスの比較で見られます。

「今の機器では危ない」⁠と言われて機器の買い替えを勧められた場合は、今の機器の保守期限を確かめ、ファイアウォールの比較⁠で複数の製品の条件を見てから決めます。

受付と総務で同じ対応を続けるには、年に1回⁠の短い教育も役に立ちます。セキュリティ教育の比較で、メール訓練だけでなく電話や訪問の話題を扱うかどうかも見ておきましょう。診断全体の考え方は脆弱性診断・セキュリティ診断のカテゴリ⁠にまとめています。

よくある質問

NTTを名乗るセキュリティ診断の訪問は本物ですか?

名乗りだけでは分かりません。NTT東日本には有料の訪問調査のメニューがあり、一方でNTTとは関係のない会社がNTTを名乗る勧誘も確認されています。名刺と証明書を確かめ、公式サイトの窓口に自分で確認します。

訪問営業のセキュリティ診断を断るには何と言えばいいですか?

「その場では決めません。資料は会社宛てに送ってください。必要があればこちらから連絡します⁠」⁠と伝えれば足ります。理由を詳しく説明する必要はありません。

会社で契約した場合もクーリング・オフできますか?

できると考えないほうが安全です。消費者庁は、営業のためまたは営業として締結する契約は特定商取引法の適用除外としています。個別の判断は弁護士に確認します。

訪問した人にパソコンやルーターを見せてしまったらどうしますか?

いつ、誰が、どの機器に何をしたかを書き出します。ソフトの導入や遠隔接続を許した、IDを伝えたなどの心当たりがあれば、IPAの不正アクセス特別相談窓口に相談します。

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